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1つのマンションに、翼達は各々住みエレベーターで別れ、自宅に帰り着き玄関に1歩入ると。

「瑠璃っ……」

「大丈夫だから、玻璃」

「でもっ……、ごめんなさい。私が、私が行ければいいのに」

振り向き後ろに立つ連利に抱き付き、翼にだけ呼ぶ事の許されている名を呼び、泣きそうになりながら謝る。

同じように、連利だけが許されている名で翼を呼び、抱き上げて室内に入る。

同じ当主でありながら、翼の地位は他の誰よりも高く、不確かな血筋でありながらも実力で勝っているという点で、本家の当主という座に就き、それは時として他の当主を使う立場であった。

リビングに置かれたソファーに連利は座ると、膝に翼を座らせ柔らかな髪を優しく撫でながら、優しく囁く。

「謝る事はない。玻璃には、玻璃にしか出来ない事がある」

「私にしか出来ないなんて……」

「いいか、玻璃。玻璃の力は他者を圧倒する」

緩く首を横に振る翼を、真っ直ぐ見詰めて話始める連利を見つめ返す。

「それは、諸刃の剣でもある。使い方を誤れば、自分自身をも傷付ける」

「んっ」

「俺が傍に居れば、直ぐに止められる。けれど、今回は違う。互いに、精神力を鍛えるいい機会だ」

「瑠璃」

「真名を交わした事で、安心していてはダメだ」

「それは、最後の砦でなくてはならない。その為には、己の精神力が全てを左右する。特に私は、瑠璃に頼り過ぎている。それを、他の当主達が危惧し、長老達は危険視している。だから、今がそれを払拭する良い機会」

「飲み込みが早いな、玻璃」

「ふふ。瑠璃、瑠璃が安心して任務に就けれるように、頑張る。だから……」

連利の言葉に、全てを言う前に察知して言葉を引き継ぎ頷く。

褒められ、嬉しそうに笑うと腕を伸ばして首に巻き付け、至近距離で互いを見詰め合うと、翼は甘えるような声で言葉を紡ぐ。

「今だけは、甘えさせて?」

そんな翼の言葉に、笑って頷き。

抱き寄せ、触れるだけのキスを繰り返す。

リビングの大きな窓からは、夕陽が射し込み温かな光が二人を包み込む。


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