13話、諏訪の地
ピーンポーンパーンポーン
11話のタイトルと今までの内容を一部変更してます。
雪乃が眠っていた時間が2000年は短すぎじゃね?
ということで、2000年 → 数十万年ってことにしてます。
多分これからも投稿した後に設定の変更がチョコチョコ入るかも知れません。なるべくそうならないようにしますが、おかしな点があったりした場合直ぐに手直ししていきます。
あの宴会も無事(?)に終わり、数日経ったある日、神綺ちゃんは家に帰った。なんでも仕事が溜まってるらしい。
『夢子ちゃんにまかせっきりですからそろそろ帰らないといけないんです』
『なんの仕事? てか家どこ?』
『魔界です』
『は?』
『私魔界作ったんです。おかげで神様になりましたー』
すんげぇ~。伸びる子だと思ってたけどまさかここまでとは……。
神綺ちゃん、恐ろしい子!
というわけで魔界に帰って行った。機会があったらお邪魔しよう。
玉藻? こっぴどく叱られてたよ。「次は負けないからな!」とか言って出ていった。
「旅?」
「そこまでの事じゃないよ。いろんなところを見て回るだけさ。勘を取り戻すついでに、馬鹿みたいに増えてる魔力にも慣れないといけないし」
妖怪は生きた時間に比例して妖力が増していく。僕も例に漏れず2000年間魔力が増えていった。しかも1度も使わないもんだから溜まる一方でとんでもないことになってる。慣らすついでに旅をしたいと申し出たわけだ。
せっかく過去に居るんだから時代の移り変わる様を見てみたいというのと、古代の魔法や呪術、陰陽術が見てみたいというのが主な理由だ。他にも絶滅したであろう植物や動物達の観察もしてみたい。
「1人でいくつもりですか?」
「その方が動きやすいからそうしたいね。過去を変えるわけにはいかないってのもあるけど」
「雪乃が大きな出来事に干渉しなければいい」
「勿論そのつもりだよ。でもどうなるか分からないじゃないか」
「2人より1人の方が余計な事起こさなくて済みそうだから?」
「そうそう」
「てことは雪乃は私達が面倒なことを起こすって思ってるんだね?」
「そうそ………ってアレ?」
「「「へぇ~~」」」
「す、すみませんでしたぁーー!」
全力のスタイリッシュ土下座で切りぬけた僕はなんとか許してもらう事ができた。若干引かれていた気がするけど気にしたら負け。早苗ちゃんがいつも言っていたじゃないか。
「で、話を戻しますけど、私としては1人は止めてほしいです。せめて私達の誰かと一緒に行動してください。流石に全員行くのは無理があります。天雪荘のことがありますから」
「………わかったよ、じゃあ」
1、奈菜花と行く
2、皐月と行く
3、風音と行く
どれを選ぶ? いや、誰と行くのが無難なんだ?
奈菜花は1番信頼できる、が、あらぬ誤解を生むこと間違いなし。「誤解じゃありません。真実です!」
皐月はあれで感情的だから色々と首を突っ込んでいきそうだ。「……………」
風音は我が儘ばっかり言って寄り道しそう。「私そこまで子供じゃないもん!」
「どうすればいいんだろう?」
「「「………」」」
だめだ、誰を選んでも厄介事に巻き込まれそう。選べない。
………選べないなら、選んでもらえばいいよね? ヘタレって言うな。
「てわけでこれで誰が行くか決めて」
「「「………」」」
食器棚から色の違う箸を三本用意して、引かせる。
「青色です」
「緑」
「縞模様……かな」
「じゃ、奈菜花で」
いろいろと抗議されたがここでは語らない。だって丸1日説得するのにかかったもん。
青色だったのは好きだからってことで。
「ところでどこに行くんですか?」
「そうだねぇ……じゃあ、あっちに行こう」
適当な方向に指を指して奈菜花は飛び始めた。
ちなみに今の奈菜花は本来の姿、龍になっている。僕はその背に乗ってくつろいでいる。
この時代、妖怪はいろいろとあるだろうが龍は神聖な生物だ、見られても面倒な事にはならないはず。少なくともスキマよりは気持ちいい。
「ここ最近何か面白い噂を聞いてない?」
「そうですね………妖怪がいろいろやらかしているくらいですかね。あと神様がいるとかいう話も聞いてます」
「へぇ……神様が居るんだ。見に行かない?」
「この方角でしたら……諏訪の祟り神がいます。ただ、近くで大和の神々が戦争をしていらしいですから諏訪の地も巻き込まれるかもしれません」
戦争ねぇ。いいものじゃ無い、無関係の人間が死んでいくんだから。何とかして止めたいが、あまり歴史に干渉するのは良くないと僕が言ったばかりだ。
「………」
「どうします?」
「見るだけ見ようか。手を出す気は無いけど、ちょっと眺めるくらいならいいさ」
「はい」
それにしても諏訪、か。縁があるのかもね。
諏訪の地に入り、祟り神が祀られている神社と村が見えたところで奈菜花の龍化を解いて歩くことにした。
「村は普通ですね」
「そうだね。少し話を聞いてみようか」
村の中に入ってみたけど、他の村と大差ない。規模は段違いだけど。
聞き込みをしてわかったのは“ミジャクジ様”という蛇の神様をコントロールできる神が祀られているらしいということ。村人は洩矢様と呼んでいた。奥に見える神社に住んでいるらしい。
まあ現代っ子の僕でもここで住んでいた人なら知ってる事だ。早苗ちゃんは守矢神社に住んでいたんだからなおさらだ。
大和の神についてはよく知らない人が多かった。一部の商人が噂を聞いたことがある程度で、ここに来るという確証は得られなかったが、大和の神が土地と信仰を奪いながら進軍していることはわかった。
「そこの二人組! 止まれ!」
「うん?」
振り向くと数人の男たちが僕らに槍を向けていた。
「何か用ですか?」
「俺は見たぞ! お前が龍から人になったところを! この妖怪め!」
どうやら奈菜花が人化したところを見られていたようだ。こんな事にならないようにと思って村から離れたところで降りたというのに……。
てか龍を妖怪って。人間以外は妖怪って考え方は危ないよ。
「あー、ちょっといい?」
「……なんだ」
このままだと面倒なことになりそうだなぁ。とっとと用事を終わらせよう。
「僕らは少しここを見たかっただけだから、すぐに出ていくよ」
「……さっさと行け」
「言われなくとも。じゃあね」
洩矢様のおわす神社とやらに行ってみますか。
お詫びのつもりで連投