旅路
アルカンシェル共和国行きのガラス細工を積んだ交易船にはルーシーとエレノアが乗っていた
ジョンソン「まさか親娘で親善大使に任命されるとは思わなかったよ」
ルーシー「私はエリーの事を信じていましたわよ」
エレノア「お母様と共にアルカンシェルを見に行けるなんて夢見たいです」
ジョンソン「喜ぶのは良いが物見遊山じゃないんだぞ」
エレノア「分かってます しっかりガラス細工を売り込んできます」
ルーシー「それは私の仕事よ エリーは可愛いモデルさんよ」
船員「間もなく出航します」
ジョンソン「それでは二人とも頼んだぞ」
ブライス王国沖の船室、
ルーシー「ところでエリー 王子とはどうなの?」
エレノア「どうとは?」
ルーシー「仲良くできそう?」
エレノア「もちろんです ちょっと距離感近い気もしますが・・・」
ルーシー「近い・・・随分と気に入られてるのね」
なんだろう妙な間は
エレノア「意外ですか?」
ルーシー「えぇ意外ね 王子は他人に近づかれるのを極端に嫌がるのよ」
エレノア「私の印象では そうは思えませんが」
ルーシー「何なに 聞かせて 聞かせて」
母はテンション高めでグイグイ聞いて来る
エレノア「先日は私の背中に腕を回してきて・・・」
それってつまりそういう事したのね
ルーシー「エリー・・・おめでとう」
エレノア「いえ 殿下は私を揶揄っただけです」
ルーシー「私のエリーを以て遊んだのね?」
王子だろうと絶対に許さないエリーを傷つけたこと後悔させるんだから
エレノア「いや別に 何かされたとか無いですから」
夕食、
船上だけに食事は海鮮バーベキューだった
ルーシー「エリーは貝が苦手でしたね」
エレノア「それが最近は好き嫌いが無くなったんです」
ルーシー「本当に?」
勘の良い母には隠し事はしない方が良いだろう
エレノア「実は先日 風邪で寝込んだ時に夢を見たんです 夢の中の私は文明の発達した国に住人でしたが貧乏でお腹を空かせていました」
母は黙って話を聞いた
ルーシー「・・・それで好き嫌いが無くなったのね」
エレノア「はい」
信じてくれたかな?
ルーシー「相変わらず隠し事が下手ね」
話した後に上目遣いでチラチラ相手の顔色を窺うのはエリーの隠し事をする時に癖だ
エレノア「信じてくれなくても仕方ありません こんな荒唐無稽な話」
ルーシー「信じてます けれどまだ話してないことがあるのでは?」
もう降参だ母には全て見透かされている
エレノア「私が見た夢は きっと私の前世の記憶なんだと思います 別の国の生活も極限の空腹感も全部ハッキリと思い出せるんです」
ルーシー「そんな思いを一人で抱えていたなんて」
母は娘を優しく抱きしめるエレノアの目からは涙が溢れ出す
夕飯の味は覚えていないが、どの食材も好き嫌いをしなかったことだけは覚えている




