17話、足元の違和感とガラスの音
「「ん?」」
堂理さんと2人で蹴っ飛ばした扉だったが、どうやら少し前に人がいたらしく、その人を踏みつけてしまったのだ。
しかし、僕と堂理さんは急いでおりそんな事には気付かずに《なんか踏んだ時の感触が柔らかい》ぐらいしか違和感を感じておらず、そのまま教室へ向かったのだった。
「うっ、なんでこんな目に...」
急いで廊下を走り、教室のドアを開けるとほぼ全員が揃っていたが、男子は机に座りゲーム機を持ち込んでゲームをしている。
女子の方は、なにやらネットの占いの結果で盛り上がっているらしい。
「あっ、堂理ちゃんに栗原君、遅かったね〜」
そう鼓矢さんが話しかけ来たので、
「Sランクの人に会ったんだけど」
そう言うとすこし鼓矢さんは驚く。
その言葉に続いて
そのあといきなり時間が進んだみたいになって遅れた...のかな?
と、言うと大方の予想を日比谷がする。
「あぁ、それならSランクに時間を操作できるやつがいたはずだから多分そいつかな?」
そんな何気ない会話をするのだが、つい先程授業開始のチャイムが鳴ったのに授業をしている気配がないのに気になり横でゲームをしている男子に声をかける、すると、佐々木が口を開く。
「あの先生、どうやらヤのつく人達に金借りていたらしく、その借金を延滞したせいで臓器を大体全部取っ払われて死んだらしいぜ〜まぁ...噂だがな」
佐々木が予想外にハキハキ喋るので少し驚いたがすぐに暇になり何をしようか考えた結果皆にパシリについて聞いてみることにした。
「んあ?パシリ?されてねぇよ」
佐々木はこう答え、
鈴木は
「良くされてるよ〜」
と、気楽に答える。
そして、分かったことは男子は佐々木を除いてほぼ全員がパシられており、
女子の方はパシリは特に無いものの、良く悪い噂を流されたり、偶然会った時に水を掛けられたりなどと酷い有様だった。
そんな悲惨なDクラスの状況を目の当たりにし、頭を抑え唸っていると、
いきなり、パリーンッ!と、ガラスが割れる甲高い音が響く。
「「「「っ!?」」」」
Dクラスの人が全員警戒態勢に入り、さっきまでゲームをやっていた男子も、占いの話や愚痴の話で盛り上がっていた女子も一瞬で静かになり席を立ち上がる。
バキッ!!メキメキメキッ!!
木造の壁が力任せにへし折られる様なそんな音が響き、Dクラスの警戒度を上げて行く。
「身体強化系の能力者か?」
そう橋本が呟きながら左手から灰を出し、その灰を廊下に大量に投げると鈴木が頭を振って奥に奥に灰を飛ばす。
「何してんの?」
僕が素朴な疑問を橋本と鈴木に投げかける。
「いや、いまいち分かんないと思うけど、こう言う物質創造系の能力者って作った物の状態とかが分かるんだわ、それにこう言う粉系なら風で飛ばす事によって地形の把握も出来るって寸法だ」
まぁ、鈴木とか風を操る系の奴がいないと出来ないんだがな、と付け足す。
僕は、その地形把握がいつ終わるのかを待ちながら周りを警戒する。
するとどんどん橋本の顔が青くなって行く。
「不味いな...身体強化系の能力者だ、しかも相当強い...僕らからするだけど」
そう呟きながら橋本は廊下の奥の方をじっと見ていた。