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3日目 ⑵
俺は暫く天井かどうかはわからないが、上を向いていた。まぁ、身体が動かないから起きる術がないのだ。その上、俺の視界はなぜか黒く塗りつぶされているため、周りの様子を確認する事も不可能なのである。
だからこそ視覚をうばわれた今の俺は、聴覚つまりは音に対して敏感だった。
コツン、コツン…。
遠くのほうで聞こえたかすかな音に俺は耳をすました。一定の間隔を保ちながら徐々に大きくなるその音が、何者かの足音であるという事は一般人の俺でも簡単に予測できる。だからこそ聞き逃してしまったのかもしれない……音にずれがしょうじていたことを。