story14 教室、昼休み。
昼休み。私は1番窓側、1番後ろの自分の席に座りながら窓の外を見てぼーっとしていた。校庭に咲いている桜ももう花が落ちてきている。
「しーおん、どうしたのー?」
急に話しかけてきたのは琉香だ。とても可愛くて、3年生でクラスが一緒になって初めて会った子だけど何となく良い人のような気がした。
「あー…何でもない、ぼーっとしてた」
「ほぉー、ん?しおん良い香りがするねぇ」
「え、ほんと?何でだろ」
「何の香りかなぁー…あ、花!花の香りだ」
「花かぁ。うちに花いっぱいあるからかな」
子龍くんがたくさん花を持ってきたり買ってきたりするから最近花が増えて増えすぎて置き場に困っている。けど、花が多いのは楽しいので結局対処しようとしていない。
「花がいっぱいっていいなぁ!しおんって高校生には珍しく一人暮らしだよね、よぉし今度遊びに行っちゃおー」
「え」
「ダメ…??」
「いや、ダメってわけじゃ…」
「誰かも誘って遊ぼうよ…あ、あっくん!今週の土曜日暇!?」
あっくん、と呼ばれた男子が振り向いた。確か…名前はまだ覚えてないけど、名字は赤石阿くんだったはず。
「暇っちゃ暇だけど」
「よし、じゃあ遊ぼう!」
「うーん、鳥戸間も一緒で良いー?」
「全然よいよ!」
「おっけ」
鳥戸間…?…あのぶつかっちゃった人か。同じクラスだったんだ。てことは一応2年間は一緒のクラスだったわけで。全然話さないし興味もないもんだなぁ。
じゃなくて。うちに来るということは…子龍くんに説明して色々とどうにかしないとなのかな。どうにか、て何かも分からないけどとにかく、漫画から出てきたってことは秘密にしたいよね…。あ、掃除もしないと…急に忙しくなってきたように思い、私は小さくため息をついた。




