5頁 二日目は、新スキル
しばらく呆然としてしまいました。スキルが一気に増えすぎです。
「「「ブリーズ」」」
取り敢えず装備を乾かしながら見ていきましょうか。三つも重ね掛けすれば大丈夫でしょう。
水流魔法は、その名の通りですよね。持ってなかったので、得した感じです。レベル1だと、純水を生み出す『ソリッドウォーター』、水の玉で攻撃する『ウォーターボール』、泡で滑りやすくする『バブル』くらいしかできません。
で、本題は他の三つですよ。色々統合されてますし。なんなんでしょうか。
上から行きましょう。まずは【精霊話】です。試してみましょうか。
《スキル【精霊話】を使用します》
《以下から対象者を選択してください》
《→風精霊王》
《 天女龍》
《 樹精霊の苗木》
《 樹精霊王》
《 泉精霊の幼体》
いえ、中止です。中止してください。
あ、中止できました。良かった……なんか、色々表示されましたけど、あれ、友人帳に載ってる、普通じゃない特殊な方々じゃないですか。
友人帳は、登録しておくと相互に伝言ができるものです。が相手が伝言を使える場合に限りますから、精霊達とはできないんです。ちなみに、あいうえお順みたいですね。……ですが、ただの伝言とは違うようです。魔力を消費するみたいですね。音声通信みたいな感じなんでしょうか……いえ、【樹耳】、【風声】、そして【水瞳】でしたから、映像通信なのかもしれません。精霊の方々とも通信可能なのは良いですね。いつか使いましょう。
次は、【天女の羽衣】ですか。これも魔力を使うみたいです。まぁ、物は試しですね。
「うぉ、っと……やっぱりこうなりましたか」
簡単に言えば、私、今、宙に浮いてます。統合されたスキルの二つからして、空中に浮ける上、自由に飛べる感じですね。透き通る羽衣がストールのように両腕に巻き付いています。裾に魚鱗のような透かしが入った薄紅色のグラデーションがあって、とても美しいです。これ、男性だったらどうなるんでしょうね。……視覚の暴力かもしれません。
そんなのはさて置いて、統合された【空中機動】だと思うのですが、大分楽しいですね。空中でアクロバティックな動きが色々出来ましたよ。急停止急加速も結構簡単です。胃の内容物には要注意かもしれませんが。
スキルを発動してからカウントダウンしていく数字が視界の隅に現れています。まだ大分ありますね。泉の上を少し速度を上げて飛んでみましょうか。さっき溺れたばかり? スキルが切れる前に終わらせてみせますとも、えぇ。
無事に一周して元の下草が生える辺りに降り立つと、同時に羽衣は空気に溶けるように消えてしまいました。代わって寄って来たのは天女龍です。やっぱり大きいですね。そのまま飲み込んだりしないでくださいね。私は筋張ってるばかりで美味しくないですよ。
『技を得たのかや?』
「友誼の恩恵を受けたようです」
『それは重畳』
友誼を結ぶことによって、スキルが増えることはわかっているようです。ということはもう一つの方も当然わかっていると考えて差し支えないでしょう。【天女の舞】って、何なんですかね。これは常時発動系っぽいのですが。
「舞とか踊りは苦手なんですがね……四肢が長すぎてどうにも制御しきれないので」
『なればこそ。【天女の舞】さえ会得しておれば、美しく舞うことができよう。戦いの中においても、のう』
「舞うように戦えと?」
『武闘は昇華し、舞闘となる』
「……職業柄、地味に戦わせて欲しいんですが」
『ほっほっほ』
何やら、爆弾が投下された感じです。
これから、この龍と友誼を結べる異邦人がどれだけいるのか、不安になります。種一つで、と〜ってもご機嫌な感じになってますけど……大事にしている鱗の一枚でも盗まれたら天災を引き起こす存在でもあるわけです。
そのうちそんなイベントがありそうで怖いですよ? それこそ『天女を鎮めよ』的な。……フラグですかね。舞とか、本当に無理ですからね。
まぁ、そんなことは置いておいて、そろそろお昼ですよ。お腹が減って来ました。何か作りましょうか。一応、スキル【料理】は持っていますが、砂漠で料理ですか……携帯食で終わらせましょうかね……。
と言いつつ、何か忘れているような気がしてならないのですが、なんでしたっけね? お昼ですよ? 昼食の約束なんて、洒落たものはしてませんし…………お昼はお昼ですよね。
空を見上げればぎらぎらと輝く太陽が。あ、直視してしまいました。ちょっと視覚異常が……まぁ、取り敢えずほぼ南中ですかね。……太陽が南中……南中……あ。
早速、【精霊話】のお世話になります、はい。
選ぶのは、【樹精霊の苗木】です。
「すみません、アルテミシアです」
『ハコビビト セイレイワ デキタノ?』
空中に真円の水鏡が現れ、苗木が映ります。驚いたように苗木から現れて向かい合うのは、昨日会ったあの樹精霊の少年です。
「できるようになりました。
そして、非常に申し訳ないのですが、行けなくなってしまいました……」
『エー サイタノニ?』
「すみません、今砂漠のど真ん中なんです」
『カエッテ キタラ オシオキ
トモエ ダンナサン ホシイッテ』
「それって、登山ってことですか? 鎧熊って、雄の方が大きいし強いから、私だけだと勝率が悪いんですが……」
『ニシ イッテ キタエテ クルコト』
「!」
『ガイアノコエ キコエタ
オアシス カイホウ オメデトウ』
バレてる。名前載せてないのに。後ろを振り返ると泉精霊の幼体が樹精霊の苗木に手を振っています。樹精霊も振り返しています。知り合いですか、そうですか。
「では、このまま鍛治の町に行きます。花は、またいつか見せてください」
『ハヤク カエッテ キテネ』
今度は私に向かって手を振ってくれました。その後ろにのっそりと現れたのはトモエさんです。……くわえてるのは、飛翔鶏ですかね。
そこで一回分の魔力が終わったのか、水鏡が消え去ってしまいました。
結構魔力を消費するようです……これはあんまり頻繁に使えないですね。
まぁ、精霊の方々と頻繁に話すこともありませんし、緊急時に使う方向ですかね。
さて、忘れ物を思い出してスッキリしたところで、お昼にしましょうか。




