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灰色魔法少女のmemorial  作者: 紗南宮夕月
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信用と信頼、3

「いらっしゃ~い!」「今日は肉が安いよ!」


左右からひっきりなしに声が飛び交う。

人の波に乗りながら“屋台”と言われるものを見て回る。

これが“街”の中に会って人々に活気をもたらすのか、、、

マスターの屋敷で習ったことを頭の中で思い起こしながら歩く。


ふとすれ違う人の中に動物を連れて歩くものが多いことに気づく。ペアントは例外を除けば基本的に動物の姿をしている。つまりこの動物たちはぺアントである可能性が極めて高くそれに連れ添って歩く少女たちは皆魔法少女と言える。

こんなに多くの魔法少女がいるからこの町は安心して人々が暮らせているのかな?


「だ・か・ら!一銀貨渡したでしょ?」

「一銀貨なんてもらっちゃいねぇよ」

「あのね、ぼるのも大概にしなさいよ」

「買えないからっていちゃもんはよしてほしいね」


ひときは大きな声が聞こえてくる。そちらに向かへばなぜか人だかりが出来ていた。

遠目に見えるのは金髪よりは黄色に近い髪色を腰まで流した女の人が屋台机を挟んだ向かいにいる店主と対峙していた。


「リンゴを触っただけで一銀貨とかぼりすぎでしょうが!!」

「触ったものを買い取るのはこの国の常識でね」

「そんな常識この国にはないのは分かってるのよ。違う店では普通に見て触ってもお金はとられなかったし、仕方なく一銀貨払ったらそこのサルが奪ったんでしょう」

「サルに取られたんなら私には渡していないじゃないか」

「どう見てもそのサルあんたが飼ってるでしょう」

「何のことやら」


店主は悪びれることなく銀貨一枚を渡せと女の人に伝える。

周りの人はなぜ動かないのか...

ちらりと斜め前にいる男性の表情を伺う。


…。どうしてそんな視線が出来るのか分からなかった。

冷や汗が背筋を伝う。


その視線は幾度となく体験したことがある。正確には似たような視線をだが…

まるであの人が困るのを楽しんでいるような、それでいて哀れには思えど助ける気はさらさらないといったものだった。


恐怖によるものなのかふらりとよろめき、後ろを通っていた人に肩がぶつかる。


「ご、ごめんなさい」

「大丈夫です。貴女の方こそ大丈夫?」


顔を上げれば端正な顔立ちの少女が心配そうに覗く。


「大丈夫です」

「あまり人込みには近寄らないほうがいいわよ」

「あ、あの」


おもいきって口を開く。相手はどうしたのかと小首を傾げる


「なんであの人を助けないんですか?」


少女は私の言葉に何故?という疑問符を投げかける。


「だって魔法少女‥‥ですよね」

「あぁ、確かに私は魔法少女だけど私たちの敵はあくまで魔界の者であって人間じゃないわ。人間のことにいちいち首を突っ込んでたらきりがないもの」


彼女はそれだけ言うと歩く人ごみの中に消えていった。

確かに魔法少女は人間と戦うとかのためじゃない。でも—

ぐっと噛みしめた唇が白くなる。

たぶん違うのだ。魔法少女とか関係なく誰かにすがってこの状況を変えたかったのだ。

あの女の人に向けられている視線を…私は何度も体験したから

でもそれは他人に任せてもどうにもならなくて…だから私は魔法少女とか関係なく一人の人としてダメだと思うから…‥‥


「銀貨一枚ならここにあります。ですからリンゴを一つください」


大きな声で店主に銀貨を差し出す。

隣に立っている女性も店主も周りの人も私の行動に目を見張り驚く。

ただ一匹だけ動じずに私の銀貨に手を伸ばす。その手を反対の手で掴んで引き寄せる。

掴まれたことに驚いたサルがキヒィ!と鳴くがかまわず抱きしめる。

銀貨は屋台机の上に置いておく。


「おさるさんだからときらきらだからと銀貨に手を伸ばすのはいけないと思うのでし、失礼します!」


抱きしめたサルの両手を掴み宙ぶらりん状態にしてサルを勢いよく上下に振る。

もちろん心苦しくはあるので思いっきり力を入れてに三度だけ振る。

サルを振るたびにチャリン、チャリンと銀貨や硬貨、宝石にガラクタが落ちる。


店主の顔は見る見るうちに青ざめていく。


「や、やめてくれ!分かった、りんごならくれてやるからそのサルを返してくれ」


サルは目が回ったのかのびている。

そんなサルを店主に返そうとすると横から手が出され止められる。


「あんたこのサル自分のサルじゃないって言ったわよね」


女性が満面の笑みで告げる。

その声に店主は「あっ」と声を漏らし青い顔がだんだん白くなっていく。


「どういうことか説明してくれるかしら?」


店主はサルと女性を交互に見つめながらやがて断念したかのように頭を下げる。

女性は一銀貨で三つのリンゴを渡すように交渉し(請求が正しいかも)てサルを店主に返した。

私はリンゴをもらった後自分の行動故に刺さる回りの視線に耐え切れずそそくさとその場から立ち去る。


とりあえずリンゴは買えたからいいかな?そんなことを考えつつクロのお使いを果たすためにまた人の流れにのって屋台を見て回る。













「あ~見つかんない!」

『そりゃそうでしょ、彼女すぐに消えちゃってたんだから』

「あの子一銀貨でリンゴ一個しかもっていかなかったからせめてって思ったんだけど‥‥お礼もかねて」


手に持った袋詰めされたリンゴを見つめる。

綺麗な銀髪に白い肌。澄んだ真っ青な瞳はとてもきれいだった。


「どうしてライが見張っといてくれないのよ」

『オレに言われても困るわ』


ぱたぱたと飛んできた一羽の鳥が肩に留まる。


「彼女も魔法少女かしら」

『かもしれないし、そうじゃないかも』

「また会えたらお友達になりたいものね」


少女は嬉し気に祖国の鼻歌を歌いながら歩く。


『今日はずいぶん機嫌がいいね、クリスタ』

「そうね♪夜も頑張ってお仕事しましょうか」


小鳥は少女の名前を呼ぶ。


序列92,735/126,774位 結晶使いのクリスタ


人々は彼女のことをそう呼ぶ。


いつもお読みくださりありがとうございます。

新キャラがキャラ濃いな!って思った。そしてサルが何気に頭いい件について

私もあんなサルの頭が欲しいとおもった今日この頃です。


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