信頼と信用、2
いつもお読みくださりありがとうございます。
あれから店先の人に勧められいろんな食べ物を食べた。
どれも初めて食べるものでおいしくて…町の人は皆優しくおかげですぐに宿も確保できた。
「疲れた~」
クロがベッドに倒れ来む。
「人がいっぱいだったから?」
素朴な疑問を投げかけると何を言ってるんだというような表情で睨まれる。
? 私何かしたっけ?
「お前が何でもかんでも食うわもらうわ馬鹿なのか?」
「ば、馬鹿じゃないよ?!だってみんなくれるし、おいしそうだし…」
はぁ~、盛大な溜息をつかれる。ベッドから起き上がったクロは不機嫌さを隠そうともしない。
「いいか?この時期にここを訪れるやつは基本魔法少女なんだよ。ここは魔法少女に守ってもらって成り立つような国だ。そこの住人が魔法少女に優しくないはずがないだろう」
「!!」
「まして、今回のは全体の顔見せだとしても過度な期待はいつかお前の重みになる。その重みに耐えられなければお前は魔法少女として戦えなくなる」
まっすぐな瞳が心臓を掴んで離さない。
どうして
「いいか、お前がどんな行動をとろうがかまわないが他者の期待に、、、、自分の理想と期待を上書きしてたいそうな夢だけは見るな」
どうして
「魔法少女は神じゃない。万能じゃない。一歩間違えば死ぬんだ」
貴方はそんなに—
「だから―って、何泣いてんだよ?!」
「ふえ?」
自分の頬に指が触れる。温かなぬくもりが伝う。
なんで私は泣いているんだろう
ただクロの話がまるで、まるで、
「…ったから…」
「はぁ?」
「クロの話がまるで経験したことがあるみたいで、悲痛で」
「当たり前だろ、俺達ペアントはいろんな魔法少女と—」
「違う!!!」
自分でもびっくりするくらい大きな声が出た。
こんなに大きな声で自分の意思を伝えたのはいつぶりだったろうか…
「ちがうの!ペアントだからじゃなくてクロ自身が経験して後悔しているような…それでいて守りたかった思いを捨てられなかったからそんな表情を—」
ガッ!
手首をつかまれたと思ったらベッドへ倒されていた。私の上に覆いかぶさるように倒れこんだクロはまた泣きそうな顔をしていた。
「なんでお前に—」
「分からないよ。でも、今クロが泣きたい気持ちなのは分かるの」
そっと手を伸ばしクロの頬に触れる。
ビックっと肩が跳ねるのを大丈夫というように優しく抱き寄せる。なぜこんなに心が痛いのかなんて誰も知らない。ただ、私の中でクロを放っておくことなんてできなかった。
それに私が泣かないとこの人は今でも泣けないんじゃかと思ってしまったのだ。
それが何故かなんてわかるはずもない。今の私達には—
次の日
「今日はどうするの?」
外で購入してきた朝食を食べながらクロに尋ねる。
「昼までは特に予定はないかな。防戦大会は夕方だから夕方にここに戻ってくれば街を見てもいいぞ?」
コップに注がれたコークを飲みながらクロが目を閉じる。
昨日泣き疲れたのかあのまま二人で寝てしまって朝起きたときクロが人の姿でしかも隣(至近距離)にいたのはびっくりした。
「クロはいかないの?」
「なんで?」
「なんとなく?」
「疑問形で返すな」
先に疑問形で返したのはクロなのに‥‥
ジト目で睨むがクロはすました顔のままだ。
「それに一人での行動も慣れておかないとこれからお前が生きる上では必要だろう」
フッと笑った彼に驚きが隠せない。
貴方がそんな風に優しそうに笑うだなんて—
ドクン
? なんで心臓が跳ねたの?別に危機感を覚えるようなことはなかったはずなのに‥
きっと気のせいだろうと思ってクロに向かって頷き返す。
「わかった。一人で街を見てくる」
「帰りに昼食と晩飯に携帯食買って来いよ」
ついでにお使いを頼まれたけどこれもきっとクロなりの優しさなんでしょう
その優しさを少しでも私は返していけるのか……
でも今は貴方がくれるその優しさが一番うれしいから
目と目があえば私はありがとうの意味を込めて貴方に微笑み返すの
コークはコーヒーに似た飲み物だとお考え下さい。




