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NPC用AIのVRMMO徒然日記  作者: NPC用AI
二日目 
35/35

7頁、二日目は、雛、絶賛捕食吸収中

 ちょっと待って。雛が肉をえり好みしたのは、自分が得たいスキルを得られそうな肉を、自分で厳選したということでしょうか。この、雛が? 末恐ろし過ぎるんですが。

 ……いやいやいやいや、ちょっと待ってくださいよ。と言う事は、まさか、雛が食べたくなるような肉、もとい、雛のお眼鏡に叶うスキルを持った魔物の肉を探さないといけないとか言う流れですか? え、それ、ちょっとと言うか大分辛いんですけど。


『ピョ?』


『次はまだか、と言っておるのう』


 まさか、の展開ですか。そうですか。


「残念ながら、手持ちのお肉はもうありません」


『ピィ?』


『肉でなくともよいらしいぞ?』


 雑食、ですか? うん? 雑食になると、亜種になるんじゃ……あぁ、あれは青雲鷲でしたね。幻種には関係ないんですか、そうですか。


「……何か、ありましたかねぇ……」


 取り敢えず、背負い鞄を探ってみます。

 まず出てきたのは私用の乾物。塩味が強すぎるのであげられません。まぁ、ゲームですし、あまり関係なさそうですが、こればかりは気持ちの問題ですかね。いえ、その前に、原料の肉が家畜肉なので食べない可能性の方が高いですね。

 あとは、腐らない素材しかありませんね……皮とか、毛とか、骨とか、牙とか、爪とか、角とか。

 一番最近手に入れた【天女龍の鰭骨】は、やはり骨ですから食べれないでしょうし。その前に砕くものがありません。ってか、そう簡単に砕けそうにないです。

 ……そういえば、天女龍って龍ではありますけど、見た目は大きな魚ですよね……そこのところどうなんでしょう。


「……【鰭膜】なんて、抜け落ちたりしませんよね?」


『うん? あるぞ』


「図々しいのは承知なのですが、一番最近落ちたものなんて、頂けたりしますかね?」


『ほう、我の鰭を食わせるか……面白そうじゃ。暫し待て』


 もらえちゃった……なんとまぁ、あっさり。逆に天女龍が若干ノリノリな気がするんですけど……気のせいですかね。不安しかないんですが。

 泉の中心からシャボン玉が浮かび上がって漂うと言うには早い速度で飛んできます。中には薄紅色のヒラヒラした物体。目の前でシャボン玉が割れるとふわりと降りて来ます。手に乗せるように受け取ったそれは先程見た羽衣に近い見た目です。幅が結構あるので肩掛けストールみたいな感じですね。結構大きいんですが、あまり重さを感じません。


!NEW!

【天女龍の背鰭膜】レアリティS 品質A

天女龍の体から自然に切れ落ちた背鰭の膜。先端に行くほど薄紅色が濃くなる美しい色合いをしている。非常に軽く柔軟だが同時に非常に強靭で並大抵の刃物では切れない。加工は困難を極める。耐水耐熱と非常に優れている。


《スキル【鑑定】のレベルが上がりました》


 さっきからレアリティがゲシュタルト崩壊してませんかねぇ。しょうがありません、取り敢えず試して見ましょう。端を切り取るように調理用ナイフを使ってみます。うん、なんとか切れました。ちょっと大きい、と言うか長くなってしまいました。パスタのフィットチーネみたいな太さですね。


「さて……食べますか?」


『ピィ!』


 差し出した途端に、スルスルと呑み込んでいきます。結構、長かったんですが……はい、またお腹が膨れて一気に元に戻って行きます。これもまたスキルになったんでしょうかね?


『ピィピィ』


 雛が上を向いて鳴いています。が、今度は何も起きません。任意発動型だったのでしょうか。魔力が足りないのかもしれませんね。……何を、得たんでしょうかね……全体攻撃魔法が使えるくらいになったはずなんですが。それで足りなくて不発だったとすると結構消費するスキルなはずです。……考えないことにしましょう、そうしましょう。

 それよりも、まだ雛が鰭膜を見つめてくるんですが。……まだ食べるんですか? 覚えるスキルは一つじゃないってことなんでしょうかね? 謎です。流石、天災級龍と言ったところなんでしょうか?

 もう一度ナイフで切り取ります。が……切りきったところでナイフの刃先が欠けてしまいました。これもカネシュの町に着いたら研ぎ直しですね。故郷からの付き合いですから結構長持ちした方なんじゃないですかね。


『ピ?』


「なんでもありません、どうぞ」


 また丸呑みですか。麺じゃないんですから……どんな胃になってるんでしょうかね。まぁ、多分スキルの【捕食吸収】のせいなんでしょうけど。また膨れたお腹が一瞬で元に戻って行きます。何度見ても不思議な光景です。 いくら食べても、エネルギーにならないんじゃないですかね、これ。


『ピピィ!』


 また小さな翼を開いて見せてきます。翼で一番肉がある部分の羽毛がピシピシと固まっていっています。濃紺色の、羽毛と言うよりは鱗のように見えます。指を伸ばして撫でて見ると、やはり硬質化しているようです。逆撫ですると指先が切れてしまいました。ちょっと深く切ってしまいました。ふむ、大分鋭いですね。いや、カジカジしないで。地味に舌がザラザラしていて傷が開きますから。痛い! 放しなさい! 私の血なんか舐めても美味しくないでしょう! それに、その切れ味抜群の羽毛は元に戻らないんですかね? 危ないですよ?


『ピョッ!』


 ……なんか、クラクラするんですが……体力が、すごい、減ってるんですが……なんでですかね? まさか、私の血、吸ったとか、ですか? 【捕食吸収】じゃなくて、【吸血】の間違いなのでは……。視界が白んで、動けません。


『キョッ?!』


 やっと指を放した雛が、何やら慌てています。外界からの音も何やら遠く聞こえます……これは……大分、危ない? ステータス確認……【重度貧血】がついてますね。たったのこれだけでどれだけ吸われたんですかね?


『これ、そんなに吸ってどうする。回復させんか』


『ピキョーーッ!?』


 私の足元に正円の魔法陣が広がります。色からして神聖魔法だと言うことはわかるのですが、何の魔法かわかりませ……これは……体が楽になってきました? 白んだ視界も戻ってきました。状態異常回復系の神聖魔法ですかね? 神聖魔法は詳しくないので、よくわかりませんが……ステータス確認しても、【重度貧血】が今の一瞬で消えてしまいました。


『ピイィッピイィッ』


 雛の硬化した羽がふわふわのそれに戻って、太腿に擦り寄ってきます。大分、グリグリされてます。いや、擽ったいんですが。急に一体何なんでしょう?


『謝っておるんじゃよ』


「治りましたから、大丈夫ですよ?」


『ピイィ……』


 ……まぁ、大分驚きはしましたけどね。

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