第18話:神罰、あるいは「眩しすぎる日差し」
……眠れない。
(なんなの、この神殿は!
女神様が降臨してからというもの、空に太陽が五個くらい増えたんじゃないかってくらい、ずっとピカピカ光ってて眩しいんだよ!
おかげで寝不足だし、お肌も荒れそうだし……。
天界に行けば休めると思ったのに、むしろ二十四時間営業のブラック企業に就職した気分だよぉお!)
神殿のバルコニーで、僕は目の下に濃いクマを作って空を仰いでいた。
隣には、すっかり「主様の愛人(自称)」を気取っている女神ルミナが、甲斐甲斐しく僕に謎の黄金色の果実を剥いてくれている。
「ゼノン様、見てください。神界の主神たちが、貴方の不敬(※私への愛の搾取)に激怒して、最高位の神罰【星落とし】を放ったようですわ。ウフフ、愛されていますわね」
(……は? 星落とし?
空に見えるあの、太陽よりも巨大な燃える岩石みたいなやつ、僕に向かって落ちてきてるの!?
嘘でしょ!? あれ、当たったら王都どころか大陸が消滅するよね!?
死ぬ! 死んじゃう! せめて、せめて眩しいのだけでもどうにかしてぇえ!)
刻一刻と迫る巨大な隕石。その放つ熱量と光は、もはや直視できないほどに激化していた。
パニックになった僕は、迫りくる死への恐怖を紛らわせるように、全力で右手を空へと掲げた。
「眩しいんだよ、消えろ!」という、ただの現実逃避の拒絶だ。
「……眩し……いんだよ(※訳:死ぬほど怖いし眩しいから、どっか行って!)」
その瞬間。
僕の手のひらから、パニックによって圧縮された「極大の虚無魔力」が、超高密度のレーザー状になって空へ射出された。
ズガァァァァァァァン!!
放たれた一撃は、落ちてきた巨大隕石のド真ん中を貫通。
それどころか、隕石に含まれる質量とエネルギーをすべて「反射」し、さらに倍加させて神界へと送り返した。
ドォォォォォォン!!
はるか上空、神界の入り口である『天界の門』が、自分の放った神罰を跳ね返されて木っ端微塵に粉砕される音が、地上まで響き渡った。
空を覆っていた赤黒い雲は一瞬で消し飛び、代わりにゼノンの魔力による「夜のカーテン」が空を覆い、優しい星空が広がった。
「……あ(※訳:あ、暗くなった。これで寝られる……)」
僕は安堵のあまり、その場にヘナヘナと座り込んだ。
だが、神界からモニター越しに見ていた神々、そして地上で見守っていたクラリスたちは、もはや腰が抜けて立ち上がることすらできなかった。
「……ば、馬鹿な。最高位の神罰を、ただの『手払い』で……」
「しかも、ただ壊すだけでなく、放った神の鼻先にまで反射して門を壊すという、完璧な嫌がらせ……」
「『私の眠りを妨げる光(神罰)など、ゴミ同然だ』……。ゼノン様は、ついに神々への『完全な宣戦布告』を成し遂げられたのだぁあああ!」
(違う! 違うんだってば!
僕はただ、眩しくて寝られないから『電気消して』って言いたかっただけなの!)
隣で果実を剥いていたルミナが、恍惚とした表情で僕の肩に寄り添ってきた。
「……ああ、ゼノン様。なんて恐ろしいお方。
主神たちのメンツを、これほどまでに無惨に、かつエレガントに踏みにじるなんて……。
これで神界はパニックですわ。貴方を止めるために、次は全神霊を総動員して『降伏の儀』を行うしかありませんわね」
「……あ、あー。あー……(※訳:え、またお客さんが来るの? 寝かせてくれないの?)」
僕は絶望のあまり、ルミナの膝に顔を埋めた。
その姿は、周囲には「神界の門をブチ壊した後、勝利の余韻に浸りながら女神を侍らせる、究極の背徳者」にしか見えなかった。
こうして、二等兵ゼノン・ギリアムは。
「眩しさを解消する」という個人的な理由だけで、数万年の歴史を持つ神界の防衛網を壊滅させ、全宇宙における『神々の敵』として認定されてしまったのである。
第18話をお読みいただき、ありがとうございます。
蒼井テンマです。
「眩しいから手をかざした」が「神界へのカウンターアタック」に。
ゼノン様の「安眠への執着」は、ついに物理法則を超えて神罰すらも送り返してしまいました。
さて、天界の門を壊してしまったゼノン様。
次回、門が壊れたせいで『神界からの避難民(女神や天使)』が続々と宮殿に降ってきて、
ゼノン様の隠居部屋が、さらなる美少女たちのカオスな女子寮へと化す!?
「ゼノン様、もう二度と安眠できないね(笑)」と思った方は、
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皆さんの評価が、ゼノン様の「遮光カーテン(※という名の絶対結界)」をより強固にします!
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