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夜澄みの蒼月、闇堕ち少女の夢革命  作者: 民折功利
月下星王大戦

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356/435

328-ラスボス戦


 運命を食らう蛇。

 星々を平らげる虚ろの穴。

 世界の虚空。

 大いなる蛇。

 そして、“星喰い”───暗黒銀河を統べる蛇の皇帝は、悠久にも等しい退屈感を長らく抱いていた。極稀に、心が湧き踊る出来事が起こるが……その高揚も一過性のモノに過ぎず。


 敵対も。服従も。支配も。叛逆も。恭順も。破滅も。


 全てを喰らい、全てを味わい、全てを飲み干し、全てを手に入れた。


 それだと言うのに───彼の胸の内を巣食うのは、常にツマラナイという感情。別に、忌避感も嫌悪感もないが。退屈な毎日を、ニフラクトゥは生きてきた。

 無為に生きてきたわけではない。

 どうにか、有意義な時間を得ようとしたものの……解は得られなかった。


 唯一、まだマシなのは戦いの最中。その時だけは退屈を忘れられる。


 だからこそ、ニフラクトゥは闘争を好み、侵略を愛し、排斥を受け入れ、暴虐を為した。

 宇宙を好きに荒らし、好きに統べ、好きに滅ぼし。

 六百年間、宇宙最強の座を欲しいままにしてきたが……今、その絶対性が崩れかけていた。

 六百年の覇道。

 六百年の蹂躙。

 六百年の退屈。


 その全てを紛らわし、覆し、驚嘆させる───青い星の戦乙女たち。


 魔法少女という生き物たちは、ニフラクトゥの“世界”に大きな穴を開けた。

 興味が湧いて尽きない。

 戦いたいという欲求も、屈服させたいという征服欲も、際限なく湧き上がり……激しい胸の高鳴りを止めることは容易ではなく。それどころか、止めようとする度に高揚が胸を塞ぎ、心を踊らせ、必要以上に弾ませる。

 辺境の戦士たち。辺境故に、悪夢に覆われていたが故に手出しできなかった環境で、彼女たちは力をつけ、宙の上まで飛んできた。


 その事実に、ニフラクトゥは歓喜する。


 今度こそ、偽りなく───最強たる己の孤独を満たす、強者との出会いに。


 それ故に。

 叛逆者の代表たるレオード・ズーマキングは、所謂前座であり、前菜程度の存在だった。

 確かに彼もまた強者である。

 不死身の己に手を伸ばせる、圧倒的な実力を誇る獅子であることは明白。だが、しかし。ニフラクトゥには決して届かない。それだけの隔絶した実力差があり、埋まらない崖が彼らの間には広がっている。

 常日頃、虎視眈々と王の首を狙っていたレオード。

 とうとう本格的に反旗を翻し、漸くかと軽い腰を上げ、迎え撃ったわけだが。


「驚いたな…」


 ニフラクトゥの予想に反し、レオードはこれでもかと、己の存在を刻みつけた。


 現に、今この時も。


「よもや、その身一つで耐えるとは……どうやら、貴様を見縊っていたようだな」

「ガハッ……ハァ…ッ…そう、かよ…!」


 黄金に染まった玉座の間。ニフラクトゥの“(スルト)”により、崩壊したその空間。驚嘆に目を見開いた彼の眼前には……両手を前に差し出して、凝縮した超新星爆発を受け止めた王獅子がいた。


 ボロボロで、血塗れで。死に体でありながらも……己の背後にいる部下に、傷一つつけず。

 身体一つで、ニフラクトゥの攻撃を受け切った。


「ゲホッ、ぐっ……チッ…!」


 呼吸すらも精一杯なレオードは、血で真っ赤に染まった瀕死の顔でありながらもニフラクトゥを睨みつける。その瞳には、未だ戦意が薄れておらず。

 まだだと足掻く、不屈の闘志が見え隠れしていた。

 背後で心配の声を荒らげる弱者の声など、二人の耳には決して届かず。


 心からの称賛を込めて、ニフラクトゥはレオードの首に手を伸ばす。


「ぐぅッ」

「ここ最近は驚かされてばかりだ。やはり、戦はしてみるモノだな……」


 魔法でダメなら、直接この手で。


 ゆっくりとレオードの首を持ち上げ、絞め上げ、叛逆の首謀者をこの手にかける。死に体でありながら、その首は強靭であり、ニフラクトゥでも中々折れない。

 だが、その程度の障害など、あってないようなもの。

 この男を屠れば、次は魔法少女。この城の何処かにいる最強を求めて、一切合切全てを蹂躙するのみ。それ故に、苦悶の声を上げるレオードに、戦を起こしてくれたことを感謝しながら。


