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夜澄みの蒼月、闇堕ち少女の夢革命  作者: 民折功利
魔法少女の日常

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163-や ら か さ れ た


 拝啓、綺麗に成仏しやがった“正義”のお人。いい加減、死後を満喫してないで浄土から降りてきてくれやしませんでしょうか。昔は過激さと正論と生真面目さにうざったく思っていましたが、今やあの面倒臭さが懐かしいです。

 マジで魂降りて来てくれませんか。

 決戦の時に若干顔見せしたんだから。もっかい、ね?

 あなた以外の死者が、揃いも揃いってゴミなんです……そっちにいる辻斬り侍と絵描きと糸使いよりも、あなたを今一番欲しています。多分、僕のこと殺しに来るでしょうけど、別にそれはいいんです。

 取り敢えず。

 取り敢えず…


「さぁ、て……申し開きを聞こうか、エェ?」


 この無能共を一緒に裁いてくれる仲間を募集してます。お願いだから。


 ただいま、賭けに負けたバカ×5☆を説教してます。


 更地にした星見公園は時間魔法で雑に元に巻き戻して、説教場所は移してます。

 魔城の地下で。


「すいませんでした」

「い、いや〜。勝ったのは勝ったんだけど、最後の最後で油断しちまったよなァ」

「見てただけの私はなんも言えないや」

「ノワちゃん捕まっちった、ごめーんっ!」

「マヌケがやらかしただけなのです!」

「ピッド?」

「ごめんなさい」

「よろしい」


 まるで反省する気のないヤツが一部いるが、眼力ですぐ黙らせた。僕はなにも知らなかった。こいつらが将星との接触に成功した上で、突然、謎の力比べを始めようなんて約束を結んだのも。魔法少女には不利なルールを、よりによって自分たちから提案したのを。

 そんでもって、将星の部下に負けるという無様な敗北。

 ……大分、不運めいた結末ではあったけど。なんでそう気を抜くんだ。


 馬鹿正直に捕虜になったノワにも一言言いたい。もう、本当にバカかと。


「フルーフ」

「いや、まぁ。転移してくんの邪魔したのは事実だけど、私だけ怒らんくても、な?」

「話が違うんだけど」

「すいません」


 慌てて邪魔しに行こうとしたら、フルーフから念話で、もうちょい待ってだの来ないでだの言われて、知るかって無視したら魔法的に妨害されて。

 その結果がこれだ。

 なにやらかしてくれてんだマジで。よりによってアイツ捕虜かよ。


「い、一応計画通りではあるんだよ?」

「……どういうことかな、ブランジェ先輩」

「万が一ね、私たちの誰かが負けるようなのになったら、ノワちゃんが捕虜になるよう誘導しよっ、って話にはね、なってたんだよ?」

「だろうね」


 弁明を聴いて、まぁそうだろうなとは思う。

 正直、納得するところはあるんだ。ゾンビマギアの中で捕虜にするんなら、誰をするか。そう聞かれたら、僕ならミロロノワールを選ぶ。

 だって、ねぇ?あいつ、鏡魔法で帰って来れるやん。

 鏡という媒体があれば、あいつは鏡がある場所に何処へでも行ける。移動なんて簡単だ。他にも、鏡を通して情報伝達することも可能。鏡と鏡を繋げて遠方と会話だとか、色んなことができるのが強みなんだ。

 だから、潜伏とかさせたらすごい便利なんだよね……

 死体である以上飲み食いもいらないから、辛抱強ければ何日でも暗躍できるんだ。本人が飽き性で、我慢できずに正体曝露する方が早いだろうけど。

 なんなん?


「あんな奇跡的なことになるとは思わなくない?」

「そりゃそうだけどさぁ……普通そこは勝てよ。最後まで気ぃ抜くなよ」

「はい」


 ……ちっ、反応が辿れん。ノワを起点に場所を暴けるか期待してたけど、そう上手くはいかないらしい。ちゃんと遮断されてやがる。

 ……そもそも、魔法、使わせてもらえんのかな?

