第三話「ジェラルド国王の秘密。国王は○○だった」
第三話「ジェラルド国王の秘密。国王は○○だった」
アレスはソフィア様といい感じの関係になってきたので有頂天になっていた。最近は挨拶すればドアごしに挨拶をかえしてくれるようになったし、滅びろと声をかけてくれるようにもなった。
ソフィアの部屋に行く途中、ジェラルド国王に会った。齢七十二にもなるが、貫禄があり、さすがのアレスもその迫力にびびってしまっていた。もしスカウターがあったら破裂していただろう。アレスはとりあえず目礼をして見送った。国王はちらりとジェラルドを見るとそのまま先に進んでいった。噂では国王は病気の為、国務からは一旦引いているという話だったが意外と元気そうに見えた。
アレスはその後ろ姿を見送るとあることに気づいた。マントがめくれているのだ。国王も人の子マントがめくれてしまうこともあるのだ。これは一大事だと思い、国王にお知らせしようとした。
「ジェラルド国――」
アレスはジェラルド国王のマントの下にチャックがあるのを見てしまった。それを見て、絶句してしまった。着ぐるみを着ているように頭の方にまで伸びているのだ。
「まさかジェラルド国王は着ぐるみを着ているのか」
「私も疑問でした」
マキナだ。またどこから沸いて出てきた。
国王様は最近、体調が悪いようで篭っておられます。食事も部屋の中で殆ど出ることがありません。怪しいと思いませんか? 噂ではすでに亡くなっているとかいないとか」
「何が言いたいんだ……」
「あの国王様は着ぐるみです。どなたかが国王の振りをしているのです」
マキナはどやっという顔をした。アレスは思わずこいつを殴りたいと思った。
「まさか、そんなことある訳がない。だいたいそんなこと出来るわけがないだろうが」
「ルパンができるのです。一国の国王であるジェラルド様にできないわけがありません」
どんな理屈だよと思ったが、引っかかるものがあった。
「アレス! マキナ! 何をやっているか」
オットーだ。なぜかアレスはこっちに来てから毎日のようにオットーに怒られているような気がする。
「お前ら、最近の行動は目に余るぞ。特にマキナ。お前は立場を弁えろ」
「申し訳ございません」
「なら、早々に持ち場に戻れ」
「はい!」
「それとマキナ。お前はアレスが来てからたるんでいるぞ」
「申し訳ございません」
「とにかく頼むぞ
立ち去るオットー。怒られているマキナを見て、アレスは胸がすーとした気分になった。
「ざまあ見ろ。マキナ」
見ると、マキナは泣いていた。
「オ……オットーさんに怒られた……どうしよう」
がくがくと震えていた。
「ど……どうしたんだ。マキナ」
「あんたのせいだ! 死ね!」
アレスはどこから持ってきたのか分からない鉄の棒ですねを思い切り強打された。
「痛えええええええ! 何しやがる!」
「アレス様なんて、バナナの皮で滑って死ねばいいんだぁぁぁ。ばかぁぁ!
マキナは捨て台詞を吐いて素早く去っていった。
「く……そ。何なんだ。あの女は」
それよりも国王が着ぐるみだったら大変なことになる。この謎はなんとしても解明せねばとアレスは思った。