雪の挑戦
少し魔法紹介
上級雷魔法「魔壊」
上級魔法なので、使える人は限られる。雷を伝わせ、魔力感電の容量で相手の魔法を破壊する。魔法陣を使ったり、複雑な魔法であれば容易に壊せるが、単純な魔法を破壊するには、相当の腕が必要。
Bランクの生徒を狩っていれば、順当にクリスタルに魔力を貯めて高成績でゴール、とそういうこともできるのかなと思っていた。ただし違った。
Aランクの生徒は、Aランクの生徒のクリスタルを壊さないと、ちゃんとした成績にならなかった。
多くても40点と言ったところ。
もちろん、私はそんな赤点ギリギリでゴールするつもりはない。だから、Aランクの生徒を狩るつもりだったし、大体のやつには勝てると思う。
しかし、さすがに…
次期剣聖は厳しい。
そう、今私、甘中 雪と相対しているのは、
剣聖
創凛 晶
おそらく負ける。だがここをのぞいて、次期剣聖と戦える機会がどれくらいあるだろうか?それを踏まえると、試験を捨てても戦うべきではないか?
細かいことを考えているが、要するに戦闘狂心である。
「お相手させていただきます。」
「えぇこちらこそ。」
丁寧?なのか。少し笑ってそう言った。
それじゃ、やらせてもらうか。
まずは、相手の使う魔法を見極める。
「鋼流動」
身体中の筋肉や骨格に、鋼を纏わせる。
そして高速で距離を詰めた。
土魔法。
「流鋼斬」
どう対処する?
冷静に確実に攻撃を交わす。…そんな未来はなかった。
「魔壊」
スパッと、さも当然のように剣を振った
っ!?雷魔法、しかも
一番来て欲しくなかったやつだ。
パリパリと私の魔法が壊された。鋼流動も流鋼斬も、
これを壊されるなんて、初めてだ。
気付くと切先はすでに、クリスタルのすぐそばまで来ていた。
かなりピンチだ、が、冷静に
足を広げ、姿勢を屈め、
魔法ではなく、物理攻撃!
「後ろ回し蹴り!」
しっかりぶっ飛ばした。
テンションが上がって、魔法じゃないのに詠唱してしまったが、
大チャンスだ。私の魔法ではこのチャンスを掴めない。
だから、拳に魔力を付与した。非常に原始的なやり方だが、
これで十分だ。
全力でその少し小柄な体をぶん殴る。
クリティカルヒットだ!
これは。
勝てるかも知れない。
と、そう思っていた。
「これってさ、」
?
「自分のクリスタルが壊れたら。負けだったっけ?」
……!?
うそ…でしょ
胸元を見ても。
クリスタルはそこにはなかった。クリスタルは、
真っ二つになって、地面に落ちていた。
「退場してください。」
教師の方が降りてきた。仕方ない。が、
いつのまに?
私は、隙を見せたつもりはなかった。
わからない。本当にわからなかった。戦いに夢中になっていたのもあるかも知れないが、
私は剣聖に勝てる日が来るのだろうか。
これからも頑張ります