6、ギルド?
「ギルドに入りませんか!?」
「無理です」
「あなたに聞いている訳ではないんですがね?」
今はダンジョンにいる、なんでこんな状況になっているのかと言うと…
いつものように凪ちゃんとダンジョンに来て、敵を倒しながら進んでいると烏一さんに出会った。
そして出会ってから数秒でギルドの勧誘を受けて、この状況になっている。
「…そもそも、ギルドなんて最近のニュースでも噂でも聞かないですが?」
「あ…最近できたので」
「勝手に?」
「…」
「そういうダンジョン関連のことは国に確認を取らないといけないのでは?」
凪ちゃんの言う通り、ダンジョン関連のことについては国に許可を取らないといけない、まだ謎が多いダンジョンのことを報告しなかったら混乱が起きる可能性もあるらしい…
「そ、それはですね、ほら!にn…ゲームや小説とかでよく見るじゃないですか!せっかく来たのだからこういうのやってみたいと思いまして…」
「無許可ですか?」
「…」
「そんなしょうもない理由で始めたことに私と天を付き合わせないでください。そもそも無許可でのダンジョン関連の行動は犯罪になる可能性もありますよ?」
「認めて貰えればいいんですよね!?」
「頭の悪い考えですね」
さっきからずっと様子が変わらずに烏一さんの勢いは止まらないし、凪ちゃんはずっと冷たい反応をしている。
「おい!千日、何やってるんだ!?」
2人の言い争いが続いていると凄く大きな声で烏一さんの名前が呼ばれたのが聞こえた。
振り返ると見覚えのある青い目と黒髪の男の子がいた。たしか光月 輝くんだっけ?
「あれ?輝じゃないですか?どうしましたか?」
「は?千日が俺を置いていったんだろ!?ただでさえギルドとかいう意味わからないものに付き合わせやがって」
「うるさいですね、声量下げてください。しかもギルドを始めると言った時、輝は乗り気だったじゃあないですか。しかもA級やらなんやら名乗ってるらしいですね?」
「勢いに任せて言っちゃったこと掘り返すなよ!?恥ずかしいから!」
凪ちゃんとの喧嘩が終わったと思ったら、次は光月さんじゃなくて、輝くんと言い争いを始めてしまった。
「烏一さんはずっと喧嘩してないと気が済まない性格なのかな(笑)?」
凪ちゃんが煽るようにそう呟いた。
「遠藤さん?何か言いましたか?」
「いやぁ、ただ、喧嘩っ早い性格だなと思いましてね」
「あなたには言われたくないですね」
「喧嘩しないでよぉ…」
これじゃあ一向に進めない…
ブンッ
「!?」
突然後ろから凄い音が聞こえた。音に気づき振り返ると…
ザシュッ
何かの肉の塊があった。…どういうことだろう?
「天、大丈夫!?」
「天さん大丈夫ですか?」
2人がやったらしい、でもここまでするのかと思うほどに惨たらしい姿になっている。
「…大丈夫です」
ふと輝くんの方を見ると輝くんが驚いたように目を丸くしていた。
「…マジかよ」
「輝、私は天さんにいい所を見せたいので、今はなにも言わないでください。」
「えー、わかったよ」
2人が何かひそひそ話をしている。何を言っているかは聞こえない。
というよりさっき敵が肉塊になったのって2人でじゃなくて、烏一さんがやったのかな?凪ちゃんは一瞬で倒せてもあんな風にはやらないはず…
「さっきのって烏一さんがやったんですか?」
「はい!そうですよ。」
「天、こいつと話さないで。」
不機嫌そうな凪ちゃんはそう言って後ろから私を抱きしめて私の口を塞いできた。
「むぐっ」
「何してるんですか!遠藤さん」
「天と変な人が話していたようなので。」
「んっ、んん。」
「「…」」
2人ともまた喧嘩を始めそうな様子だったので止めようと声を出そうとしたけれど口が抑えられていて上手く言葉を発せずに変な声になってしまった。
「んん、んんッん!(ねぇ離して!)」
凪ちゃんの手を振りほどこうと暴れるがなかなか離してくれない。
「なんか、声がエr…」
ドッ
輝くんが何かを言おうとした時、烏一さんが彼のお腹に蹴りを入れた。
「グハッ…」
「輝、お静かにそれ以上言ったら次は顔ですよ?」
「そ、そこまですr」
「返事は?」
「はい…」
「んんんっ、んんん!(凪ちゃん、話して!)」
いつまでも離してくれない凪ちゃんに視線を向けて訴えるとしばらく沈黙を続けたあと、手を離してくれた。
「ごめんね、天」
「もうっ、なんで離してくれなかったの!?」
「私に構ってくれなくなるかなって…あと、あいつとは話さないで。」
「それは…考えとくよ」
「天には強制したくないけどさ、あいつと関わるといい事は起きないと思うから」
強制したくないとは言っているけれど、凪ちゃんは私が烏一さんと話すときすごく遮ってくるしずっと不機嫌気味だ。
と言うよりかは凪ちゃんはさっきからずっと無表情だし、不機嫌そうな雰囲気を出している、いつもはもっと笑ってくれるのに。
「…とりあえず、進みましょうよ!」
少し気まずくなって、気分転換ということで進もうと提案をした。
「そうですねボス部屋まであと少しですし」
烏一さんの言う通り、もうすぐボス部屋に着きそうだし。
「まー、とっとと終わらせようぜ!」
「早く帰りたいですし、早く終わらせましょうね」
ということでみんなで、ボス部屋へと向かうことになった。