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「頼むからクビにしてくれ!」と言いながら地獄の門を守っていたら、いつの間にか【三界の唯一神】として崇められていた件  作者: 蒼井テンマ
第2章【王都編】

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第14話:わがまま王女と禁断の果実、あるいは「神の搾り」

……もう、勘弁して。


(なんなの、この派手な縦ロールのお嬢様は!

 隣国のエアル王国から来たシェリル王女だって?

 『私を満足させられたら、我が国は貴方の軍門に降りましょう』って……いや、頼んでないから! 勝手に降らないで! 門はもうお腹いっぱいだよ!)


豪華な謁見の間に乗り込んできたシェリル王女は、不敵な笑みを浮かべながら、家臣に持たせていた「宝箱」を開けさせた。

 中に入っていたのは、表面が黒い鱗のようなもので覆われた、禍々しいほどに巨大な果実だった。


「これこそが我が国の秘宝、龍殻果りゅうかくか

 ダイヤモンドをも凌ぐ硬度を持ち、世界で唯一、選ばれた強者の『覇気』でしか殻を割ることができないと言われる伝説の果実……。

 さあ、世界皇帝を自称するゼノン様。貴方の力で、この私に『真実の味』を教えてくださるかしら?」


(……え、何これ? 果物?

 どう見ても手榴弾か、あるいは古代の呪いがかかった岩にしか見えないんだけど!

 『覇気』で割るとか言ってるけど、僕にそんなものあるわけないじゃないか!

 というか、こんなに尖ってて硬そうなもの、触るだけで指が折れそうだよぉお!)


僕は恐怖のあまり、差し出された果実を両手で押し返そうとした。

 「そんな危ないもの、僕のところに持ってこないで!」という、必死の拒絶だ。

 だが、緊張で指先に力が入りすぎ、さらに「早くこの場を収めたい」というパニック魔力が、僕の両手に一点集中してしまった。


メキメキメキィィィッ!!


僕が軽く(本人的には)押した瞬間、ダイヤモンド並みの硬度を誇る龍殻果の殻が、まるで熟れすぎたトマトのようにあっけなく粉砕された。


「……え(※訳:あ、壊しちゃった。弁償かな?)」


だが、奇跡はそこで終わらなかった。

 粉砕された殻の中から、黄金色に輝く果汁が一本の糸のように噴き出し、呆然と口を開けていたシェリル王女の口の中に、一滴の無駄もなく吸い込まれていったのだ。


「……っ!? ……はぁぁあああんっ!!」


シェリル王女が、聴いたこともないような艶めかしい声を上げて、その場に崩れ落ちた。

 

(わあああああ!? 何!? 毒!?

 やっぱり毒だったんだ! お姉さんが変な声出して倒れちゃったよ!

 誰か、救急車……いや、回復魔法をぉお!)


慌てて駆け寄ろうとする僕。

 しかし、背後で見ていたクラリスが、震える声で実況を始めた。


「……信じられない。刃物を使えば果実の『命』が逃げる。

 だからこそ、師匠は素手による『超振動の握撃』によって、果実の細胞を壊さずに殻だけを分子レベルで粉砕し、一番美味しいエッセンスだけを王女に届けた……。

 これぞまさに、究極の『調理』!!」


「……主様。まさか、あの高慢な王女の『胃袋』と『魂』を一瞬で同時に掴んでしまうとは。

 あの方の口に直接注ぎ込んだのは、『貴殿のすべてを私が満たしてやろう』という、支配の宣告ですね?」


(違う、違うんだってば!

 ただ押し返そうとしたら潰れちゃって、中身が飛び散っただけなんだよ!

 服が汚れなくて良かったね、ってレベルの話なんだよぉお!)


シェリル王女は、顔を真っ赤に染め、潤んだ瞳で僕を見上げた。


「……あ、あんな……あんな衝撃、初めてよ……。

 私の心を、あんなに強引に……優しく、握り潰すなんて……。

 認めざるを得ないわ。貴方こそが、私の……そして我が国の、真なるマスターだわ!!」


(……はい? 認めちゃったの?

 え、エアル王国も僕の領土(というか責任範囲)になっちゃうの!?

 やめてよ! 管理する場所が増えるほど、僕の睡眠時間が削られるんだよぉお!)


僕は絶望のあまり、手についたベタベタした果汁を、高級な絨毯でこっそり拭いた。

 その仕草が、周囲には「一国の降伏すら、指についた汚れを拭う程度にしか思っていない覇者の余裕」に見えたのは、言うまでもない。


「……ふぅ。お腹いっぱいだ(※訳:もうトラブルはたくさんだ。帰らせてくれ)」


「——っ! 『これ以上、他国の献上など不要だ。すべて私が飲み込んでやる』という、世界統一の最終通告ですね! 承知いたしました!!」


(言ってなーい! むしろ何もいらないって言ったんだよぉおおお!)


僕の魂の叫びは、またしても「全大陸に向けた覇王の軍令」として、王宮の鐘と共に鳴り響くのであった。

第14話をお読みいただき、ありがとうございます。

蒼井テンマです。


「果物を押し返した」が「究極の調理」に。

ゼノンの握力(※魔力ブースト済みパニック)は、もはやダイヤモンドすらも恋する乙女に変えてしまいました。


さて、ついに隣国まで手中に収めてしまったゼノン様。

次回、そんな彼のあまりの無双ぶりに、ついに「魔王軍」が本格的に動き出す!?

『あの男を放っておけば、魔界すらも握り潰される』と焦った魔王が、

なんと自ら「人間のフリをして」ゼノンのもとに偵察にやってきて……!?


「ゼノン様、握力だけで国際問題を解決する男(笑)」と思った方は、

ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いします!

皆さんの評価が、ゼノンの「次の握力」をさらに強固なものにします!

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