13-悪役だって配信したい！
───知らんうちに三銃士の配信が決まっていた件。
寝不足気味でソファに倒れていた僕は、寝落ちした頭の回転速度をそのままに、SNSの定期巡回を始めたのだが。まさか愚痴垢で事後承諾もなく配信が決まり、拒否権なく執り行われることに衝撃を受けた。
可哀想、三銃士が。なに考えてんだあのバカ。
問い質したい気持ちは山々だが、配信は始まる直前……仕方なくここは妥協して、三銃士の配信を視聴することにする。
……これ絶対全員出ないよな。チェルシーちゃんは中間テストあるし……なんなら有給休暇の申請書類まで持って勝ちに行ってるんだよあの子。
勉強地獄から解放されたのに、やっぱ抜けないんかね。
ビルは前職の性質上、表舞台には立ちたがらない。今は魔法少女戦で必要だから出てくれてるけど……これでもし身バレ防止してなかったらダメだったかもしれない。
うん、ペローの一人配信になるんじゃないかなこれ。
「楽しみだなー」
「……ねぇ、オマエに怒ってからの記憶がないんだけど。魔法使ったりした？」
「うむ。強制睡眠ってヤツだな」
「はァ」
身に染み付いてる魔法残滓が睡魔系統とは違うのは……これ、とやかく言わない方がいい？うーん、どうしよう。意向を汲むべきか否か……
そう首を傾げている間に、配信画面が発光した。
始まったか……仕方ない、追及するのはまた今度にしてやろう。
「助かった……」
聞こえてるからな。
「……む。誰もおらんぞ」
「ボイコットじゃない？」
配信画面には赤いソファと洋館風の部屋が映っており、そこには誰もいない。メードが用意した配信部屋だが……うん、やっぱりいやだよねぇ。そりゃ逃げるわ。
……画面端からチラチラチラ、うさ耳見えてるよ。
：逃げたか？
：でておいでーこわくないよー
：アンチが生き生きしてるぞ
：炎上させろー！
：※このコメントは削除されました☆
：※このコメントは削除されました☆
：荒れてんなぁ
本当に生き生きしとる。んまぁー敵側だから仕方ない。世界の敵を本心から擁護したがるヤツなんて、あたおかを除けばいないだろうし。
コメントの感性は間違ってないと思うよ。
……言われてばかりでなにもしないわけじゃないけど。ちゃーんと削除コメは特定して、アクゥームにできるのか参考にしますので。
『───はいはいはい出る出るから！コメントでイキんなバカどもが！うちのボスに特定されてアクゥームの素材にされても知らねぇからな！？』
『んんっ、ドーモ！三銃士ペローです！
嫌々ながらヨロシク！』
：黙ります
：死にたくないです
：許して
：泣
フリかな？やってもいい？あ、ダメ？好戦的すぎ？
『かぁーッ、どうすんよ。台本もなにもねェーぞ？マジでいきなりだったんだぜ？お前らよりもオレらの方がすげぇ困惑の坩堝にいたんだからな？』
『マジでどうしよ。なにするか決めてねーよー！』
：可哀想
：反応したせいでアカウント特定されてたな
：猫ちゃやが学生であることに喜ぶなどした
：嫌だけど同情する
：他の2人は？
：サボりでつか？
：押し付け？
それに関しての文句はリデルにどうぞ。僕は知らん。
『あー、それね。一応言っとくか……チェルシーちゃんは普通にテスト勉強。あの子、有給休暇まで取ってテストに挑んでるから。ビルの兄貴はよくわからん。呼び出す前にどっか消えたから……多分逃げたな』
『はァー、オレも女王サマに捕まんなきゃなァ……』
「なんだ、私が悪いような空気感ではないか」
「事実悪いでしょ」
「むぅ」
：勉強頑張って偉い
：偉いから悪夢に閉じ込めないで
：兄貴逃走
：可哀想
：ベローはネタ枠だから、逃れられないんだよね
：がんば
『だからさぁ……ベローって言うのやめね？あんま揶揄いすぎんなよ？』
もう定着してるから無理じゃね？
『はァ〜、ヨシ、やるか。こういう無茶振りには慣れて、慣れたくねェ……』
『腹括ったわ。取り敢えず質問コーナーでも開くぜ』
「これ私も送っていいのか？」
「匿名ならいいんじゃないの」
「そうか、そうか。ならこのアカウントでいいか。なにも書いとらんしな」
複数持ちかよオマエ……ネット生活満喫してんな……
：なんで三銃士になったの？
：アリスメアーは何を考えているのか
：魔法少女のことはどう思ってる？
：魔法少女に負けるのどんな気分？
：瞬間移動の原理
：バイト戦士とは
：なんでペローなの？ベローでよくない？
：おたくの女王おかしくね
：───
：───
『キミら大分自由ね？そんな聞かれてもお兄さん無理よ？答えられないよ？』
『いやいや多い多い多い！多いって！！』
