ハリー王子
ハリー「暫く二人だけで話がしたい」
王子ハリー・ブライスは近衛の者を退室させると、エレノアをソファに座らせるとその隣に腰掛ける
触れてしまいそうなくらい距離が近い、間近で見るハリー王子の顔は、まるで女性の様に美しい
ハリー「はじめに断って置くが僕は結婚するつもりは無い」
この人は社交辞令を言うつもりは無いらしい
エレノア「そうですか」
ハリー「怒らないのか?」
意外そうな顔をする王子
エレノア「怒った方が良いのですか?」
ハリー「そうでは無いが普通は怒るだろう」
エレノア「お母様が折角取り付けて下さった縁談ですから残念ではあります」
ハリー「君が頼んだのだろ?」
エレノア「いえ 殿下が私を疎ましく見ているのは知っておりますので」
ハリー「それは 何の話だ」
エレノア「学院の卒業パーティの時です」
王子との接点はその時だけなのだ
ハリー「あぁ 友人が君の良くない噂を・・・」
エレノア「事実ですからお気になさらず」
ハリー「しかし、実際に話すと噂とは印象が違うというか」
もっと感情的な反応が返ってくるかと思ったが
エレノア「もう学生の身分ではありませんから」
ハリー「人は変われるものだな」
他の貴族たちも変われるのだろうか
エレノア「はい」
ハリー「君は今の貴族社会についてどう思う?」
なぜこの質問を彼女にしたのか分からないが僕は何かを期待した
エレノア「皆、国や家を守る事に真剣に取り組んでいます」
模範的な回答
ハリー「君にとって一番大切なことはなんだ?」
僕は何を聞いているのだろう
エレノア「食べ物に困らないことです」
前世の記憶を取り戻したから思うことだ
ハリー「え? 今なんと言った」
エレノア「空腹は悲しいですなので、食べ物に困らないことです」
貴族としてはあり得ない回答かもしれない
ハリー「君は空腹など知らないはずだ」
公爵家に生まれた彼女は何も不自由な経験などないはずだ
エレノア「知っています」
力強い言葉まっすぐな瞳とても嘘を言っているようには思えなかった
ハリー「君は何者だ」
その時、ノックの音が響いた
近衛「殿下 お時間です」
そこで一度目の面談は終了した
後日、
公爵家宛に王子から手紙が届いた「とても有意義な時間だった また君に逢える日が待ち遠しい」




