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知は力 戦略は刃 能力はオマケ  作者: かりんとう
パシリ奴隷編
19/27

19話、通る電車にご注意下さい


大量の機械の起動音とともに電脳空間が形成されて行く。


観戦者は誰もいない、この勝負に賭ける人もいない。


そんな見る価値のない戦いが始まろうとしている。



Dクラスのみんなは電脳空間を形成する際に発せられる光によって目を閉じていたが、機械的なアナウンスで目を開く。


【電脳空間、タイプ地下鉄ホーム、通る電車にご注意下さい】


そんなアナウンスと共に見えて来たのは、良くある地下鉄のホームで、Dクラスの僕達はどうやらホームの一番端にいるようだ。


「駅の端か、なら相手も端にいることになるのか?」


佐々木がそう呟きながらエアガンの弾を装填する。


すると、和笑がいきなり声を上げる。


「栗原くんは直ぐにみんなに回復を掛けておいて!鼓矢さんと鈴木くんと高橋くんは前衛!後衛は佐々木くんと前田くんと栗原くん!それ以外は全員真ん中に行って!地味に多々間川さんは前よりで!直ぐに鈴木くんと高橋くんで索敵を!」


和笑の声でDクラスが直ぐに陣形を組む、


前に灰が大量に飛び、鼓矢は身構えて敵を待つ。


「このまま進むよ!」





剛はムカついていた、いや、憎んでいたの方が正しいのであろう。


強い兄がいて、いつもその兄と比べられ、いつの間にか自分より下の人を殴ってストレスを発散していた。


別に剛が可哀想という訳でもないし、最低だという訳でもない、ただ単純に馬鹿なやつだと周りからはそう思われていた。





ウガァァァ!!


ドォォォーーン!!


「「「「っ!?」」」」


いきなり聞こえて来た大声と、なにかが崩れた様な音と衝撃に相手の強大さを思い知らされる。


「い、居た!ここから25mほど先の売店の影になっているところあたり!曖昧だけど!」


鈴木の忠告にDクラス全員が唾を飲み込む。


ヒュォォォォ...


ガタンガタンガタン...


地下鉄の線路に電車が通る、その時に出る風によって剛の服が揺れ、一瞬だけ場所がわかる。


「あっ!あそこよ!もうあんなところに!」


清水が甲高い声を上げる。


「ちょっ、そんな大声出したら!」


瀬木が止めるももう遅い、こちらが気づいていることに気づかれてしまった。





剛が姿を見せる。


「まず私が行くわ、佐々木、援護頼むわよ」


「...わかった」


鼓矢さんが佐々木にそう伝え、鼓矢さんは剛に向かって走る。


「出てくるのは女だけかぁ!?はっ!どんだ腰抜けだな!Dクラスは!」


その大声に合わせて佐々木がエアガンを線路の方に向かって撃つ。


そのエアガンの弾はギュインと曲がり、剛の方向を向く。


鼓矢は適当な構えを取る。


「どんな能力かは知らんが俺のパワーを上回れるわけがねぇ!!」


そういうと、身体強化型の能力特有の模様が剛の右腕に浮かび上がり剛は右腕を振りかぶる。


「佐々木!行くよ!!」


その言葉の直ぐ後、地下鉄のホームに爆音が響いた。


鼓矢は足の半分を自爆させた。


いつもよりも弱く、ほとんど威力もなく、人1人を飛び越えられるぐらいの高さまでしか上がらなかった。


しかしそれでいい、剛は爆発とほぼ同時に拳を放ったが爆発で避けられてその拳は当たらない。


ここで鼓矢は考えた。


リスクはあるが一撃大きなものを撃つか、リスクはないが、小規模なものを何発か放つか、一瞬だけ考えたが鼓矢はなんとなくで一撃必殺を選んだ。


キィィィィン...


甲高い音を立てながら剛にがっちり捕まる。


が、身体強化型の力に耐えきれず、線路の方へ投げ出されてしまう。


「あっ...」


そんなあっけない声と共に鼓矢の自爆は失敗に終わる。



佐々木が使うエアガンは、色々と改造が施されており普通の物と比べると15倍ぐらいまで強化されてある。


実際、その威力で人の体に当たるとおぞましい色に腫れるか1cmぐらいまで埋まると言うとても凶悪なものになっている。


しかし、そんな弾を...


「ん?なんだ?BB弾か?」


ほぼ、と言うより無傷で受けたのだ。


能力者になると基本的に身体能力などの向上が起こる。


例えば火を使う能力であれば火に耐性を持つ様になったりとその効果は色々であるのだが、効果が被りやすい身体強化型の殆どが防御力向上の効果を持っているのだ。


勿論能力学でそのぐらいは佐々木も分かっており、防がれつつも少しはダメージがあるかな?と思い打ったのだが結果はとても残念なものであった。


「う、嘘だろ?これでもチーム最高火力のうちの数人だぞ?」


そんなことを高橋が呟く、するとここでめんどくさそうに桐条が口を開く。


「もう最悪、栗原の毒をかけてずっと逃げればいいんじゃね?それか多々間川の特攻か」


「ちょっと!」


清水が止めに入るが、その言葉がいい終わる時にはもう多々間川は剛に向かって走り出して居た。


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