『はい締切ッ！ここまで！───ここまでだって言ってるだろうがッ！』
やっぱ不憫枠だよね、君。選んで良かった。一人ぐらいいてくれた方が空気感が違う。
旧世代の三銃士は全員血の気多かったからなぁ……
……アイツらの死体っていうか、抜け殻地下にあるからいずれ復活させよう。勿論中身のない人形として。
対魔法少女戦ばかりに専念しているわけにはいかないのだから。
……うん、そうだね。早めに進めておこうか……あまり悠長にもしていられないし。
「席を外すよ」
「む？いいのか、見ていかなくて」
「用事ができた───アーカイブで全部見ればいいしね。優先順位は履き違えられない」
「そうか。ふむ……オマエは忙しないヤツだな」
「君は変わりすぎなんだよ。呑気すぎ、無警戒すぎ」
「くふっ、そうでもないぞ？オマエ相手だからなだけだ。そう言わんでくれ」
どうだかね。
急ぎ足で部屋を出て、転移魔法を使いラボスペースへ。配信を見れないのは痛いが、心に余裕がある時に見る方がまだ楽しめる。今はちょっと、気掛かりが多すぎる。
培養液に浮かぶ６人の魔法少女と、その更に奥に浮かぶ怪物たちの再構築物。
「……確か、リデルから中身入りで復活させてほしいってリストがあったな……あー、まぁこいつらなら……あんま危険視しないでいいヤツらだな。一人除いて。こいつだけ精神崩壊させて投入しよう。さすがにヘイト買いすぎだし多分納得されないし。元の人格がどうだったのかは流石に知らないけど、もうとやかく言えないしねェ。仕方ない。そう、仕方ないから……いや友達の仇に容赦する必要とかないわな。ハハッ、どんくらいかかるかわかんないけど、ぶっ壊した状態で運用してやるからなァ。ざまぁみろ！」
旧世代のアリスメアーから復活怪人要素を取り出す予定なんだけど、まぁ悪巧みするよね。
あーあ、鬱憤晴らしながら組織運営するのたのしー！
新生アリスメアーの最終目標の為にも！僕は！倫理観を投げ捨てる！！
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181：名無しの視聴者
現時点での質問回答まとめ
・三銃士になった経緯
→死にかけの時に悪魔の契約を交わしたから
・アリスメアーの現在の方針
→悪夢の収集（内容発信は許可済み）
・好きなタイプ
→裏切らない子
・魔法少女をどう思ってるか
→眩しい
・同僚のことどう思ってるか
→寝すぎ、甘えん坊
→手が出るのが早い
・バイト戦士なの？
→三銃士は高額収入だけど、それはそれとして自由に使えるお金が欲しいから
→バレてないのは魔法パゥワー
・魔法少女に負けてどんな気分？
→組織的には二の次だから一切の支障はない
→個人的にはムカつく
・瞬間移動の原理ってなに？
→教えるわけないよねー！
・女王おかしくない？
→ノーコメント
・なんでベローじゃなくてペローなのか
→なんでそんな改名提案多いわけ？
→名付け親は帽子屋の旦那 本人に聞いてくれ
・帽子屋ってだれ
→怪人
こんなもんでいい？
182：名無しの視聴者
まとめthx
183：名無しの視聴者
>>181
ありがとー
こう見てみると結構重要なこと言ってるよな
184：名無しの視聴者
魔法少女に負けることは別にいい、ねぇ
なに企んでんだか
185：名無しの視聴者
大丈夫！俺達にはリリーエーテちゃんたちがいる！
アリスメアーなんてまたコテンパンにされるだけ！
気にしないで平気だろ！
186：名無しの視聴者
超楽観的なスレ民だこと
187：名無しの視聴者
かれこれ一時間、まぁよくやった方なんじゃない？
188：名無しの視聴者
てか帽子屋って誰よ
マジで知らんのだが
189：名無しの視聴者
怪人はお前もだろうが定期
190：名無しの視聴者
取り敢えずコメントと殴り合うの面白いな
見てて愉快
191：名無しの視聴者
一切の躊躇いなくプロレスしてくれるの、逆に好感持てる要素だわbyアンチ
192：名無しの視聴者
>>191
お前が勇者だ
193：名無しの視聴者
>>191
特定された気分はどうだ？
194：191
DMに年齢住所書かれた文章が送られるだけ送られて
その後の反応はありませんがなにか
余裕綽々でキーボードポチポチしてますがなにか
ちなみに今布団にくるまってる
195：名無しの視聴者
>>194
ビビりで草w
196：名無しの視聴者
>>194
軒並みアンチしてたヤツら黙ってったもんな……
197：名無しの視聴者
流石は悪の組織
有言実行の鑑だ
198：名無しの視聴者
脅しも強いしな……
199：実況
