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灰色魔法少女のmemorial  作者: 紗南宮夕月
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動き始めた運命の音 3

長らくお待たせしました。

あ〜しんどい

最近寝すぎでしんどいです!

そんなことならはやく次作投稿しろよ( ̄▽ ̄;)とか思われるかもですが、温かく見守ってくだせぇ!!!

馬車には主と女性とは対面する様に座った。

馬車が動き始めると自己紹介から私の私自身も知らなかった情報をゆっくり教えられた…。


「さてと、自己紹介でもしようか?」

「そうですね。」


主の言葉に女性が一つ頷き返す。

それを合図に主はシルクハットを脱ぎ、膝上にのせる。


「僕の名前はシースク・ベン・ニュカーリア。

歳は17。この国ウェネーブィア北部の小さな土地を収めている小貴族。基本みんなには『マスター』って読んでもらうようにしているよ。」


笑顔にこちらに微笑んでくる。

「よろしくね」とはじめて貰った温かみある言葉に胸があったかくなる。


「私はニューカリア様の側近をしています。

フリアー・ネルビネと申します。よろしくお願いします。」


柔らかく笑う女性は左手をすっと差し出す。

3秒ほど凝視してからハッとして手をのばし、軽い握手を交わす。

2人の視線に促され自分について説明する・・・。

あぁ、なんでだろうか酷く口が乾く。

俯き気味に口を開く。


「わ、わたしは・・・」


何を言えばいいんだろうか。

わからない。わからない。


「・・・私は名前がわかりません。歳もわかりません。ただ、自分が奴隷であるのだけ知っています。他は知りません。」


たぶん声は小さく、震えていたと思う。

それでもマスターは


「君はもう奴隷じゃない。君は僕らと対等な人間だ!下を向くのはやめなさい。」


そう言って、伸ばした手で私の顎を上にクイッと持ち上げる。

目と目が合う。

光をおびた瞳が痛いほど真っ直ぐに見つめる。


「はい。」勝手に口から出てきた言葉に主は満足そうに頷き、笑いかけてくれた。


コホン。


ネルビネさんの咳払いで主は私の顎から手を離し元の体勢に戻る。


「こちらが貰った貴方の資料を読み上げます。

それを元に貴方の貴方が知っておけば良いと思うものだけを覚えなさい。

・・・それが貴方が貴方であると自身を持つ一歩になるかも知れませんから。」


ネルビネさんはそれからゆっくり資料を読み上げた。

中には聞きたくないこと、知りたくないこともあった。

それでも私が14歳で、幼い頃から奴隷であったこと、容姿のおかげで高値が付いていたこと、生まれつき銀髪であったことはわかった。


「ふーむ。名前がないのは不便だなぁ。」


マスターは額を指で書きながら目を瞑り悩まれた。

ぶかぶかのスーツの袖から指が何とか出るようにまくり上げて、自分の髪を撫でる。

この髪で良くも悪くも今まで散々目をつけられた。

ずっと前にお前は奴隷だから主の気を引く為にその髪色なんだと馬鹿にされた事が脳裏に思い起こされた。

ギュッと指に絡めた髪を握る。

誰も、この髪色を望んだことなんてありやしない。

どうしてこんな髪色に生まれてきたのだろうか…。


主達に気づかれないよう窓の外を眺めるようにして唇をつよく、強く噛み締める。

私はこの髪が嫌いだ。

馬車はいつの間にか街中から麦畑がちらほら見える豊かな町並みに変わっていた。

麦畑に風が吹き込み稲穂がざぁぁと揺れていく。

陽にあたるその麦畑は麦色というよりも金色に見えた。


チカッ!


窓から太陽の光が差し込み、私の顔を照らした。

眩しさに手で影をつくる。

遥か遠くに見える空は雲一つない青空だった。


「そうだ!」


ビクッ!!

思わぬ声に驚き、身体が反応してしまった。


「なんですか、マスター?ビックリするではありませんか!そんな大きな声を出されてわ。」


しかめっ面になるネルビネさんに対して笑いながら「ごめん、ごめん」と謝る主。


「いや~名前考えたんだけど『真白』でどうだろう?」

「ま・・し・ろ・・・」


小さく声にしてみる。


「何故ゆえに真白なのですか?」

「さっき太陽の光があたったとき、真白の髪が銀よりも綺麗な白に見えたんだ。

それに、真白の瞳は純粋な黄色だろ?私の勝手なイメージだけど光は黄色が主となるが、実際は白く眩しく見えるだろう?だからね。」


そこで言葉を区切ると窓の外を見つめる。

それにつられて私も窓の外を見つめる。


「だから、真白のこれからに日があたり、眩しいくらいに耀くそんな未来が待ち受けている…って想いを込めて『真白』なんだがどうだろうか?」


私にそんな未来が待ち受けているのだろうか?

分からないけど・・・

頬が緩む。

なんでだろう。さっきまで嫌だった髪色が違う色に見えるなんて不思議だなぁ。

陽があたれば白になる・・。


「・・・れし・・です。」

「えっ?」


ガバッと前を見て「とても、とてもうれしいです。」笑いながら言葉を口にする。

主もネルビネさんも笑い返してくれた。


「いい名を貰いましたね。」


ネルビネさんが嬉しそうに優しく目を細める。

私はその言葉に頷いて「はい!」と答えた。


私のはじめての名前。

私が私であると言えるもの。


頬にあついなにかが流れ落ちた。

それが、嬉しさの涙とわかるまでに少し時間がかかった。嬉しさの涙と気づいてからも暫く涙は頬を伝い落ちた。

お読み頂きありがとうございます。

いやはやようやく主人公の名前がついた(´๑•ω•๑`)♡

名前出るまで長かった〜

でもまだまだ主要メンバー出てないから頑張ります!

次回は7月下旬に投稿です!

よろしくお願いします!

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