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第十夜 知らないよ

※若干ホラー要素があるので苦手な方はご注意ください。

 逢魔が時を待っていたかのように、死者の霊が集まってきた。


 生きている人間だって救いを求めてここへ来るだろう? 霊だって同じさ。成仏できない霊たちが、夜な夜な救いを求めてわんさか集まってくるんだよ。

 霊は暗くなると動きが活発になる。だから逢魔が時を迎えたら、神域に足を踏み入れてはいけない。霊たちが救いを求めて誰彼かまわず取り憑こうとするからね。


 でも若い子たちはそれがよくわかっていないみたいだ。今夜もほら、高校生のグループが面白半分でやってきた。げらげら大声で笑って、そんなに面白いかい? 

 ならば私も黙って見ていよう。面白そうだから。


 ふむふむ、肝試しか。お化け役の子もいるんだね。神木の陰に隠れている。そこはいっぱい集まってきているから危ないんだけどな。まぁいいや。どうせ言っても聞かないもんね。黙って見ていよう。


 おや? あのお化け役の子、ちょっとだけ視えるみたいだね。ちょっとだけだから私のことは視えないようだけど、何体かの低級霊と波長が合ってしまっている。でも対応力はまったくないから、ただ単に怯えているだけだ。祓うことはできない。

 一応、お化け役だから、友達が来たら脅かしているけど。ねぇ、気づいてた? 


 さっき脅かした相手、本物の霊だよ。


 そいつ、驚きもしないで無表情だったろ? あ、なんとなくわかっていたみたいだね。よかった。ならいいや。わかっているだろうけど、彼らをあんまり刺激しない方がいい。後でどうなっても知らないよ。


 私は彼らとは関わらないことにしているんだ。私の仕事は生きとし生けるものすべてがどうしたら幸せになれるかを考え、時には試練を与えつつ導くことだからね。死後のことは仏に任せてある。

 まぁ、神域内なら彼らを封じるくらいはできるけど、外に出たら、御縁を結んでいるもの以外は守ってあげられない。守ってくれるのはご先祖様だけさ。



 ああ、やっぱり何人か取り憑かれちゃった。憑かれた子と憑かれなかった子、見事に分かれている。

 憑かれちゃった子、先祖供養してる? していないなら、後のことは知らないよ。


 どうぞそのままお持ち帰りください。

次回は「第十一夜 ずっと待っています」です。

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