24話、剛討伐計画3
「「いよっ!」」
僕と桐条の2人で堂理を肩に担ぎ、そのまま逃げようとする。
「ちょ、ちょっとまって欲しいんだ!」
三浦先輩が逃げようとする僕らを少し呂律が回っていない口調で引き止める。
「どうして奴が止まったんだ?後なんでその子は動かなくなっちゃったんだ?」
正直、三浦先輩が言っていることはわからなくもない。
加速、減速の様な速度を変えてしまう能力はとてつもなく強い、再生力を早めて傷を癒したり靴の落下速度を落として空気を蹴ったり、そんな面白く尚且つ強いことはが沢山出来る能力だ。
そんな能力者がこんなDクラスの一員になっているとは考えられなかったのだ。
「そんな事はどうでも良いぞ!三浦!早く逃げるんだ!」
清島先輩が三浦先輩の肩を揺さぶり訴えかけるが、三浦先輩は容易にその手を払いのけ真剣な眼差しでこちらを見る。
すると僕の横にいた桐条が口を挟む
「...何故Dクラスに彼女がいるか?って事だろ?そんなの簡単だ、デメリットだよ、デメリット」
能力の中には、デメリットが存在する能力がある。
ちなみにそのデメリットがある時点で多々間川学園ではクラスが2個も下がってしまう。
デメリットは、堂理の自分も遅くなる、様なものから鼓矢の自爆の様に多種多様な種類がある。
軽いものだと、
お腹が空く、喉が乾く、など生理現象に関わってくるものが多いのだが、
悪いものになってくると、
15分間目が見えなくなる、一週間左腕が使えなくなる、などなど五感に関わってくるものが多くなり、
最悪の場合
使うと死ぬ、一生左目が見えなくなる、
そんな部位欠損や死亡などの酷いものがある。
そんなデメリットの他にも回数制限がある能力もある。
1日に5回しか使えない、一週間に14回...
などなど、想像できる様なものである。
「...ってことは、堂理...さんは能力を使うと、自分が動けなくなるって事でいいの?」
岸村先輩が聞いてきたので頷いてその問いを返す。
「ほ、ほら!は、早い逃げよう!」
やはり清島先輩が三浦先輩と岸村先輩を急かし、やっと逃げ始めるのだが...
パチッ!!
「「「「「っ!?」」」」」
バヂィィィィ!!!
いきなり大きな音がなったと思ったら金髪から大量の電気が流れ始める。
ヂヂヂヂッ!!!
今まで殆ど動いていなかった金髪の身体がゆっくりと、まるで亀が前に進んでいるかの様なスピードだが徐々に徐々に放電を続けている右腕が動き始め...
「不味い!!!」
岸村先輩が左腕を30mぐらい先にあった避雷針の方向へ向けて能力を発動させる。
避雷針の途中から馬鹿みたいに長い道路標識が伸びてきて一瞬で金髪と僕らの間に割って入った。
ヂヂヂヂヂッ!!!
金髪の右腕から僕らに向かって放電が始まるが、割って入ってきている道路標識の金属に反応し少しカーブする。
が、勿論全てが曲がり切るわけではないので少し地面に流れ僕らは感電する。
「ぐっ!」
感電し、僕らの殆どが力が抜け地面に倒れこむ。
それに不幸は重なる。
「ふぅーやっと動ける様になったぁ〜あれ結構かったるいんだよなぁ?知ってた?」
堂理の能力が解除されたのだ。
「ごめん〜ね?遅くしてる時に〜攻撃受けると〜一瞬で解けちゃうんだ〜」
そう言い終わった途端、清島先輩が声を出した。
「なぁ、もう3分たったぜ?やっと能力が発動できる」
そんな事を言うと他の先輩方も安心し始める。
「おっ、ついにか」
「ふぅ、せめてこれで一安心か」
「一体清島先輩の能力って...?」
そんな素朴な疑問を聞くと、自慢する様に能力の詳細を語り始めた。