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夜澄みの蒼月、闇堕ち少女の夢革命  作者: 民折功利
対“星喰い”同盟

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215/295

201-慣れる慣れないの問題でなく

前半はフレーバーテキスト


 ゆらゆら


 ふわふわ


 ぽわぽわ


 ぬちぬち


 めらめら


『───時間はまだかかる、か』


 こえこえ


 きこきこ


 るるるる


『餌はまだいるのか?』

『わかんない。だって初めての試みだから。まぁ、十分に時間をかけよう。不完全の状態で戦地投入したって、いい結果は得られないもんだし』

『虚神兵か?腐海の最終兵器赤ちゃん』

『オマエそんな風に思っての?』

『うむ!』

『そう…』


 らぷらぷ


 りででで


 あくむむ


 むむむむ


『……何語だこれ』

『そこはピだろ。なんでプなの』

『ムーンラプス、か。改名の時期だな』

『来ねぇよ。すげぇ物騒な月になるじゃんか。ラピスだよラピス。ラーピース』


 らすぴす


『???』

『???』


 ????


───以上、まだ覚醒しない、悪夢の卵とのカプセル越し交流記録より。


 【名もない悪夢】の覚醒まで、あと───…








꧁:✦✧✦:꧂








「魔王様───ッ!」

「おい誰だ人のこと魔王呼ばわりしてるや……なーんだ、山羊んとこのちびっこか。なんで?僕そんな傲慢不遜悪役大帝王みたいな言動したっけ」

「危ない人Lv京ぐらいは」

「安全な人Lv京ぐらいも」

「拮抗してんのかよ」


 ウルグラ隊の訓練風景を見せて貰えるとのことなので、冷やかし気分で向かっていたところ。前方から、こちらに全力疾走する見慣れた異星人、ダビーが駆けてきた。

 酷い言い様の姉妹二人を横に押し倒して、ちょっとだけ久しぶりに会うレッサーパンダと…

 ハイタッチ。


「いえーい」

「いえーい!」

「……いつの間にそんな仲良くなってたの!?」

「再会の挨拶と聞いたので!」

「合わせてあげただけ」

「そ、そうなんだ」


 多分ノワの入れ知恵だな。まったく……察しなかったらどうする気だったんだ。別にいいけど、。瞬時に理解して行動して、子供の夢壊さなかった僕偉くない?

 地球の常識(入れ知恵)を実現できたことに飛び上がって喜んたダビーが跳ねたのに合わせて、捕まえて、しぬかり抱き上げてあげて、せーの。たかいたかーい。

 わーいい笑顔。


「後でナシラにもやってあげてください。ダビーだけじゃ不公平なので…」

「真面目だなぁ。別にいいけど」

「やった!」


 一通りはしゃいでから、ゆっくり床に降ろしてやる。


「あっ、そうだ!ご主人様が呼んでます!皆さんの予定に合わせて、訓練所にいるので、是非お会い下さい!」

「ふーん?いいよ。行ってあげる」

「ありがとうございます!」

「いいってことよ」


 道すがらで良ければ。確か、僕とリリー姉妹よりも早く起きた後輩とか先輩たちとかは、なんか訓練に混ざってるみたいだし。回収ついでに観戦して、魔法解析して、んでカリプスとお話しよう。若しくは同時並行。

 るんるん気分で歩くダビーに先導してもらって、そこを目指す。


 ……なんで寝坊したのかって?いや、起きようとしたら邪魔な重石が二つに増えてて、起床を妨害されただけだ。つまり同行してる2人が悪いわけ。

 なんでエーテもいたのかは知らない。

 僕に恋しくなっては理由にならないから、そこんところよろしく。


「皇帝様を裏切るわけだけど、君は大丈夫なの?なんとも思わない感じ?」

「うーん……ない、ですかね。ダビーが恩義があるのは、ご主人様やレオード様、アリエス様なので」

「へぇ、そうなんた。どんな感じに?」

「奴隷未満の扱いを受けて、食肉加工される寸前に助けていただきました!」

「重い…」

「怖い…」

「酷い…」

「え?」


 思ったより闇深だった。聞かなきゃよかった。好奇心は猫も殺すってゆーのは、こういうことを言うんだね。いや本当になんなのその人権侵害の極致みたいな人生。

 ……怨蟲被害も含めて、放置し過ぎの案件多すぎない?

