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ささっと読めるショートショート

全自動ペット型洗濯機

作者: 黑神レン。

友人のタカサキの家に行った時の事。

犬みたいな姿をした、ずぼらな人やペットを飼いたい人におすすめな、

全自動ペット型洗濯機を自慢してきた。


タカサキは流行りの物に目が無く、

「飽きの早い俺もこれなら一生もんだわ」と

毎日散歩して可愛がっているらしい。


「お前も洗濯してみるか?まじで可愛いし散歩してるだけでちょちょいのちょいだぜ?」と俺にリードを押し付ける。もしやタカサキ、お前ちょっと散歩めんどくさくなってんじゃねーだろうな?

なんて思いながら、一人暮らしで寂しい俺はせっかくなので散歩をかって出ることにした。


まずは顔面をパカッと開き、食事となる汚れた洗濯物を入れてあげる。

満面の笑みで「わんわん!」と吠え俺の周りをまわり出す。

かわいい……!全自動ペット型洗濯機にも性格があるらしく、

この子は初対面な俺にも警戒する事の無い、明朗快活な子だ。

それから洗剤や柔軟剤など入れてやると、今にも走り出しそうなぐらい元気で、

なんだか俺も既にお迎えしたくなってきた。

「こいつ名前はなんて言うんだ?」

タカサキに尋ねると、「洗濯機」とだけ返ってくる。

マジかよ……。まぁでも言いたい事を飲み込んで、とりあえず散歩に出かけることにした。


結果から言うと最高だった。

散歩中も可愛さ全開でまるで本物の犬の様だ。

またお世話させてくれとタカサキに告げ本日は帰路に付く。

来月ぐらいにお迎えしよう。全自動ペット型洗濯機取り扱いのペットショップを巡る計画を立てた。


あれから1か月が経ち、最後に洗濯機をお世話させてもらおうとタカサキのアパートに向かう。

ずぼらなあいつはメールの返信もずぼらだ。

いくら待っても返信が無い。戸を叩いても出てこない。

さすがに心配になってきた。

引っ越したなんて聞いてないし、一体どうしたんだろう。

とりあえず大家さんに連絡する。


大家さん立会いの下鍵を開けてもらった。

玄関を開け、奥の部屋へと立ち入る。

そこには全自動ペット型洗濯機に顔を突っ込んだ、

身元不明の腐乱死体恐らくタカサキだと思われる男性が死んでいた。

驚いて声が出せない大家さんと俺は急いで警察に助けを求めた。


警察官曰く、この洗濯機がタカサキを汚れだと思ったんじゃないかって。

だから飼い主を洗濯してしまったんじゃないかと。

確かにタカサキはズボラだった。こいつお世話サボって放置した可能性が考えられる。

自業自得だな。こんなに可愛い子にそんなことするなんて。


因みに全自動ペット型洗濯機の洗濯機は無事生きていることが確認された。

腐敗したタカサキの汚れと体内の水分を補給していたことで、匂いは酷いが健康状態は無事らしい。

もちろん俺が引き取ることにした。

酷い環境で育ったこの子を今度は俺が必ず幸せにする。

そう心に誓って。


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