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東方天雪記  作者: トマトしるこ
2章 諏訪大戦
18/35

16話、諏訪大戦 ~交渉1~

ちょっと短めです。

その分次はいつもの2倍近くになりそうな予感。

 洩矢神社の居住区(?)の居間に僕らは集まっていた。ケロちゃん、奈菜花、僕、巫女代表1名の合計4人。

 巫女さんが1人だけなのは数が多すぎるというのもあるが、噂の飛び交う村に行って情報収集を行ってもらっている。


「まず大和の神の戦力だけど、最低でも3~4万くらいだね。加えてかなり神格のある神が数体いるって話」

「こっちは?」

「民を戦わせるわけにはいきませんし、かといって私達巫女は妖怪ならともかく神様相手には無力。こちらは諏訪子様とミジャクジ様のみでございます。数にして1万ほどです」

「絶望的ね」


 奈菜花の言うとおりだ。戦争において数は重要なファクターの一つ。物量は力に繋がるし、士気も上がる。2万の差は、はっきり言って絶望的すぎる。


「数で劣る以上策を練るしかない。けど、そう簡単に通用する相手じゃないのは確かだ。民を守るために降参することも考えておいた方がいいね」

「そんな!」

「信仰はそう簡単には薄れないはずだよ。ケロちゃんは祟り神、村じゃいい感じにおばあちゃんに好かれてるけど、恐怖が無いわけじゃない。他の神とはちょっと違うからね」

「そうかもしれないけど……」

「こういう考えもあるよってこと。勝つに越したことは無いんだから」


 最初に負けた時の話は拙かったかな。ただ、戦いは最悪の状況を想定して動かなければならない。あまり経験の無いケロちゃんにはこの事をわかってほしい。


「それで、雪乃様はなにか考えをお持ちですか?」

「どうあがいても不利なのは変わらないし、民に被害がいかないようにしないといけない。まともに戦うのは止めた方がいいね」

「それは降参しろって事じゃないか!」

「あー、言い方が悪かったね。要するに、被害を最小限に抑える戦いをしろってこと」

「………どういうこと?」

「奈菜花」

「一騎打ちですか?」

「正解」


 ケロちゃんと巫女さんは「え?」と口をそろえて驚いていた。


「一騎討ち?」

「そう。双方がいたずらに数を減らすことなく、勝負に決着がつく。これなら被害も少なくて済む。方法は……そうだね………1対1で気絶、あるいは負けを認めるまででいこう。殺してしまうと後が面倒だから殺しは無し。どうかな」

「えっと、いいんじゃない?」

「しっかりしてよ。戦うのはケロちゃんなんだよ」

「………うん。わかった、それでいいよ」


 決まった。あとは……


「相手にこれを認めさせないといけませんよね」

「そうだね」


 奈菜花が言った通り、この要求を呑んでもらわないといけない。最悪機嫌を損ねて問答無用で攻めてくるかもしれないから、交渉は慎重に行う必要がある。


「よし、話は僕と奈菜花がつけに行く。ケロちゃんは書を用意して。条件は勝ったら出てって2度と来ない事、負けたら土地と信仰を渡すってことで」

「………いいの?」

「いいから言ってるんだよ。早くしないと奴さんがここまで来るよ」

「……アリガト」


 ケロちゃんと巫女さんは居間を出ていった。10分待てば持ってきてくれるだろう。


「雪乃君」

「うん?」

「交渉役まで引き受けるのはやり過ぎじゃないですか? 歴史を改変してしまうかもしれませんよ」

「あー、そのことね」


 さっきまでは作戦伝えてあとは頑張ってね~、っていうつもりだったんだけど、気づいたらパイプ役までやる気になってた。

 というのもやっぱり、あれだね。


「未来から来たって話をしたよね。僕が住んでたのはこの洩矢神社の近くなんだ。名前は守矢神社に変わってるけどね」

「ええっ!(読みが同じだからどう違うのかわかりません!)」

「それに、神社の子と幼馴染みなんだよ」

「えええっ!!」

「時代は違っても故郷だからね、なんとなく好き放題やられるのが嫌なだけだよ」

「そう、ですか」


 ま、ホントの事言うと自分でもよくわかんないんだけどね。


「てことはもしかして、この戦争の結果を知ってるんですか?」

「うん。負け」

「そんなあっさりと……」

「あはははは」


 いやーケロちゃんいなくて良かった良かった。


「違った結果に持っていく気は無いよ。そんな度胸は無いからね。ただ、この神社とケロちゃんには色々と世話になったからさ。恩返しみたいなもんだよ」

「……まあ、雪乃君がいいっていうなら私は反対しません」

「ありがと奈菜花」

「はうぅ///」


 なでなで。あー癒されるね。あの乱れっぷりがなかったら。


 ずっとなでなでしてたらケロちゃんが書を持ってきた。


「はい、これ」

「……うん。大丈夫でしょ」

「任せたよ」

「任されたよ」


 さて、行きますか。

 龍化した奈菜花の背に乗って大和の神がいる場所へ向かった。






「ところで大和の神はどこに居るか知ってますか?」

「あ」


 聞きに帰るという恥ずかしい事をしたのは言うまでも無い。


みなさんお忘れかもしれませんが、雪乃少年は早苗さんの幼馴染ですよー。

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