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「頼むからクビにしてくれ!」と言いながら地獄の門を守っていたら、いつの間にか【三界の唯一神】として崇められていた件  作者: 蒼井テンマ
第1章【辺境編】

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第9話:肩叩き、あるいは「龍の平伏」

ストレス。それは現代社会……じゃない、異世界においても万病の元だ。

 特に、自分を神だと信じて疑わない狂信的な弟子二人と、勝手に貢ぎ物を持ってくる皇帝に囲まれた生活は、僕の胃と肩をボロボロにしていた。


(……痛い。肩が岩みたいに硬いよ。

 せっかくこの『金ピカの杖(※創世の杖)』が手頃な重さだから、ちょっと肩を叩いてほぐそう。

 トントン……トントン……。あ、ちょっとだけ楽になるかも)


 神殿の奥座敷。僕は一人、伝説の聖遺物を「肩たたき棒」として、無心に肩を叩いていた。

 だが、僕は知らなかった。

 この『創世の杖』が、地下数千メートルに封印されていた【古龍王エルダー・ドラゴン】の封印を維持する『鍵』であり、叩く振動がそのまま封印魔法のコードを書き換えているということを。


 トントン。トントン。

 バキィィィィィィン!!


 突如として、大地が悲鳴を上げた。

 神殿の床が割れ、そこから凄まじい熱量と、生物としての格を分からせる「龍圧」が噴き出す。


「……数千年ノ眠リヲ……覚マシタノハ……何奴ダ……!!」


 地割れの中から現れたのは、山のような巨体を持つ黄金の龍。

 かつて世界を火の海に変え、神々ですら封印するのが精一杯だったという、生ける災害——古龍王だ。


(ひいいいいいいっ!? 出たぁああああ! 怪獣! 怪獣が出たぁあああ!!)


 僕は恐怖のあまり、持っていた杖をギュッと抱きしめ、椅子の上で丸くなった。

 あまりのショックで、またしても声が出ない。


 しかし、古龍王の視点は違った。

 彼は見たのだ。自分が数千年間、全力で破ろうとしても傷一つつけられなかった「封印の杖」を、まるで使い古した道具のように……あろうことか『肩たたき』に使っている男を。


(……な、何だこの人間は!?

 我を封じる聖遺物を、あえて『叩く』ことで振動を伝え、我を呼び覚ましたというのか!?

 それも、戦いのためではない……。まるで『寝坊のひどいペットを叩き起こす』かのような、無造作な動作で……!)


 古龍王は、ゼノンの瞳(※恐怖で焦点が合っていないだけ)を覗き込み、戦慄した。


(何という深淵。我が最強のブレスを持ってしても、この男の眉一つ動かせまい。

 ……そうか。この男、私が封印を破るのを待っていたのではない。

 『いい加減に起きろ、暇つぶしの相手になれ』と言っているのか……!)


「グ、オオオオオッ!! 我ハ古龍王! 貴様、我ト戦ウ……ッ!?」


(ひっ……! 吠えた! 食べられる!

 せめて、せめてこの杖を返すから、あっち行ってぇえええ!)


 僕はパニックになり、抱えていた杖を「どうぞ!」と差し出すように突き出した。

 それが古龍王には、**【龍の急所をミリ単位で捉えた、必殺の刺突構え】**に見えた。


「——ッ!? 待て! 待て待て待て!!」


 古龍王は空中で急ブレーキをかけた。

 杖の先端から漏れ出す、ゼノンの「怖くて漏れ出した」膨大な魔力が、龍の視界には「銀河を貫く光の刃」に見えていた。


(……この男、本気だ!

 今、この杖を突き出せば、我の存在は歴史から消滅する。

 ……ああ、分かった。この者は、王なのだ。

 龍などという矮小な種族すら、道端の石ころ程度にしか思っていない、真の絶対者……!)


「……参った。我の負けだ。我が王よ」


(……え?)


 古龍王は、その巨体を一瞬で縮小させ、金髪の美青年の姿へと変化した。

 そして、ゼノンの足元に跪き、その靴に口づけをせんばかりの勢いで頭を下げた。


「貴殿の『肩たたき』の一撃、しかと魂に刻んだ。

 数千年の眠りを経て、これほどの強者に出会えたこと、我が生涯の誇りとしよう。

 今日より、この古龍王アレス……貴殿の『庭の番犬』として仕えさせていただく!」


「……あ、あー。あー……(※訳:え、龍が人間に? 番犬? うち、もう庭のスペースないよ?)」


 そこへ、騒ぎを聞きつけたクラリスとリルが踏み込んできた。


「師匠! 今の地響きは……って、えええっ!? 伝説の古龍王が、全裸(※変身直後)で土下座してる!?」


「主様……。まさか、地下の封印まで管理されていたとは。

 『肩が凝った』というのは、封印の結界が緩んでいるのを調整するための比喩だったのですね。流石は我が主……」


(違うううううう! 本当に肩が凝ってただけなんだよ!

 というか、この全裸のイケメンをどうにかしてよぉおお!)


 ゼノンは絶望のあまり、泡を吹いてその場に倒れ込んだ。

 その姿は、周囲には「龍を従えた後、安堵のあまり瞑想に入った聖者の姿」として語り継がれることになる。


 こうして、辺境の門番ゼノン・ギリアムは。

 聖騎士、元四天王、そして古龍王という「世界を三回は滅ぼせる」最強のパーティを(勝手に)結成し、第1章の幕を閉じるのであった。


「……ふん。……寝かせてくれ(※訳:現実逃避させてください)」


 彼の願いが叶う日は、まだ、当分先になりそうだった。

第1章【辺境編】 完結です!

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


「肩たたき」が「龍王の調教」に。

ゼノンの意志とは無関係に、彼の周りには世界のパワーバランスを破壊する面々が集まってしまいました。


さて、次章からは【王都編】がスタートします!

「神」として王都に招かれたゼノン。

彼を待ち受けるのは、豪華な接待か、それともさらなる勘違いの泥沼か……。


「ゼノン、もう一生休めないね(笑)」と思った方は、

ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いします!

第1章を読み終えた今、あなたの「星5」がゼノンの次なる受難を決定づけます!


第2章『【王都編】 聖域守護神、うっかり「建国の祖」に間違えられる』

お楽しみに!

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