その運命は何処へ向かう、4
いつも読んでくださってありがとうございます
あの契約から一週間が経った。
のだが、なぜか私はマスターの屋敷の人たちから奇異の眼差しを向けられている。
もちろん今までも試すような目線や馬鹿にされた目線はよく浴びてきたのだが、、、どうも今回のこれと今までのは違っている。
だけどいつも見られているからなんというか動きにくいし気になって仕方がない。
「うぅ~」
「どうしたの真白ちゃん」
ここにきて初めてできた友人のニュラルちゃんが私の答案用紙に丸をつけながら聞いてくる。
今はニュラルちゃんからこの世界の大まかな文字の読み書きを習っている最中
「あのね、なんて言ったらいいのかわかんないんだけど。変な目でみんなに見られてる気がして…」
「そうだね。今使用人の中でも真白ちゃんは有名だから仕方ないよ」
「!ど、どうして?」
「?だって真白ちゃんが呼び出したペアントが人型だったでしょ?」
「う、うん」
確かに私が契約を結んだペアントであるクロは最初は猫だったのになぜか男の人になって・・・
今もこの屋敷のどこかをふらふら探索(?)しているらしいし
「本来ペアントは人型じゃないからみんな真白ちゃんとそのペアントさんに興味津々なんだよ」
「そうなんだ…」
はいっと差し出された紙を受け取り、目を通す。
全部に丸が書かれてある。
よかった
本来ペアントは人型じゃないんだ―ってえッ?!
「そうなの!?」
ニュラルちゃんは驚いた顔で私を見る。
「えっ、真白ちゃん知らなかったの?」
「うん」
信じられないといった顔でニュラルちゃんは何度も瞬きをする。
「元奴隷だから読み書きできないのとかはわかるけど、魔法少女についても何も知らないの?」
「マスターから少し説明されたことぐらいしか知らないよ」
「…真白ちゃんっていったい―」
?
ニュラルちゃんは言いかけた言葉を途中でやめて首を振る。
「私も詳しくはないけどきっと一番詳しいのはペアントさんだから一度聞いてみたらどうかな」
「そうだね、、そうする」
そういってニュラルちゃんとのお勉強はお終いとなった。
夜
マスターに与えられた部屋に戻るとベットの上にはいつから戻っていたのかクロが寝転がっていた。
今日ネルビネさんに言われたことを伝えようとベットに近づく。
クロはスース―と寝息を立てて寝ていた。
…どうしようか。
クロを起こすのは申し訳ないし、かといってこのまま眠ってしまっていいものなのだろうか
私には分からない
命じられたこと以外をすることに未だになれない
だからこそこういう時にどうすることが正しいのか分からなくて困る。
『お前みたいな奴が―』
『奴隷風情が‼』
―ッ!
苦しくなって胸を押さえる。
ふとした時に思い出されるかつての罵声
それは酷く生々しくて冷や汗が背中に伝う。
ヒューヒューと弱弱しい息をして目を瞑る。
大丈夫、大丈夫だから―
「み‥と」
「えっ?」
クロのほうを見る。クロはまだ眠っていた。
でもさっき確かに…
おそらく寝言なのだろうそれを呟いて寝返りを打つ。
胸がきゅっと苦しくなる。
「―ミコトって誰のことをだろう」
その疑問を胸に抱えベットに横になり瞼を閉じた。




