どうやら木に転生したようです
長い長い眠りから覚めたような、さっぱりとした目覚め。
――あれは夢だったのか?
いや、俺は確かに木村大地だ。
それに間違いはない……はず。
じゃあ、これはどういうことだ?
もしかして、もしかしなくても――
俺、異世界転生したんじゃないか?
やべぇ。
やべぇよ。
興奮が抑えられへん。
俺、どないすればええんや?
えっと、とりま神様仏様。
おらの願いを叶えてくれて、ほんまにありがとうございます、ありがとうございます。
このご恩は、感謝を何回申し上げても返せません。
しかしながら、どうか言わせてください。
本当に、本当に――ありがとうございます。
ありがとうございます。
* * *
少々長いため、木村大地の言葉を少しばかり略させていただきます。
* * *
おい待て、俺。
一旦、冷静になろ。な?
神様仏様、こんな俺の願いを叶えてくれてありがとうございます。
俺が言うのもあれですが――
俺をこんな幸せにしちゃって、いいんすか?
漫画とか見ても、今世が辛かった人ばっかり転生してるやないですか。
でも俺、今世ぜんぜん不幸ちゃいますし。
なんなら、超超超ちょーーーーーーー幸せだったんすよ。
あ、いや。
異世界転生が嫌になったとか、そんなことは本当に無いんですよ。
ただ……
俺、こんな幸せでええんかなって。
……あれ?
俺は先ほどから、少しばかり違和感を覚えていた。
神様仏様に土下座して感謝を伝えようとしても、体が動かない。
嬉し涙を流す場面のはずなのに、泣くこともできない。
そして何より――
俺の目に映る景色が、どうにもおかしい。
そこで俺は、異世界転生おなじみのセリフを口にした。
……と言っても、声は出ない。
正確には、頭の中で念じる感じだ。
「ステータス」
そう念じると――
なんということでしょう。
俺の目の前に、先ほどまで存在しなかった
“画面みたいなもの”が現れたじゃないですか。
やべぇ。
マジで興奮してきた。
さてさて、俺のステータスは――と。
そこで俺は、驚愕した。
俺の種族が……
種族が……。
ん?
これは、種族って言ってええんか?
知らんけど。
目が点とは、まさにこのことだろう。
俺は――
木に転生したようだ。




