13話、ルミエーラさんの座右の銘
ノーコメントですね
「...相変わらずありがとうね、それで...ランクは?ランクはどうだったの?」
今、目の前にいるのは僕...僕達の親代わりのルミエーラさんで、外見はものすごい美人。
髪の毛は金髪で腰まで下ろしており、肌は透き通るように白く、目は青色、性格は心優しくどんな人でも包み込んでくれるような海のような人である、そして尚且つ...胸がデカイ。
因みに今の状況はこの孤児院の最年長であるこの僕が学園から帰ってきたのでそのお迎えと感想を聞きに一対一で談話室に入っているというわけだ。
「はぁー、残念ながらDランク、能力は少しずつ傷を癒すことと少しずつ傷を付ける感じだってさ...」
ものすごく残念そうに話しをしたのだが、ルミエーラさんは目を輝かせ、テンションMAXで返事をした。
「ものすごいいい能力じゃないですか!!!だって傷を、人々を癒すことができるのですよ!?」
「うわっ!」
ルミエーラさんが身を乗り出してまぁまぁな大きさのテーブルを挟んで置かれたソファーに向かい合う形で座っていたのだが、その距離を一瞬で詰めてしまうほどの乗り出しっぷりだった。
「で、でも...本当に少しずつだけだけどね...」
「でもっ!!傷を癒せることはすごいことです!!あっ、そうだ、そう言えば今日川村三兄弟が鬼ごっこの途中で膝を擦りむいてしまったの、その傷を直してもらえないかしら?」
そう、思い出したように言い僕の左手を引っ張って保健室に連れて行く。
ガチャッ、
保健室に入ると、いつもルミエーラさんが座っている椅子に座らされる。
「ここで待ってて今、蓮くんを連れてくるから」
「あっ、はい」
そのまま椅子に座っていると、廊下の方から足音が聞こえ始める。
ガチャッ、
扉が開く。
「あっ、栗原おねーちゃん」
「誰がおねーちゃんだって?」
そう強く否定すると少し怯むも言い返してくる。
「だって、前髪上げると完璧に女の子じゃん...」
そう言われると、正直言って自分でもそう思っていることなのでもう否定はしないが、とても大きなため息を吐く。
「まぁ、取り敢えず傷口を見せてみ?直すから」
そう言われるとよく分かっていないようだったけど、絆創膏が貼られてある左膝を見せてくる。
「...【生と死の使い手】」
緑色の光が蓮の膝に集まって徐々に傷口を塞いで行く。
「おー!すごーい!まほうみたーい!!」
「ふふふっ、高校生になったらみんな使えるようになるんだよ?」
「そうなのーー!?」
子供の無邪気な視線を一点に向けられ少し微笑む。
「まぁ、こんなものですよ、ルミエーラさん」
「すっっっっごーーーーい!!!!!」
正直、ルミエーラさんの方も無邪気でキラキラとした瞳でこちらを見ていた。
「本当に傷を治せるのね!!!凄いわ!そうだ、こんな能力が使えるようになるのなら私も能力開発受けようかしら...少し高いけど大丈夫よね!」
そうブツブツと独り言を言っていると、いきなりバッ!と玄関の方向を向き、まるで韋駄天のように外にお金を持って出て言った。
因みに、先ほどまでルミエーラさんがいたところには置手紙が置いてあり、
" 今から能力開発を受けてきます。きっと回復系の能力を手に入れられるから大丈夫よ! "
と書かれていた。
「はぁ〜流石...変わってない、思い立ったが吉日を座右の銘にしていふだけはあるなぁ...まぁ、その中でもヤバい方だと思うけど」
そう言いながら同じ孤児院の仲間たちと一緒にものすごい勢いで立ち去ったルミエーラさんのことを考えながらぼーっと玄関を見ていた。