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灰色魔法少女のmemorial  作者: 紗南宮夕月
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動き出した運命の音

ながらくお待たせいたしました。

第4話です。

いよいよヒロインの人生を変える人が登場です!

本編を楽しんで読んでいただければ幸いです( *`ω´)

奴隷商売台に向かって歩く中本当は泣いてしまいたかった。

薄い肌着一枚のこの身を左側からの視線が・・嫌悪感のある視線が刺さる。

左側は恐くて向くことも出来ない。

だけどそれは許されるはずがなく、商売台に到着するや否や2人の衛兵(雇われ奴隷)が前を向かなければ迷わず刺すというように背中に矛を突きつけてくる。逃げられない。


私は・・・私達はいつもこの運命から逃げられない・・。

絶望の中でも自分のやらざるべきことを最前になす。小さく息を吸い商売台に乗ると商品として前を向く。


初め客は息を呑みそして騒めき始めた。

中には「あんな上玉は見たことありません!」とか「あの身体をどういたぶってやるべきだろうかな?」などと感想を口走らせる者もいた。

そう思われても仕方のない姿なのだから・・・

薄い肌着はうっすらと下が透けており、膨らんだ胸部は他の人よりも大きいらしかった。

おかげで男性主人には好まれても女性主人からは嫌われ散々仕事を押し付けられ暴力も振るわれた。

前の主人の暴力による顔のあざが消えなかった為に今日までの1カ月近くあの頑丈な牢屋に入れられていたのだ。


司会進行役の男が地獄の鐘を鳴らし客をなだめる。


「この奴隷は150ウォンラからです。

少々お高めな設定理由は購入後の楽しみに。

では、はじめましょう!150ウォンラからスタートです!」


カーン。


高らかに鐘の音が響き、一斉に手が上がり客が嬉々として買値を叫び合う。

ただ、ただ静かに目の前の光景を見つめる。

誰かが助けてくれる訳がない。

新しい場所でも奴隷として無惨に殺される事なくやりきろう。

そんなことを考えている最中ある客が「195ウォンラ」と叫んだ。

周りが騒めく。高い。奴隷のしかも私みたいな何の珍しさのないモノにそんな値を掛けるだなんて・・・。

客をはじめ司会進行役も私も驚愕の掛け値に皆絶句する。

暫くして司会進行役が思い出したかのように鐘を叩く。


「ひ、ひゃっ195、195ウォンラ‼︎195ウォンラです!まだ掛ける方はいらっしゃいませんか⁉︎」


絶句から立ち直った者達が次々に話し合いを始める。だが、手は上がらない。

195ウォンラを出した客・・・チョビ髭の小太りの男性は満足そうに腕組みをしている。

たぶん私はあの客のお気に入り奴隷として靴を舐めたり肩揉みをさせていただく事になるのだろう。

すっと伸びた手が大勢の客の間から見える。


「⁉︎」


声にならない衝撃。

まだ、掛け値をあげようとする客がいる・・。

すかさず司会進行役は鐘を鳴らし、挙手した客に掛け値を尋ねる。会場の視線が私からその人へと移る。


薄茶色のシルクハットとスーツを身に纏い、白い手袋が清楚感を与える。

あげていた手を下ろしその場に立つ。


シルクハットのつばを少し下げながら「2・・ウォンラ・・・」と言った。


司会進行役はもう一度聞こえる様に男性に呼びかける。

その時シルクハットから覗く目と視線が交わる。

彼は私からしか見えない角度で口元だけが笑っていた・・いや、笑っているのが私だけに見える様にシルクハットを持ち上げたのだ。

口元の笑みが消え、背中を冷汗が一筋はしる。


「215ウォンラ。215ウォンラでそのモノを買い取ろう。」

「「「なっ⁇⁉︎」」」


会場全体から驚きの声が上がり、どよめきが広がる。男性は優雅に座り、小太りの男性はその人を恨めしそうに睨んでいる。


なん・・・で?


なんでそんな掛け値をかけてまで買い取る必要がある?


頭の中は自分の掛け値のことでいっぱいだった。

奴隷の掛け値とはその奴隷の価値に値する。

私が215ウォンラ?どうかしているとしか言いようがなかった。

何処か遠い所で地獄の鐘が鳴り響いた気がした。

正直それからのことは記憶がない。


今までの運命から大きく歪み、回らないはずの運命の輪が回り始める音が聞こえてくる。カチ、カチ、カチ・・・。

また、また一つ輪が進み始める音が響いくる。

お読みいただきありがとうございます。m(__)m

今のところペース的には順調かな?なんて事を考えています。〈だいたい月に一話投稿〉

ようやくですがヒロインともう1人メインメンバーが登場してきました。*\(^o^)/*

次作ではもう1人の方が何者のなのか詳しく書いていければ・・・と思っております。

次作も読んでいただければ感謝感激です。

どうぞよろしくお願い致します(・ω・)

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