276-グゥちゃんといっしょ
今更ですがお願いです。
感想は一話につき、一人一回でお願いします。
固定客はありがたいのですが、毎回似たような内容のモノだったり、ネタバレを求めるような内容のモノが多いので困っております。感想を見るだけな方々への配慮もお願い致します。感想数の貢献には大変感謝しておりますが……限度というモノがあります。かさ増しのように思えてきて嫌です。語ってくださること自体は大変ありがたいので、今後ともよろしくお願い致します。せめて、内容を一つにまとめてくださると幸いです。返信がしやすいので。
本作の感想欄が独占市場になっているのはよくないという考えの元、勝手ながら注意をさせていただきました。
対応よろしくお願い致します。
感想自体はいつでもウェルカムなので、ここが好きー!やここがよかった!、ここはどうなの?といったモノまで、作者は首を長くしてお待ちしております。
感想に罪は無いですからね。
初コメ大歓迎です。ください(強欲)。
言葉にならない悲鳴や叫びも大好物です。いっぱい叫んで作者を喜ばしてください。なんといいましょうか。こう、見ていてニヤニヤできるので。
性格悪いですかね笑
説教臭くなってしまいましたが、今度とも夜澄みの蒼月をよろしくお願い致します。
では本編です。
かわいさを摂取する回です。
摂取してください。
「ぐぅ!」
「そうだね、ぐぅだね」
「可愛い名前だね〜」
「ぐーちゃん、走れる?こっちおいで?」
「ぐぅ!」
「わぁ」
ぺたぺたと裸足で走る銀髪幼女こと、グゥ。楽しそうに廊下を駆けるその姿は、覚束無く危なっかしいが……外野で見ている分には微笑ましいことこの上ない。
両手を広げた穂花ちゃんの胸の中に、笑顔でダイブ。
何回か抱き締めてやった影響なのか、表情を動かさずに抱擁を求めるようになった。かわいいね。表情筋がそんな動かないのが傷だけど、ちゃんと笑顔にはなるから、まぁいいだろう。
……名付けをしてあげてから、「ぐぅ」としか言わなくなったのは問題だが。
遊び相手に後輩たちを呼んだけど、いい采配だったね。これで先輩とかを呼んだら、火力主義で無神論者で、歌で全てを解決する猪突猛進なアナザースペックになるところだっただろう。歌に関しては問題ないか。
端的に言って教育に悪い。
人間嫌いの呪い女に任せたら、もっと最悪な赤子になる未来しか見えない。
……僕も人のこと言えないって?
ぶん殴るぞ。
「かわいいな…」
「アレが悪夢だってよ。信じられるか?」
「無理に決まってんだろ」
「うちの娘より可愛くね?」
「バッカテメェ!」
グゥのかわいさは、物陰から様子を見守るズーマーたちからも好評らしい。大の大人が、それも筋肉質なヤツらが揃いも揃って気配薄めてるの面白いな……
それもこれも、グゥが悪夢だからなんだろうけど。
流石にね。かつて暗黒銀河を恐怖に陥れた原因に対して遠巻きになっちゃうのはわかる。警戒しない方が馬鹿だ。それはそれとして絆されてるのはどうかと思うが。
ちなみに、今のグゥの服装は貫頭衣ではない。厳選したかわいい服である。ロリータ系って言うの?なんかこう、リデルとお揃いにしてみた。
色味は水色。リデルの赤とは対比にした。
……意外と似合ってんのよな。全身に走った青い紋様を加味してもかわいい。
「ぐぅ?」
「あっちょっこっち来た!」
「おいどうする!?ここで逃げたら泣くか!?泣かれたら俺ら殺されねェか!?」
「ちょっ、無垢な笑……いや無表情で来てる!!」
「おいやめろこっち来るな!おっさんにくっつきに来ようなんていけませんよ!!」
「ぐぅー」
……興味を示したグゥに唐突に追いかけられ、壁際まで追いやられるズーマー星人たちの野太い悲鳴が聞こえた。全部無視した。遊んでやってください。
今のグゥは好奇心旺盛なあかちゃんなので……
取り敢えず、悪いようにはされてないから咎める必要もない。
「平和だ…」
「久々のヤツだねぇ……あっ、ぐーちゃんこっち来た」
「なんだ、おっさんは飽きたのか」
「ひでぇぜ姐御ォ!」
「姐御やめろ」
ほーちゃんとしみじみ平和を噛み締めていたら、子供の無邪気の犠牲になった虎男から抗議の声が上がった。その呼び方心底やめてほしい。僕はクールビューティであってアグレッシブヤンキーではない。
そう抗議していると、グゥがこっちにやってきた。
その手には───虎獣人からむしり取ったのであろう、白いヒゲが。
酷いな…
「ぐぅ!」
「グゥ、それ捨てて。いらないから」
「お、オレのヒゲ……感覚器官なんで大事にしてくれると有難いんですけどぉ……」
「メソメソ泣くなよ。男だろ」
「そうだぜ、女房にキンタマ蹴られて入院した時よかマシだろ?元気出せって」
「それ引き合いに出すなよぉ…」
「草」
笑っちゃけいないんだろうけど草。仲間たちに励ましを貰っている可哀想な虎を他所に、毛をポイ捨てしたグゥを抱き上げる。グリグリと右肩に頭を埋めてくるが、これも真似だ。寝起きのほーちゃんを見て学習した行為だ。
特に咎めるつもりはない。ほーちゃんならしばくけど。
そのままおっさんたちとは別れを告げ、ぞろぞろと皆で廊下を歩く。
「身体が丸っこすぎて、走るのに向いてないけど……日常生活に支障は来さないぐらいの体力とバランスはある……問題なく活動できそうだね」
「でも、ちょっと魔力漏れには気を付けた方がいいかも。微量だけど、障りが出てたからさ。おっちゃんたちは全然気付いてなかったけど、軽く払っといたよ」
「あー、魔力制御か……悪夢も一緒に溢れちゃってんね」
「どうにかできるアイテムないの?」
「あるにはあるけど、サイズの問題があるんだよねぇ……はいこれ現物」
「うわぁ」
2歳児くらいのだと、すっぽり埋まる所の騒ぎじゃないゴツゴツしいヘルメットを見せてやれば、逆に危ないからと却下された。そりゃそうだ。
魔力操作がド下手な魔法少女によくある問題で、魔力がダダ漏れするせいで魔力切れがしやすい体質になることがある。それを解決する為に、頭をすっぽり覆うヘルメット型の魔導具が造られたわけだが……これがまた欠陥品で。
重いし、ズレるし、息しずらいし、重いし、もうすごい重くてヤになっちゃう代物なのだ。
でも効果はある。なんでなの?
