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リンゴとハチミツ  作者: モモセツバキ
4/7

第4話-プレゼント-

渋々ながら、蜜に鞄を届けに来た林檎。

そこで交した会話に林檎は…。

「よし!」


意を決して林檎は家を出た。


幸い、雨は上がっていたので傘をささずに出る事が出来た。


数分歩いて蜜の家に着いたが、この数分が酷く長く感じた。

玄関のベルを鳴らすと蜜の母、律子が出迎えてくれた。

軽い挨拶と母から預かった物、ついでに蜜の鞄を渡そうとした時。


「蜜なら部屋にいるし、直接渡したら?」


そう言われ、行かざるをえなくなる。

渋々と家に入り、蜜の部屋に向かう。


部屋の前に立つと、大きく深呼吸する。

そして、ドアをノックした。


「開いてるよー」


当たり前だが、部屋の中からは蜜の声がした。

幼い頃から繰り返された行為。いつも聞いてた蜜の声。

それがどうして、今は苦しいんだろう・・・。


「蜜くん、私。林檎っ」


数秒後、蜜がドアを開けてくれた。蜜の顔を見れば、蜜は眼鏡を掛けていた。


「蜜くん、ゴメンなさい・・・」


些か卑怯だが、しょんぼりした顔で林檎は謝罪した。

蜜は林檎の、この表情に一度も勝てた事が無いのだ。

案の定、渋々ながら何も言わずに鞄を受け取り「部屋、入りなよ」と言ってくれた。


「蜜くん、眼鏡だね」


「まぁ、家の中だし。・・・林檎、オレの眼鏡姿が好きだろ?」


図星を突かれ、一瞬言葉に詰まる。

だが林檎には腑に落ちない点があった。


「蜜くん・・・。他に好きな子がいるのに、私なんかに良い顔しちゃダメだよ・・・」


寂しそうに、ポツリと林檎は呟いた。

蜜にも聞こえている筈だが、関係のない言葉が返って来た。


「林檎、今度の休みは暇か?」


「え?」


全く予想してなかった返答に、瞬きすら忘れてしまう。


「そいつにプレゼントを買ってやりたいんだ」


少しだけ顔を赤らめた蜜を見て、林檎は完全に言葉を失った。


(こんな蜜くん、見た事無いよ・・・。)



蜜の表情を見る限り、余程相手の事が好きなのだろう。

…そして、そのプレゼントと一緒に、気持ちを送るのか。


蜜への恋心はもはや諦めるしか無いのか・・・。

林檎の目の前は真っ暗になってしまった。

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