 夢星同盟総督の命を、終わらせようとした───…


 その時。


「む?」


 突然、ニフラクトゥの身体が硬直した。まるで、何かに動きを制限されているかのような……金縛りにあったかのような硬直で、停止する。

 否、無意識にレオードを掴んだ手が、首から離れようと動き出した。ニフラクトゥの意に反して、勝手に動く。

 困惑しながらも、力技で解こうとするが……

 それよりも早く、レオードを掴んだ腕に……鋭い刃が、飛んできた。


 グサリと勢いよく刺さったそれは───魔石で造られた包丁で。


「いいんですね!?」

「今しかないんですぅ!!」

「わかりましたッ───妨害魔法ッ!!<エニオクソス・インターフィアー>!!」

「ほぉ?」


 辛うじて動く目線を辿れば、柱の陰から、いつの間にか闖入者が……元・将星のアリエスと、元・補佐官であったシェラタンが顔を出していて。

 シェラタンが、ニフラクトゥに魔法を行使。

 妨害魔法。それは、現在進行形且つ目の前で起きている行為を否定する。歩こうとすること自体が否定され、足が勝手に止まる。呼吸しようにも、呼吸器官が機能しない。首を絞めようにも身体が硬直して、しかも勝手に首を離し解放してしまう。行動に移そうにも、身体が唐突に硬直し何も出来なくなるのだ。

 包丁の衝撃で思いの外速く手が離れ、レオードは地面に崩れ落ちる。


「ごほっ、ごほっ!」

「れ、レオードさんッ!!」

「ボス!!」


 慌てふためくフェリスとコルボーは、主が一時を凌いだ事実に喜ぶ。だが、助けに行くことはできない。そもそも二人が手足のない状態だからというのもあるが……

 レオードの傍に立つニフラクトゥの、圧が。

 目に見えてわかるほど───弱者に邪魔された怒りに、満ちていたから。


「貴様は……“鬼角”だな?よくも邪魔をしてくれたな……アリエス、オマエもだ」

「ヒッ!」

「ッ、わわ、私は……そ、その〜…」

「弱者であるオマエたちが、この場にいる資格はないぞ。即刻立ち去れ。そうすれば命までは取らないでやるが……どうする?」


 一定の評価はしていた元部下と、少しだけ記憶していた暗殺者崩れの補佐官。彼からすればどうしよつもない程の弱者である2人を、ニフラクトゥは寛大な心で許す。

 許しはするが、これ以上の邪魔立ては赦さない。

 怯えたシェラタンは、アリエスの身体にしがみつき……弱虫な幼馴染が、大して恐怖心に支配されていないことに気付く。


「アリエス…?」


 否、恐怖心はある。ただ、それ以上に───己の仕事を果たさんとする、意志の力が上回っていて。

 身体を震わしながらも、アリエスは力を入れて。


「資格云々は、た、確かに……ないかもですけど。ここ、これが!私の役目!私が、ラピ様たちに与えられた───やるべきことなので!!」

「ふむ。一体、何を───まさか」


 涙目で吠えたアリエスは、疑問を浮かべた恐怖の象徴に怯えながらも、決して心を折らず。

 彼女の得意───“夢渡り”の力を、行使する。


「続きは、こっちで!

