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「頼むからクビにしてくれ!」と言いながら地獄の門を守っていたら、いつの間にか【三界の唯一神】として崇められていた件  作者: 蒼井テンマ
第2章【王都編】

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第12話:献上の美女、あるいは「禁欲の聖君」

……天国かな? いや、地獄だ。


(なんなの、このキラキラしたお姉さんたちの群れは!

 右を見ても左を見ても、宝石を散りばめたドレスを着た絶世の美女たちが、熱い視線を送ってくる……。

 僕、人生で女性と手を繋いだことすらないのに、いきなり世界中から『貢ぎ物の姫君』が百人も送られてくるなんて、情報処理が追いつかないよ!)


 世界統一の宣誓(※という名の盛大な勘違い)から数日。

 王都の宮殿には、ゼノン様のご機嫌を伺おうと、周辺諸国から「我が国一番の美女」たちが競うように送り込まれてきた。

 彼女たちは「世界皇帝」の寵愛を得るべく、香水を振り撒き、魅惑的なポーズで僕を誘惑しようとしてくる。


(怖い! 良い匂いが強すぎて鼻がムズムズするし、みんな目が肉食獣みたいで怖いんだよ!

 目が合ったら最後、何か恐ろしい契約を迫られるに違いない。

 そうだ、目を合わせちゃダメだ。足元……。床の大理石の模様を数えて、存在を消そう……!)


 僕は震える視線を床に落とし、石像のように硬直して座り込んだ。

 その徹底した「無視」が、誘惑に自信のあった姫君たちを戦慄させた。


「……なっ!? 我が国で『男殺し』とまで言われた私の舞を、一瞥いちべつもせずに退けるだと……!?」

「ただ床を見つめているだけなのに、あの威圧感……。もしや、私たちの皮を剥いだ後の『魂の本質』だけを見て、その浅ましさを軽蔑しておられるのでは……!」


(違うよ! 顔が見られないだけだよ!

 あと、さっきからドレスの隙間から見えてる脚が眩しすぎて、直視したら心臓が止まりそうなんだよ!)


 僕はパニックを隠すため、あえて立ち上がり、彼女たちの群れから逃げるように早足で神殿の暗い隅へと移動した。

 「一人にしてくれ!」という悲痛な叫びを込めて、低い声で呟く。


「……惑わせるな。……闇こそが、私の居場所だ(※訳:誘惑しないで! 暗い隅っこで落ち着かせて!)」


 その瞬間、宮殿内に衝撃が走った。


「——っ! 素晴らしい、流石はゼノン様!!」


 解説役と化した国王ガダルキアが、感涙にむせびながら叫ぶ。


「何という禁欲! 何という高潔!

 世界中の美を前にしてなお、『闇(深淵の真理)こそが我が道』と言い切られるとは!

 女色に溺れ、権力に酔うような俗物とは格が違う。

 あの方は、肉体的な快楽を超越した、真の聖君なのだぁああああ!」


「流石は師匠。女人の香りすら『修行の邪魔』と切り捨てるとは。

 ……フフ。では、主様の集中を乱すこの色香、私がすべて『排除』してもよろしいですね?」


 リルの瞳が、嫉妬と狂信で赤く燃え上がった。

 慌てた僕は、彼女を止めようと片手を差し出した。


「待……待って(※訳:殺生はやめて! 怖いから!)」


 しかし、その動作は「不浄なものに触れることを拒む神官の仕草」にしか見えなかった。


「……分かりました。師匠の御手を汚すまでもない、ということですね」


 クラリスが聖剣をガチリと鳴らし、姫君たちの前に立ちはだかる。


「皆の者、退きなさい! ゼノン様は今、世界の存亡をかけた瞑想に入られている。

 色香でその魂を揺さぶろうとするなど、不敬の極み!

 師匠が求めているのは、女の肌ではなく、鋼の如き秩序なのだ!」


(違う! 秩序なんて求めてない! 僕が求めているのは、誰もいない部屋と、柔らかい枕なんだよぉお!)


 絶望した僕は、その場から逃げ出そうとして、柱に肩をぶつけた。

 その衝撃で、柱に埋め込まれていた巨大な宝石(魔力を増幅させる装置)がボロリと外れ、僕の足元に転がった。


「あ……(※訳:壊しちゃった)」


「おお……! あれは我が国の家宝、不落の魔石!

 それをあえて『落とす』ことで、『宝玉すら路傍の石に過ぎない』と示されたのか!」

「『女も、金も、宝石も、私の前では等しく無価値である』……。なんという、なんという超然とした生き様だ……!!」


 姫君たちは、僕の徹底した「拒絶」と「無関心」に、逆に心からの敬意と——そして、どうしようもないほどの恋心を抱いてしまった。


「ああ、なんと気高いお方……。私、一生お仕えいたします!」

「私を無視したあのお姿、一生忘れません!」


(逆効果だぁあああああ! なんで『無視した』のに、余計にモテるんだよぉおおお!)


 こうして、ゼノンの「女性恐怖症」は、全世界に「鋼の意志を持つ聖君伝説」として広まっていく。

 彼の周りには、彼を「神」として崇める女性たちの、さらに巨大な親衛隊が結成されつつあった。

第12話をお読みいただき、ありがとうございます。

蒼井テンマです。


「目を合わせられない」が「深淵を覗いている」に。

「逃げ出す」が「高潔な拒絶」に。

ゼノン様の周囲では、もはや全ての行動がポジティブ(?)に変換される無敵艦隊と化しています。


さて、世界皇帝としての名声がカンストし始めたゼノン。

次回、そんな彼を快く思わない「旧勢力の過激派」が、

毒矢を放つが、ゼノンが「くしゃみ」でそれを撃ち落としてしまい……!?


「ゼノン様、ついに女性すらも武器にする勢い(笑)」と思った方は、

ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いします!

皆さんの評価が、ゼノンの「禁欲(※という名の恐怖)」をさらに深めます!

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