現代人の俺がスマホもなしに戦国時代に放り込まれたら
目を覚ましたら、そこは寺院の中だった。
どうやら眠っていたらしい
顔を右に傾けると仏様と目が合った。ほのかに線香の匂いが漂ってくる。
(なんだこれ?)
起き上がろうと思うと体中が痛いことに気づく。そしてなぜか白装束を着ている。
状況がつかめなさと痛さの中、身を起こす。
開け放された板戸からは夕陽と青々とした草木が見えた。
季節は初夏の夕方のようである。
どうしたらいいのか分からないので、布団に入ってまた寝るかと思い布団に引き返そうとすると
一人のお坊さんが本堂に入ってきた。そして顔を上げ私と目が合い
俺は思わず
「あっ・・・」
っと声を出すとお坊さんはまるで幽霊を見たかのように顔は青白くなり慌てて本堂から出ていってしまった。
(しまった・・・やっぱり寝てるふりしとけばよかったんだ・・・)
と俺は布団に戻りそのまま目を閉じる。
ウトウトしかけているとドタドタと足音が響く、数人はいる気がする。
俺は近づいてくる足音にかなり不安になった。何もしてないのに
バーンと襖が開けられ、大声が響いた。
「殿ー!!! 殿ー!!! 黄泉の国よりお戻りになられましたか!!!」
(殿って誰だろう?他にも寝てるやついるのか)
俺が寝たふりをしているとその声の主は怒号を上げた
「この生臭坊主!!愚弄しよったな!!斬り殺してくれるわ!!!」
「待たれよ市蔵!斬り殺してはならん!仏法に仇なすと天罰が下る」
「口出し無用じゃ甚右衛門殿!もう天罰は下っておるわ!死ね坊主!」
シャキっと鋭い金属音を聞き、俺はただ事ではないことを悟り次の瞬間
「ちょっと待って下さい」
俺は起き上がりそう言ってしまった。
目の前にいる男たちは大河ドラマみたいな格好をしている。
そしてモジャモジャヒゲの刀を持っている大男は目に涙を浮かべて
「殿が黄泉より蘇った・・・」
とすすり泣き始めた。その隣で小さいお爺さんは口をへの字にしてすすり泣いている。
お坊さんは念仏を唱えている。
「ちょっと待って下さい。殿っていうのはもしかして私のことですか?」
すると3人はキョトンとした顔でまるで信じられないというように俺を眺め
「左様でございますが」
「・・・!?」