───夢繋ぎの、魔法ッ!<アリース・リリウム・アルゴナーテ>ッ!!」

「───!」


 決死の妨害魔法を突破するよりも早く。

 面白そうに目を見開いたニフラクトゥの精神と肉体は、脂汗を流しまくって魔法を行使した、悪夢の住人となったアリエスの導きの元……


 夢の世界に、堕ちた。








꧁:✦✧✦:꧂








「───ここは」


 目覚めた先。


 アリエスの奸計に乗ってやったニフラクトゥは、茫然と辺りを見回す。


 チクチクと肌に突き刺さる、不快なユメの力。あまりに濃厚な【悪夢】のオーラが、彼の周りに、そして、皇帝のいる不気味な街に、蔓延っている。

 彼の目の前に広がっているのは……白い街。

 丘の上にある大きなお城を中心とした、緩やかな斜面の上に立つ街並み。不気味な波紋が広がる異色の空の下に、人気のない身綺麗な街が広がっている。

 より正確に言えば……魔城の中にある、大きな街。

 ニフラクトゥは知らない景色だが───城と街が一つになったその場所には、正式な名が存在する。今は亡き夢の跡地であり、その裏側。

 異界に浮かぶ、悪の城。


───『悪夢の国』


「どうやら招かれたようだな……脱出は、無理か」


 ニフラクトゥの力をもってしても、悪夢が蔓延した世界から外に出ることはできず。夢の中を彷徨う以外にないと判断を下したニフラクトゥは、大人しくアリエスたちの、悪夢の国の策に従うことに決めた。レオードの始末は……この後にでも取っておけばいい。

 身体が不必要に【悪夢】に蝕まれぬよう、対策を施し。

 中心に聳え立つ白き魔城、“招き人”が待つ悪夢の中心を目指して。


「フッ……いいだろう。何が目的かは知らんが……精々、我を楽しませてみせよ」


 傲慢に。

 強欲に。

 鷹揚に。

 ニフラクトゥ・オピュークスは、悪夢の国の深淵へと、突き進む。


 その街並み、彼にとって新鮮味に満ちていた。存在する全てが【悪夢】で構築された、あらゆる生命体にとって毒でしかない概念に満ちた、悍ましき世界。

 ニフラクトゥであろうと容易に死ねる異界領域。

 【悪夢】の輝きに照らされ、肉体と精神を守る結界を、徐々に侵蝕されながら。


 舗装された灘らかな丘を登り、整理された人寂しい街を越えて。


 ───凄まじい“圧”を感じる、“淵源の夢魔城ナイトメア・ワンダーキャッスル”へ。


 城の中は、空虚だった。

 華美な装飾品も、美しい彫刻も、全て、全て、存在する全てが虚しく感じてしまう。それは、この城が【悪夢】に落ちる前は、初代女王の治世の下、陽気な妖精たちにより栄えていたからか。

 今や闇の底に沈み、悪夢の女王の魔城となった象徴。

 二年前の決戦で消滅した魔城の、最深部。玉座の間に、彼女はいた。


「ようこそ、私の国へ」


 玉座に腰掛ける、女王───リデル・アリスメアーが。


 よく見れば、玉座の傍には更に小さな子供……身体中に謎めいた紋様が刻まれた暗黒銀河最大の悪夢、グゥが指を咥えて座っていた。

 等身大の悪夢が二体。

 災厄を詰め込まれた少女たちの歓迎に、ニフラクトゥはくつくつと笑う。


「ご機嫌よう、大いなる悪夢よ。また会えて嬉しい、が。護衛も無しに我の前に居るとは……正気を疑うぞ?蒼月の半身と成り果てた女王よ」

「口が過ぎるぞ、若造。否定はせんがな」

「ぐっ!」


 頬杖をついたリデルは、最悪の天敵を前にしても、一切動じない。目の前の怪物皇帝が、悪夢に染まっていようと餌である夢星を喰らえる程、強大な存在であるとわかっていても。傲慢不遜、余裕を一切失わずに、せせら笑う。

 ニフラクトゥよりも遥かに長い年月を生きた悪夢。

 魔法少女の敵であり、今は味方である星の生命線。

 弱体化した今、彼女は誰よりも守られるべき立場にいる存在だが……


 たった一人、傍には戦力とは思えない幼女を連れて。


 悪夢の女王は顎でしゃくる。


「確かに、私がオマエと向かい合うのは、褒められた行為ではないが……仕方なかろう。私とて、我慢できんかったのもあるがな」

「ほぉ?」


 リデルは苛立っていた。

 彼女は魔法少女の敵である。魔法少女を滅ぼし、世界を悪夢で支配するのが、女王としての本懐である。ただし、その野望は既に潰えた。二年前の、あの日に。

 邪魔立てする妖精たちは駆逐した。

 覚醒した人間たちも全て殲滅した。

 残った最後の魔法少女たちに、リデル・アリスメアーは敗北した。


 とはいえ、リデルは生きている。地球がある限り、その生命が終わることはない。

 ……だからこそ。


「魔法少女魔法少女と……魔法少女を滅した()に、一度も挨拶に来んのは、癪に障る。ムーンラピスばかりを見て、悪夢の根源たる我を見んのは、道理でないのだ。一番上の最強ばかりを見て、その女を一度殺した我を放置など……赦せる筈もない。我、ラスボスぞ?」

