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「頼むからクビにしてくれ!」と言いながら地獄の門を守っていたら、いつの間にか【三界の唯一神】として崇められていた件  作者: 蒼井テンマ
第3章【学園潜入編】

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第24話:終焉の試験、あるいは「存在の抹消」

……これだ。これしかない。


(なんなの、この学園生活は! 保健室に逃げれば聖騎士と魔王に挟まれるし、廊下を歩けば『導師様!』って生徒全員が土下座するし……。

 もう耐えられない。だから僕は、禁書の棚で見つけた究極の魔術を使うことにしたんだ。

 その名も、自己封印魔術**【アブソリュート・ゼロ】**。

 これを使えば、術者の魔力と『存在感』を完全に消去し、ただの石ころのような一般人に戻れるらしい。これだ、これこそが僕の求めていた『究極の退職願』だ!)


学園の卒業試験当日。

 全校生徒と、王都の重鎮たち、さらには天界の女神たちまでが観客席を埋め尽くす中、僕は試験会場の演台に立った。


「さあ、ゼノン・クライン君。君の『真の力』を見せてくれ!」


グレイ教官が興奮で鼻血を出しながら叫ぶ。

 僕は震える手で、古びた魔導書を開いた。


(よし。今ここで僕という『偽りの神』を消して、ただの無能に戻るんだ。

 さようなら、世界皇帝。さようなら、始祖様。僕は、自由になるぞぉおお!)


僕は全魔力を注ぎ込み、自分自身をターゲットにして【アブソリュート・ゼロ】を発動した。

 次の瞬間、僕の体から「真っ黒な光」が溢れ出し、世界から僕の輪郭が消えていく。


(……あ、消える。視界が真っ暗になる。成功だ!

 これで僕は、誰の記憶にも残らない、ただの通行人Aになれるんだ……!)


しかし。

 僕が放出した「自分を消したいという切実すぎるエネルギー」は、あまりに純粋で巨大すぎた。

 その「虚無の波動」は、僕を消すどころか、**【この世界に存在するあらゆる「限界」という概念】**を標的にして、それらを一斉に消去デリートし始めたのである。


――パリンッ!


という音が、世界中に響いた。


「……な、……ななな、何ということだ……っ!?」


観客席で、主神アストライアが椅子から転げ落ちた。


「あの男……自分を消そうとしたのではない!

 自らを『虚無の器』とすることで、この世界の住人に課せられていた『成長の限界』という法則そのものを、身代わりに引き受けて消滅させたというのか!?」


「……見てください! 学園の生徒たちが、……魔力が、魔力が無限に溢れ出していますわ!」


僕が自分を消そうとした余波を浴びた「落ちこぼれ」の生徒たち。

 彼らの魔力回路のロックが次々と外れ、全員が瞬時に大賢者クラスの魔力を持ち、病人は治癒し、枯れた木々には花が咲き乱れた。


(……え? あれ? まだ僕、ここにいるんだけど。

 というか、なんでみんなキラキラ輝いて、僕を見て泣いてるの!?)


僕は消えるどころか、かつてないほど神々しい光を放ちながら、演台の上でポツンと立っていた。


「ゼノン様……。貴方は、貴方という個を捨てることで、世界を『神の領域』へと引き上げられたのですね……」


シルフィが、神の如き剣気を纏いながら跪く。


「『私が居なくても、君たちはもう一人で飛べる』――。

 その無言のメッセージ、魂に刻みました! 貴方はもはや、一個の生命体ではない。

 この世界を回す『システム(理)』そのものになられたのですね……っ!!」


(違う! 違うんだってば!

 僕はただ、自分だけ消えて無職になりたかっただけなの!

 なんで世界全体のレベルを底上げしちゃったの!? 余計に僕の価値が上がっちゃったじゃないかぁああ!)


僕は絶望のあまり、あまりのショックで心が「無」になった。

 その「無」の境地こそが、観衆には**「全知全能を超越した、究極の脱力」**として映り、大陸中の鐘が「救世主の完成」を祝して鳴り響いたのである。

第24話をお読みいただき、ありがとうございます。

蒼井テンマです。


「自分を消したい(退職届)」という切実な魔力が、

まさかの「世界の限界を消去する」という神のアプデに化けてしまいました。

本人は視界が真っ暗になって「成功だ!」と喜んでいたのに、

目を開けたら世界が黄金に輝いている……。

ゼノン様の絶望、皆さんに届きましたでしょうか?


いよいよ物語は、ゼノン様が全人類に「引退」を叩きつける最終局面へ。

「辞めさせてくれ!」という魂の叫びが、

またしても最悪(最高)の形で聞き届けられてしまいます。


最後までゼノン様の受難を見届けてくださる方は、

ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いします!

皆さんの評価が、ゼノン様の「消えたい欲求」をさらに加速させます(笑)。

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