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花恋に永遠を  作者: 雪月花
19/25

story18 偶然の悪夢

「はぁ〜、美味しかった楽しかった!今日は色々ありがとねしおん!」


今日は琉香に振り回されっぱなしだった気もするけど、その明るく愛らしい笑顔に癒されたから許してあげよう。


「またみんなで遊ぼーぜ!次はトランプ以外で!」


「ふふ、そうだね」


「じゃああたしたちはそろそろ…」


と。ドアの開く音がした。そうだった、子龍くん!


「ただいーー…」


その瞬間その場にいた全員の動きが静止した。どのくらい固まっていただろう、最初に言葉を発したのは琉香だった。


「お兄さん…しおんのお兄さんとか、かな?」


それだ!琉香の言葉に助けられた。


「…そう!この人は私のお兄ちゃん!」


子龍くんもそれに合わせてくれる。


「こんばんは、詩音の兄です」


「こんばんは!いいなぁしおん、こんなイケメンなお兄さんがいるなんて」


あははとみんなで笑う。良かった、何とか誤魔化せたみたい。と、また悪夢のような現実が詩音と子龍を襲う。ドアの開く音がしたと思うと、聞きなれた女の人の声がした。


「うふふ詩音!やっと来れたわ、迷ったけど今日はちゃんとたどり着けたの…あら?この方たちは?」


母だ。本当にタイミングが悪い。


「…あ、お母さん、久しぶり…友達が遊びに来てたんだ」


「あら、そうなのー!こんばんは、これからも詩音と仲良くしてやってねぇ」


それに答えたのは琉香だった。その口から出たのは今一番タブーな言葉。


「はい、こちらこそ!これからはお兄さんの方とも仲良くできたらなって思います!」


母が首をかしげる。


「お兄さん…?」


まずい、と思ったが、すぐに母は微笑んだ。


「そうねぇ、よろしくおねがいね」


母は、なぜお兄さんの存在を認めたのだろうという疑問を残しながら、私は琉香たちを玄関外まで見送った。家に入り、私と母、それとどうしたら良いのか迷っている子龍くんの3人になった。急に母が子龍くんに話しかける。


「あなたってこの前道案内してくれた子よね!?」


「あ、はい…」


「あの時は本当にありがとうねぇ。…さて、詩音?この状況について説明してくれるかしら?」


「はーい…」


母の目がキラキラしているように見えるのは私だけだろうか。怒ってはいない…気がする。

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