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諜報から情報が上がり、ある程度の目途と潜入方法やどのように動くか。連絡方法等を細かく取決め、纏まると。
「それじゃあ、2人とも頼むわね」
「任せておけ」
「定時連絡は怠らない。連絡がなかった場合の対処法は、先ほど決めた通りで」
「ええ」
櫂杜と連利の言葉に頷き、翼は2人を見送る。
これから、どのくらいになるのか2人は別行動を取る事になる。
その間の全てを取決め、行動に移す。
2人の姿が見えなくなると、翼は細く長い息を吐き出しマンションへと戻る。
部屋に戻れば、静かな室内に唇をキツく結び寝室に入る。
広いベッドに転がり、寒さに身を震わす。
「寒い……」
呟きは、誰に拾われる事なく零れ落ちる。
どんなに小さな呟きも、連利は聞き逃す事なく拾い上げていたが。
まざまざと、一人で居る実感を突き付けられ翼は身を丸め眼を瞑り息を潜める。
一朝一夕で片付く問題では、ない。
どれだけ長い時間掛かるのか、それは誰にも分からないし、分かった所で翼は動く事は出来ない。
ただ、二人が上げる情報を纏めて分析をし、今後の方針を決定するだけ。
「早く終わればいいのに……」
このままではいけない。
頭では分かっていても、動く事の出来ない翼は、携帯の着信音に眼を開く。
緩慢な動作で携帯を手にして、届いたメールに目を通す。
そこには、連利から食事を必ず取る事に始まり、細々とした事が書かれ、最後に成功を誓う言葉と翼に向けた、たった1つの言葉があった。
「……連利」
息をゆっくりと吸って、吐き出し。
真っ直ぐ、窓の外を見る翼の瞳には生来の意思の強さが宿っていた。
こんな所で、立ち止まって居る場合ではない。
何をなし、その為には何を必要とするか。
判断を誤る事は赦されない。
立ち上がり、翼は行動をする。
何時でも動けるように、と。