冷や汗ダラダラで注文通りの装置ができたと渡してきたクルルは何発か殴ったけど。
……今の僕なら、文字魔法で改良できるかな。腕輪とか指輪とか、いや、髪飾りの方が邪魔にならなくていいか。子供にリング系渡すと、気になって仕方がないだろうし。
なるべく可愛いのを作って渡してやろう。
……いや、待てよ?帽子か。そうだ、暇そうだしアイツ使えばいいや。僕の髪飾りができるまで、できてからも、お守りの意味も込めて。
即断即決、おいで。
「ハット・アクゥーム」
【───ハットス!ハーット!!】
「うるさい」
影から飛び出してきた帽子頭、ハット・アクゥーム……こいつを使って、グゥの魔力漏れをなんとかする。一応、その場しのぎの策であることは念頭に置いて。
怒られて凹むハットを掴み、グゥの頭に載せる。
不思議そうな顔をされるが、まぁ無視して……おいっ、オマエまでハテナ浮かべてんじゃないよ。僕の半身ならば理解力を高めろ。
被った対象の頭のサイズと、自身のスケールを自動的に算出して最適化できるハット・アクゥームは、しっかりとグゥの頭に収まるように小さくなる。
微々たる変化だが、十分なフィット感だろう。
だいぶミスマッチだが……そこはハット・アクゥームに頑張ってもらうとして。
「ぐぅ?」
「……暫くこいつを被ってろ。魔力制御を肩代わりして、外部に漏れる悪夢の量をゼロ以下にする……できるよな?ハット・アクゥーム」
【ハットス!】
「よろしい」
大きく頷いたハット・アクゥームを撫でてやり、色々と面倒なことを任せる。言ってしまえば外付けHDD、言葉を選ばずに言うなら、介護道具である。
感覚的な魔力制御しかできないグゥの代わりに、体内の魔力を支配する。体外に漏れでないように、悪夢を内側で塞ぎ込む。悪夢の卵時代から魔力の垂れ流しが基本だったグゥの感覚だと、魔力制御にもムラが出て、漏れ出ちゃう可能性が高いからね……
髪飾りができるまで、ニコイチで生活してもらおう。
それとは別に、お守りとしてグゥを守らせる。この子は悪夢的に強いとはいえ、情緒は子供……精神年齢も見た目相応だから、外部からの攻撃には注意しなきゃいけない。
その為の護衛だ。
「手厚いねぇ」
「……悪夢への印象は悪いからね。味方だからって、その感情を呑み込めるかと聞かれたら……普通は難しいだろ?調べたところ、ウルグラ隊とかに悪夢被害者はいないのは幸いかなぁ」
「あー、なんか寝るより鍛錬してそうだし。接続する機会少なさそうだね」
「……脳筋の宿命、か」
「誰が上手いこと言えと」
「だって」
本当に幸いだ。ここでよくある、校舎裏に連れ込まれて脅されたり攻撃されたりする、っていう面倒くさい展開が限りなく0に近いんだから。
んまぁ、戦士以外の一般人はどうかわからんが。
あと潜在的な被害者?僕らが、あとレオードでも把握ができてないヤツ……例えば、内心まだ反感を持ってるのがいるかもしれない。そうかたら、もうどうしようもない。後手に回るしかないね。
読心すればって?それこそ面倒くさい。
最近はプライバシーの問題とかもうるさいから、下手に使うのも、ねぇ?
そん時はそん時だ。そん時になったら考えて、対処していこうと思う。
「そろそろお昼だよ」
「ん?本当?もうそんな時間か……グゥ、ご飯食べよう。悪夢以外の美味しいモノ、食べさせてあげる」
「ぐぅ?まんま?」
「そうそれ……オマエ、「ぐぅ」以外にも喋れるんかい。てっきりもう喋れないものかと……」
「うん、私も思ってた」
「ぅ?」
普通にツッコミ入れちゃったよね。
……ちなみにこの後、ズーマー星人も好き好んで食べるハンバーグをあげたところ、喜色に満ちた顔でテーブルを叩く幼女が完成した。
うん、感性が赤ちゃんだねもう…
これが古参の将星を悪夢堕ちさせた張本人だとは、普通思えないよねぇ。ライオン丸もしわくちゃな顔で食事風景目にしてたし。
「んーまっ!んまっ!」
「よかったねぇ」
「……虫公がコレ見たら、発狂するのか、笑うのか、もうわっかんねぇな…」
知り合いが終わった元凶が手の届く範囲にいるの、結構怖いよね。わかるよ。
でも無視するね。




