14話、ケロちゃん
短す
村をでて神社への階段を上る。結構上まで来ており、鳥居までもう少しだ。
しかし長い。
「それにしても長いねぇ」
「人間にはつらいのではないでしょうか?」
「確かに。供え物を担いで行くのは大変そうだ。流石は祟り神」
「その祟り神になんの用だ」
声のした方――上を見ると奇妙な帽子をかぶった女の子が居た。てか目玉のついた帽子って何!? しかもその目から睨まれてるんですけどっ!?
「奈菜花、僕は女の子よりも帽子の方が怖いよ」
「私もです」
「コラァ! 聞えてるぞ!」
なんか怒らせてしまった。霊力――神様だから神力とでも言うのかな? とにかくそれがぶつけられた。が、しかし、何ともない。
負のイメージを感じるけれど、それだけ。祟りや呪いをかけられたような感じはまったく無い。
「ふ、ふん。少しはできるみたいだな」
「怯えながら言ってもねぇ」
「う、うっさい!」
なーんか無理して偉そうにしてるみたいだね。動揺してる時と言葉遣いが違うし。見た目子供だし。
妖怪は肉体よりも精神に比重を置いているため、強さや本質は別として、性格や精神は外見からある程度の予想がつけやすかったりする。子供っぽい妖怪はちっこいし、大人びた妖怪は大人の女って感じがする。
神は信仰によって存在を維持していると神綺ちゃんが言っていたので、妖怪と似て非なる存在と僕は思っている。
要するに、目の前の子は威厳っぽいものを出して僕らを追い払おうとしてるわけです。
「と、とにかくここから帰れ! お前ら妖怪が居ていい場所じゃないんだ!」
自棄になったこの子は今度は神力の弾を放ってきた。ここで避けると後ろの村に被害が及ぶだろうから、止めようとした時、爆発が起きて弾は消えた。
「あなた、雪乃君に何してるんですか?」
あ、やば。
「で、あんたたちは何しに来たの?」
すんごいボロボロな奇妙な帽子の女の子――洩矢諏訪子は、帽子を膝に抱えて言った。
帽子について色々聞いてみたいけどそんな雰囲気じゃないし、触れちゃいけない事のような気がする。
「神様がどういう存在なのか見てみたかっただけよ」
「え、そんな理由?」
「そ」
僕のアホな考えを余所に会話する2人。
これ以上何もしないと空気になってしまうので混ぜてもらおう。
「しかし、未だに龍がいるなんて驚きだよ」
「他にはいないの?」
「私が知ってる限りじゃ龍神くらいかな」
「だってさ奈菜花」
「私は雪乃君がいればいいんですぅ~~」
抱きつきという名の締め付け。痛い。
「苦労してるんだね……」
「まあね」
無理に引き剥がそうとすると奈菜花が泣き出してしまうので放置。好きにやらせよう。
「ところで今日の宿は決まってるかい? お詫びにちょっと泊まって行きなよ。部屋なら余ってるからさ」
「いいの? じゃあお言葉に甘えて」
「ホント!? やったね!? 2人の部屋の用意をしてー!」
諏訪子は大きな声で誰かに言った。ここには居ないけど、仕えている巫女さんが何人か居るみたいだから、その人たちに対してだろう。
「じゃあ改めて。洩矢諏訪子だよ、よろしく」
「光村雪乃。こちらこそ」
「奈菜花よ。雪乃君に色眼使ったらただじゃおかないから」
「あーうー………」
「やめなよ奈菜花。ケロちゃん困ってるよ」
「ケロちゃんってなにさ!?」
いやぁ、おもしろいおもty―――神様見つけちゃったよ。楽しみだね。