 一応、この子たちの境遇は改善されてるみたいだけど。多分、他にもあるんだろうなぁ……

 なんとかしてやりたいけど。そこは、僕たちの領分じゃないし、ねぇ。

 頑張れライオン丸。

 任せた。


「ここかな」

「ですです」


 数分後、歩いた先から喧騒が響いてきた辺りで、堅牢な要塞の外に出た。場所は、来た時に戦わせられた場所とはまた違う、っぽい。似てるけど違うな。

 生まれながら戦士である肉食ズーマー星人。その中でも選りすぐりの強者たちが、お互いを鼓舞し、時に貶し合う訓練の様子が、入り口からよく見えた。

 ……後は、魔法少女とアリスメアーの連中が、混ざって鍛錬してるとこも。

 違和感仕事しろ。


「拳が効かねェ!?」

「これが怨蟲を滅した、大偉業の力───!?」

「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!ウルグラの戦士にィ、逃走はないのだーッ!!」

「ぶっ殺せせせせッ!!」

「死合じゃボケェ!」

「最強戦法!秘儀、肉盾!」

「テメェぶっ殺すぞ!?」

「ガハハ、いい盾じゃ!」

「死ねッッッ」


 これ本当に訓練?コロシアムの剣闘士たちの罵り合いの間違いじゃなくて、本当の?すごい世紀末なんだけど……近付きたくねぇ。

 身内同士の喧嘩なら兎も角、魔法少女にもやるなよ。

 あいつらドン引いて……ないな?慣れてるな?なんなら触発されてるな?

 ヤバ。


「プチッとするよ〜、ほら、おいで?」

「残忍な殺し合いの時間だ!!」

「悪夢よりも怖い呪いってのを、教えてあげる」

「デスボイスするから!最後まで立ってた人の勝ちね!!せーのっ!!」

「ぶち轢くのですッ!!!」

「盾ごと貫いてあげるわ!!」

「斧投擲コンテストで一位を目指すんだ」

「ながらコンテストで一位を目指すの」

「やっちゃえぽふー!」

「悪くなさそうだな」

「殺気すごいッスね」

「やれっ、メード!私たちの威厳を取り戻すんだ!!」

「重機混成アクゥーム、再起動しま───大変です陛下!電池切れです!!」

「なにぃ!?」


 …………こ、混沌…


 関わりたくない。特に、女子が率先して殺気立ってるの本当に無理。そこは男二人が血の気多くしてろよ。これは偏見なんかじゃない。純粋に目に悪い。全員顔がいいから余計に鳥肌が立つ。僕よりも弱いのに…

 無関係の人を装いたいけど、無理だなこれは。

 つーかメードはなにしてるんだ。持ってきてたの?僕は把握してないぞ。


 あとながらコンテストってなに。寝ながら戦うって意味ならぶっ飛ばすよ。

 目逸らされた。

 ぶっ飛ばそう。


「混ざってくるね〜」

「わ、私も行こっ…」


 修羅姉妹が乱入しました。もう知らん……エーテも私は違うからみたいな空気出してるけど、全然そんなことないからね。普通に内心ワクワクしてるの、バレてるからね。

 ……昔の気弱な女の子は何処に行ったのか。

 度胸ついたな…


 なんか興醒めっていうか、観察する気を無くした。もう後回しにしよう。


「ってなわけで来たよ」

「なんだ、優先してくれんのか?」

「仲間扱いされたくない…」

「……アーカイブ見た感じ、だいたい似たよーなもんだと思うぜ?」

「えぇ」


 観戦席にいたカリプスの隣に座る。手には美味しそうなフルーツジュースが。それ何処で変えるの。あ、あそこの売店?売店あるのかこの訓練場。

 ダビーが買ってくれるとのことなので、彼女用も含めた駄賃をあげた。

 さて。


「抱っこ要求!平等絶対!」

「はいはい。いや本当、なんでこんな懐かれてんの僕……マージでワケワカメ。はい、たかいたかーい」

「きゃー!」

「……ガキの扱いが上手いからだろ。贔屓目に見てもそう思うぜ」

「そう?」


 もう一人の召使い、ナシラにと同様のことをしてやって満足させる。うん、ちびっ子は笑顔が一番だ。こいつら、僕よりも年上だけど。バグだろもう。

 もう一回とせがむ駄々っ子をあやして、売店から足速に戻ってきたダビーからジュースを受け取り、一旦みんなでフルーツを感じる。

 美味い。


「ズズッ……で、なに?何の用」

「あー、や、アレだよ。ノワールの件。悪かったな、と。改めて謝っとこうと思ってな」

「別にいいのに……まぁ、僕らと違って、慣れてるだろう君たちが可能性として考えなかったのは、責めるべき点、なのかな?理不尽が過ぎるけど」

「思い付きで来るから予測しづれぇんだよな、あれ」

「成程」


 本当に謝罪の為だけだったらしい。なんだよ、律儀にも程があるだろうに。そも、捕虜の扱いなんざどーなろうと仕方ないでしょ。こうなる前までは、カリプスもあの蛇の陣営だったんだし。渡せと言われて渡すのは当たり前だ。

 ……こいつも可哀想だな?いきなりレオードの仲間判定食らうの、控え目に言っても可哀想だと思う。あいつ割と理不尽だよな…

 やさしくしよう。


「アリエスは?」

「妹なら、確か……あぁ、モフモフセラピーだの言って、部屋に閉じこもってたな」

「いい枕になりそうだ」

「ふざけんな」


 でもあの子、前向きに受け入れてるよ?僕の枕としての立場。


 ……頭抱えちゃった。


次回、アリエスが…!?

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