15話、ケロケロ~
タイトルがいい加減だって? 思いつかないんだからしょうがないじゃないか! 今回も短いんですぅ~
………ゴメンナサイ
「ねーケロちゃん?」
「はーあーいー? ってなにこのやり取り」
「知らないよ」
洩矢神社に泊まり始めて1週間経った日、ふと疑問に思ったことをケロちゃん(諏訪子)に聞いてみた。
「で、なに?」
「僕は人間じゃないって話したでしょ」
「したね」
「じゃあなんなのかなって思ってさ。ケロちゃんわからない?」
「ハァ!?」
おお、驚いてる。
「自分の種族わからないってどういうことなのさ!?」
ごもっともです。でもわからないんだから仕方ないじゃん。
「はぁ………それで、雪乃の種族がなんなのか調べればいいの?」
「そうそう。頼むよ」
「はぁ………」
ため息をついた後、ケロちゃんの表情と雰囲気が変わった。
神力を纏い、全身に行き渡らせ目を開いた。
そのまま目を開いたまま数秒僕を見つめ、緊張を解き、神力をおさめた。
「で、どう?」
「えっとね……」
ケロちゃんは右手の三本の指、人差し指、中指、薬指を立てた。
「雪乃から3つの力を感じたよ。まず2つは霊力と魔力だね」
ふむふむ。元人間だから霊力を持っていても不思議じゃない。あんまり使わないけど。魔法使いだから魔力があるのは当然。てかないと困る。
薬指と中指を曲げる。人差し指はピンと立ったまま。
「あと1つは?」
「それが……神力だったんだよ。でも雪乃は神じゃない。断言する」
「神力ねぇ……なんで持ってるんだろ?」
「信仰さえあれば神社が無くても神になる場合もあるからね、雪乃がやったことを聞いたら可能性は無くは無いけど、神力が生まれるほどの信仰はないだろうから、この場合は元から持っていたって考える方が自然だね」
「ふうん……最初から神力持ってたとして、僕は神様なんじゃないの?」
「さっきも言ったけど、雪乃は神じゃないよ。なんて言うかね、私ら独特の感覚って言うのかな? 相手が神かそうじゃないかわかるんだよ」
「つまり、神以外の神力を持つ種族だと?」
「そゆこと。検討つかないけど」
ホントだよまったく。
しかし、神じゃない神力を持つ種族ねぇ……。
奈菜花に聞いてみるかな。霊獣で妖力持ちだし、参考にはなるかな。
「てことなんだけど、知らない?」
「うーん、さっぱりですね。私もなんで霊獣なのに妖力を持っているのかわからないんです。最初はそうじゃなかったんですけど、妖怪に囲まれて生活してたらいつの間にか持ってました」
「周囲の影響か……僕の周りにはそんな人居なかったし、違うかな」
「すみません、役に立たなくて……」
「そんなこと無いよ」
「ああ、なんて優しいんでしょう。素敵です雪乃君///」
頭を撫でて落ち込んだ奈菜花を慰める。あらまあすぐに機嫌よくなっちゃって。
「でも本当になんなんでしょうか? 雪乃君の種族は」
「神と同等の位の存在か……それこそ霊獣、神獣じゃないか。あとは天使とか」
「私と同族ですか!? な、なんてことなんでしょう……それだけでも十分だというのに、雪乃君が………天使!? は、はふぅ~」
「………はぁ」
何を妄想してるのさまったく。せめて僕の目の前でラリっちゃうのは止めてよね。
この件は保留かな。神力を持ってるのがわかっただけでも十分な収穫だ。帰ったらじっくり考えよう。
「雪乃様の髪は綺麗ですねー」
「そうかな? 特に何かしてるわけじゃないんだけど」
「勿体ないですよ。こんなに長くて綺麗なのに」
「男だからね、たいして気にならないよ。身体の成長は止まっちゃったから髪だけでもーって思って伸ばしただけ」
あれからさらに数日、巫女さんが僕の髪を梳きたいと言ってきたのでやってもらった。自分でやる気にはなれない。いつも誰かが弄っているから。面倒くさいからとは言わない。
ちなみに長さはそこそこ。腰と肩甲骨の中間くらい。え、伸ばし過ぎ? しらんがな。
「うらやましいです~」
「君のだって綺麗じゃないか」
「諏訪子様に文句を言うわけではありませんけど、緑はちょっと……」
「僕の友達は気にいってたけどね」
「そのお友達がうらやましいです」
まぁ、十中八九君の子孫なんだけど。
しばらく髪を梳く櫛の心地良さに身を任せていると、誰かが走ってくる音が聞こえてきた。ここで走る奴なんてケロちゃんくらいだ。
「大変だ雪乃!」
やっぱりね。
「どうしたの?」
「大和の神がここを目指して進軍してきた! あと5日後には諏訪の地に入る!」
「………奈菜花を呼んでくるよ」
巫女さんから櫛と髪留めを受け取って奈菜花の部屋へ向かった。
(とうとう来た。さて、僕らはどうしようかな)
ここまで良くしてもらったんだから不干渉を決め込むつもりは無い。かといって関わり過ぎは良くない。
奈菜花と話し合う必要があるね。
髪はポニーテールにしよう。
気合いを入れる意味で髪留めを少しきつめに締めた。
とうとう諏訪大戦勃発です。