「暴論だな。そも、オマエは弱っているだろう?ならば、我の目から外れるのも道理よ」

「ふん。目が腐っとるな」

「なんだと?」


 リデル・アリスメアーはラスボスである。


 半世紀どころか二十年も生きていない小娘など、本来は取るに足らない弱者である。彼女の執念と、決死の一撃に敗北を喫したのは、事実だが。

 悪夢の女王。夢貌の災神。“星喰い”を蝕む神の名は。

 未だ健在───第一部のラスボスは、第三部のラスボスなんぞに負けやしない。


 第二部のラスボスからは、既に了承は得ている。敗北を既定路線にされたのは癪だが、己が不利なのは自明の理。ならば、幾つか保険を用意して憤慨するのみ。

 イメージトレーニングは済ませた。

 毎夜、嫌がるラピスを説き伏せ、厄災としての“自分”を取り戻した。


 矮小にも程がある生き物を前に、余裕の笑みを浮かべるニフラクトゥ。


「……ッ!?」


 だが、その表情は───突如膨れ上がったリデルの圧で崩れ、無意識に戦闘態勢を取らせた。

 轟々と音を立て、深淵より闇が立ち上る。

 歴戦の覇者であるニフラクトゥが、無意識に足を後ろへ退けてしまう。


「それは…」

「我の目的、役目はたった一つ。貴様の無駄に多い命を、根こそぎ削ぎ落とすこと」

「ぐぅ!」


 空間が軋む。世界が歪む。立っていられなくなる程の、濃厚な悪夢が玉座の間を震撼させる。ニフラクトゥさえも床に手をつく程の、空間の揺らぎが世界を支配する。

 女王戴冠。リデルの頭部に、王冠が浮かぶ。

 そのまま、彼女の身体はどろりと溶けて───傍にいたグゥを呑み込み、石畳の隙間へと染み込んでいく。

 逃げたわけではない。

 ただ、同化するだけ。


ゴゴゴゴッ…


「くっ!」


 倒壊する規模で城が激しく揺れた瞬間、ニフラクトゥの身体は強制的に城外へと弾き出される。玉座から入り口の門まで、それどころか、街を超え、国の外へ。

 身体の制御は一切効かず、呆気なく吹き飛ばされ。

 暗黒星雲を手繰り寄せて空中停止したニフラクトゥは、またしても驚きに目を見開く。視界に映る、大きな白亜の街並みに。


 悪夢の国が───ひっくり返り始めた、その光景に。


 ナニカの上にあったのだろう国が、重力に逆らうがままひっくり返る。否、正確には。ナニカの()にあった、城の全てが正しい位置へと戻っていく。

 よく見れば。

 王国の土台となっていたのは───あまりにも大きな、赤いドレスのスカートの中で。


 ひっくり返った怪物、その全貌を、蛇は見上げる。


 その異様は、あまりにも紅く、そして黒く。見るだけで身の毛がよだつ程、この世の全ての生き物に恐怖を与え、悪寒を走らせ、絶望させ、発狂させる巨躯の異形。

 ニフラクトゥですら、肌が粟立ち、汗を垂らす怪物。

 それは、女の形をした怪異。俄かに黒ずんだ血のような真っ赤な色彩と、星空とはまた違った闇が凝縮された黒の二色で構成されたドレスを身に纏う、女王の出で立ち。

 人間とは程遠い肌の色は、闇のようにドス黒く。

 ドレスに覆われた下半身には、足の代わりに悪夢の国が埋め込まれている。狂い果てた初代に代わり、彼女が千年統治した、悪性に塗れた妖精たちの楽園。魔法少女により滅びを迎えた王国を身体の一部とする、国そのもの。