 そんな猶予与えるわけもないか。鏡と魔力があれば節約使用できるから、それに期待しよう。

 うん。


「アリエスとトレードしたって考え方なら、まだ納得……納得したくはないなぁ」

「誠に申し訳なく思っております」

「はァ…」


 実質、アリエスとノワの捕虜交換か。クソがよぉ…

 つーか、なに?レッサーパンダとオオカミの異星人……ズーマー星人?だっけか。随分とまぁ可愛らしい召使いを引き連れてるんだね。

 モフりたい。

 んんっ、しかし、どうしようか。どうやってカリプスを蹴落そうか。


 ……うーん。平和交渉とかしてきてくんないかな。


 クソめ。


「取り敢えず、ノワが捕虜でもこっちと会話できるのは、アリエスに伝わらないように口を閉じてね」

「そいつはわかってる。流石にな。もう足引っ張んねェ」

「……別に、最悪ノワが死んでもこっちで復活できるし。余裕だし」

「必死で草」

「黙れ」

「はい」


 強がりじゃないもん。整然たる事実だもん。ふんだ。


 最後に勝てばいいんだよ。なにやったって僕の勝ちだ。あいつの犠牲は忘れない。


 でも一応、罰は考えとこう。

 まずはオマエらからだけど。


───それから二日後。罰の一つ、ブランジェ先輩を強制正座固定させて、ほーちゃんにお任せで足裏こちょこちょいじめさせていたら。

 常備していた手鏡に文字が写り出した。

 ノワールからのメッセージだ。


「メッセ来た」

「あひゃっ、っひ……え?ほ、ほんと?見せて見せて〜」

「ほーちゃんもっとやってあげて」

「わかったんだぜ☆」

「や〜!?」


 もっとエッチな声を聞かせて欲しいなぁと思いながら、鏡の中をエンドロールのように流れる文字をしっかり目で追っていく。

 なになに…?


『───やっほー☆ごめんね捕まっちった☆許してちょ☆取り敢えず捕虜生活満喫してまーすwww衣食住とか色々と納得できないけど、十分生活はできてるよー♪』

「うっざこの文面。殺すぞ」

「もう死んでるよ〜」

「っ〜!?」


 ナメてんのか。文字だけなのに顔浮かんできたわ。


『なんかねぇ、将星さんたちは、魔法少女のことについて知りたいらしくってさ?取り敢えず、ワタシが覚えている魔法少女の歴史とか、どんなのがいたとか、どういうのと殺り合ってたのかをお話しといたよ。あっそだ。拷問とか尋問とかはされてないから、安心してね☆』

「そこはされてろよ。汚い面見せろや。笑ってやんよ」

「性格悪いとこ出てるよ〜」

「アハハハハハハハ!!」


 魔法少女についての情報収集、ねぇ……確かに、相手を知るのは戦闘において大事だ。わかる。僕はメーなんとか将星の記憶読み取って、ある程度理解できたって大前提があったから余裕保ててるけど。

 あとアリエス。

 優秀な捕虜だ。色んな意味で。今日の朝も枕として有効活用しました。


『その話してたら、チビッ子召使いたちにめっちゃくちゃ興味持たれちゃってねぇ〜?一時間に1回話せがまれて、膝の上に乗られたりしてるよ。いいでしょ〜』

「子供故の純粋さか…」

「絆してんね〜」

「ァ…ァ…」


 懐柔成功と。どうやら縄で縛られるとか、拘束なんかはされてないらしいね。めっちゃお姉さんぶってんなこいつ調子に乗りやがって……

 映像で見た感じ、結構薄汚れてたけど……お風呂とかは入れてない感じなのかな。

 何処潜伏してんだろ。


『ちなむと、この人たち日雇いで日銭稼いでるっぽいよ。真面目さんだよねぇ。持ってきた宇宙の換金物、日本円と交換できるとこないかって聞かれたから、ラピピの名前、挙げといたよ(笑)』

「何故。いらん仕事増やすなよ」

「でもできるんでしょ?」

「やろうと思えばね」

「あっ、あひっ…」


 つーか日雇いって。ちゃんと地球に馴染もうとしてるの好感持てるな……匿名支援とかやってみたら、どんな反応するんだろう。見てみたい。ドッキリ企画でどうかな。

 そう悪い慈善行為を考えていると、ノワからのメッセが途絶えた。


 最後の文は……


『追伸:これから銭湯で女児のお世話しまーす。ウケる』


 おっけーわかった。行くわ。


「銭湯行くよ」

「えっ?やったー!どこの?」

「さぁ?」


 そこまでは書いてなかったから、虱潰しに探すしかないだろうね。取り敢えず異星人たちには気付かれないように接触をして、この目で無事を確かめたい。鏡の位置特定もできないから、これは急務なんだ。暇そうなほーちゃんも誘ってやるとしよう。勉強で疲れてるだろうし。ちょっといい感じに変装してバレないようにして、潜り込もう。

 ノワの返還を求めないのか?いや、それはもういいや。勝手に捕まってろカスって感じだから。暫く僕の庇護下にいれないことを後悔するんだなぁ!

 あと、ちびっこ召使いのモフモフ具合も視認したい。

 ……決して私欲は混ざってないよ。ノワの方が一番大事だもんね。


 一風呂浴びたい気分〜、あっ。そういえば。


「あひゃ、あはっ、あはは…」


 先輩、壊れちゃった。


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