表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「頼むからクビにしてくれ!」と言いながら地獄の門を守っていたら、いつの間にか【三界の唯一神】として崇められていた件  作者: 蒼井テンマ
第3章【学園潜入編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/26

第25話:世界皇帝、辞職願を出す

……もういい。もう、はっきり言おう。

 察してもらうのは無理だ。この世界の住人は、僕の『あ』の一言を『愛』だの『破壊』だのに変換する天才しかいないから。


(今日、この『世界統一記念式典』の場で、僕ははっきりと辞意を表明する。

 王様、魔王、勇者、女神……全員の前で、土下座して頼むんだ。

 『僕はただの弱虫のニートです。皆さんの期待に応えるのは無理なので、どっかの馬小屋にでも放り出してください』って!)


王宮のバルコニー。雲海の上まで届くような高い場所で、僕はマイク(魔導拡声器)を握りしめた。

 目の前には、僕を崇める数百万の民衆。そして背後には、今日も「師匠、次は何を壊されるのですか?」と期待に満ちた目で僕の背中を焼く弟子たちが控えている。


「……えー。……僕は、辞めます(※訳:責任の重い仕事はもう嫌です)」


会場が、水を打ったように静まり返った。

 クラリスが、リルの手が、震える。


「……じ、辞める? 師匠、それはどういう……」


「……僕は、ふさわしくない。……これからは、君たちが、やってくれ(※訳:僕はただの無能だから、これからは君たち優秀な人で勝手に国を回して。僕は寝るから)」


僕は勇気を振り絞り、衆人環視の中で深々と頭を下げた。

 プライドなんてない。ただ、「辞めさせてくれ」という一心での、全力の土下座だ。


(よし! 言った! 公開の場で辞職を宣言したんだ。

 これなら、もう誰も僕を縛れないはず……!)


しかし。

 僕の土下座による「深すぎる低姿勢」は、民衆の目には**【天よりも高い地位にある者が、泥にまみれた地上の民と同じ目線まで降りてきてくれた、究極の慈愛】**にしか見えなかった。


「……ああ……ああああああ!!」


国王が、魔王が、女神が、一斉に涙を流して崩れ落ちた。


「なんという……なんというお方だ……っ!

 自らの権力を、名誉を、神としての座を、すべて惜しげもなく我らに譲り渡すというのか!」


「『これからは君たちが主役だ』……。

 あの方は、我らが『ゼノン』という依存対象から卒業し、自立することを求めておられるのだ!

 この土下座は、我らへの別れではない……我らの魂を『対等な友』として認めてくださった、最高の祝福ギフトなのだぁああああ!」


(ちっがーう! 依存していいから! 依存していいけど、僕をトップに据えないでって言ってるの!

 対等な友じゃなくて、ただの近所の無職のお兄さんになりたいだけなのぉおお!)


民衆の声が、地鳴りのように響く。

「ゼノン様、万歳!」「自立の父、ゼノン様!」「我ら、貴方の御意志を継ぎ、平和な世界を作ります!」


「……あ、あー。あー……(※訳:もう……いいよ、好きにして。僕は消えるから……)」


僕はあまりの絶望(と、誰も話を聞いてくれない悲しみ)で、ふらふらとバルコニーの奥へと歩き去った。

 その背中こそが、後に**「すべてを授け終え、光の中へと帰還する真の救世主」**として、世界の聖典に刻まれる最後の挿絵となったのである。

第25話をお読みいただき、ありがとうございます。

蒼井テンマです。


ついに、ついにゼノン様が「辞める」と言い出しました。

公開土下座という、小市民としてのプライドを捨てた最後の一撃。

それが「神の卒業式」として全人類を涙させ、

世界から紛争を根絶させてしまうとは……。

皮肉にも、彼が「神」を辞めようとすればするほど、

世界は彼を「真の救世主」として固定してしまいました。


次話、ついに最終回。

誰もいない「虚無の果て」へ逃げ込んだゼノン様を待つ、

「最強の無能」としての本当の結末とは——。


「ゼノン、本当にお疲れ様……」と少しでも思っていただけた方は、

完結を祝して【ブックマーク】と【評価】をいただけますと幸いです。

皆さんの声が、ゼノン様の「最後の安眠」を守る結界になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