ペロー「……ネタ尽きたな、どうしよ」
コメント：他の三銃士と通話は？声だけでもどーよ
コメント：↑おまえ猫ちゃやファンだろ
コメント：↑勉強の邪魔すんな
ペロー「あー、成程ね？うーん、うーん。
……電話ぐらいは許されっかな？」
ペロー「もしもし？」
チェルシー「……なに？ぁふ……電話しないで……
勉強で忙しいんだけど？」
200：名無しの視聴者
猫ちゃやキター！
201：名無しの視聴者
眠そう定期
202：名無しの視聴者
勉強してて偉い
203：実況
ペロー「いやさぁー、やることなくなってさ？
勉強の合間にどーかなー、なんて。ど？」
チェルシー「……えぇ、めんどい」
ペロー「そこをなんとか！ほらっ！！
あとで安眠グッズ買ってやるから！友達黙らせる超快眠セット買ったるから！」
コメント：賄賂やん
コメント：友達を黙らせる……
コメント：うるさいのかな？
コメント：寝ろ
チェルシー「……5分ね」
ペロー「わーい」
204：名無しの視聴者
チョロい
205：名無しの視聴者
ペローの音量下げて
206：名無しの視聴者
もっと声聞かせろ
207：名無しの視聴者
猫ガキファンってこんないるのか
208：名無しの視聴者
>>207
基本戦闘時も寝てるだけで
ヘイトもそんな買ってないからかな……
あと普通にかわいい
209：名無しの視聴者
ハニーデイズちゃんに抱っこ回収されても逃げないの
本当にネコちゃんって感じして良き
210：名無しの視聴者
>>209
家猫じゃねぇーか
211：名無しの視聴者
チェルシーちゃんは飼い猫だった……？
212：名無しの視聴者
その場合デイズちゃんが飼い主なんですが
くっ、想像しただけで……うっ
213：名無しの視聴者
>>212
惜しい人を亡くした……
213：名無しの視聴者
おかしい人の間違いだろ
214：実況
チェルシー「なに話すの……」
ペロー「将来の夢について───永年首相になって
日本掌握とかどう？」
チェルシー「切るね」
ペロー「ちょ待って！？」
コメント：ねむねむ国家爆誕、ってこと！？
コメント：日本終わる
コメント：こんな可愛い子がトップだったら財政傾くわ
コメント：国会居眠りが正当化されちまう
コメント：決断が早い！
215：名無しの視聴者
ある意味アリスメアーの勝ちやんけ
216：名無しの視聴者
魔法少女が戦いに行けない業界に行くな
217：名無しの視聴者
政治系魔法少女！？
218：名無しの視聴者
いるだろ
もう大人だけど、元魔法少女の人達が
219：名無しの視聴者
あんま詳しく知らないけどなあ
配信魔法が始まる前の古い世代だし……
なんか言ってるなー程度の感想
220：名無しの視聴者
御局、ってこと！？
221：名無しの視聴者
先代たちみんな嫌そうな顔してたし
そうなんじゃない？
222：名無しの視聴者
おばさんずの話はやめようぜ
今の世代の話をしよう！
223：名無しの視聴者
>>220
>>222
ド辛辣で草
224：実況
チェルシー「トカゲのおにーさんは？」
ペロー「あー、連絡繋がんないんよねぇ……
確実にバックれてるわ」
コメント：三銃士揃い踏みみたい
コメント：3対3の大乱闘、ってこと！？
コメント：やばいことになりそう
225：名無しの視聴者
大惨事大戦じゃねェーか
226：名無しの視聴者
夢ヶ丘残る？
…
…
…
447：実況
ペロー「そろそろいい時間だし、終わりにするぜ！
オレたち新生アリスメアーが昔とどう違うのか、そこんところはわかってもらえたと思うぜ！二回目とかがあるかわからんけど、次もヨロシクなー！」
コメント：乙
コメント：二度と悪さすんな
コメント：また見る
448：名無しの視聴者
もう終わった……
意外と早く感じる
449：名無しの視聴者
悪くなかったぜ
450：名無しの視聴者
前身との違いが凄まじいわ
昔なら配信とかしないわな
451：名無しの視聴者
でも負けてろ
勝つな
452：名無しの視聴者
魔法少女ドヤ顔配信が見たいからな
453：名無しの視聴者
死なないならなんでもいいよ
死ぬ瞬間を見せられるのはいやだ
454：名無しの視聴者
それでも配信を見ちゃうのは〜？
455：名無しの視聴者
人類の業
456：名無しの視聴者
性癖
457：名無しの視聴者
おまえら……
458：実況
皆様楽しんでいただけて何よりです
それではこれにて文字起こし業務を終了致します
以上アリスメアー幹部補佐でした
459：名無しの視聴者
>>458
460：名無しの視聴者
>>458
461：名無しの視聴者
>>458 ！？