 深紅のドレスに包まれた漆黒の巨腕は胴体よりも長く、虚空にダランとぶら下がり。

 カールやドリルといった螺旋を描く金髪は、光を浴びていないのにも関わらず黄金に輝き。

 その頂点には、歪な王冠と、荘厳な光輪が浮かび。

 黄金の下に沈む顔は、肌と同じく濃い闇に染まり切って見えやしない。のっぺらぼうと言ってもいい程、真っ暗な闇がその容貌を支配していた。

 深紅と漆黒、黄金の怪物は悠然と虚空に浮かぶ。

 背中に浮かべた、ベタ塗りされたかのような漆黒の羽を動かしはせず。


 下半身が国、上半身は女の怪───全長700メートルの超々々弩級生命体。


 その真っ黒な顔に、赤い亀裂が走り……笑みを象る。



 ハ

    ハ  ハ

  ハ   ハハハハ

   ハ


   ハハハハハハハハハ───!!



 完全体へ回帰した【悪夢】───夢貌の災神の、狂笑が世界に響く。


「これが…」


 茫然とした表情で見上げるニフラクトゥ。だが、次第にその表情は歓喜に満ち溢れ……想像を遥かに上回る怪物、明確に、自分よりも“強い”とわかる厄災に、笑う。

 威圧感、殺意、魔力量。

 その全てがニフラクトゥの総量を遥かに上回り、軽々と凌駕していた。


【───さァ、来るといい。遊んでやる。

 我が名はリデル。リデル・アリスメアー。地球に根差す悪夢の神。この世の全てを蝕み、染め、喰らい、支配し、滅ぼす厄災なり】


 声高らかに宣言したリデルが、その巨腕を徐ろに掲げ、横薙ぎに振れば。


 空間が裂け、轟音が鳴り響き、爆風が全てを薙いで……ニフラクトゥの知覚を上回る速度で、振り抜かれた巨腕が激突する。


「ガッ───!?」


 腕一本だけでビルを超える図体を、ただ振るっただけの軽い動作。ただそれだけで超質量攻撃となり、避けきれず防御もできず、ニフラクトゥは弾ける。

 ぐちゃっと音を立てて、粉々に。

 その巨体には見合わぬ速さで、ニフラクトゥは命を一つ消費される。


 無論、瞬時に蘇って───頬が引き裂きそうになる程の笑みを浮かべて、眼前に聳え立つ厄災に、ニフラクトゥは立ち向かう。

 理解する。

 このとてつもない速度を、彼の思い描く好敵手は。星の頂点に立ち、悪夢を従える神にならんとする蒼い月は……対処してみせたことを。

 そして、勝ったことを。

 あもりにも途方もない大偉業、その果てが、己の眼前に君臨していることを。


「面白いッ!!あぁ、すまなかった!見縊っていたことを詫びよう!リデル・アリスメアー!オマエは、実に喰らい甲斐のある、我の敵だッ!!」

【よい、よい。全てを赦そう。さぁ、おいで】

「ハハハッ!」


 狂気じみた笑みを浮かべ、心からの喝采を捧げて。


───淵星魔法“(アレス)”<ハイパワー・インフレーション>


 魔法少女の大敵、復活した厄災との死闘に……その身を踊らせた。



リデル・アリスメアー完全体

───700m超のバカデカタイプのラスボス。デカイ上に速いという理不尽。腕の一振りで台風が生まれ、夢ヶ丘の半分が消し飛びかける威力を誇る。

 宇宙最大の悪夢の具現故に、その強さは本編最強。

 当時のラピス達も、まさか国と一体化してるとは夢にも思っていなかった。フルーフの呪鎖で城(国)を固定できたのは、あらゆる意味でファインプレーだった。

 その場から動けず、超質量の攻撃を繰り出す悪夢。

 リリーライトの決死の一撃、ムーンラピスの我武者羅な総攻撃によって、漸く討伐できたバケモノ。命を対価に、全てを対価にしたことで漸く勝てた。

 ちなみに、この後ニフラクトゥの命を二万程削る。


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― 新着の感想 ―
強い強い言われてたけど、えぇ…
彼らが示した実力から見れば、もし現実世界で交戦するなら、彼らが引き起こした余波は絶対に残りのすべての戦場に影響を及ぼし、事前に戦場を分離する努力が無に帰し、戦況が大混戦になり、双方の損失が制御できない…
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