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4、どうしよう


「はぁっ、はぁっ」


もうダメかもしれない…


音を聞いて振り返った先にいたのはダンジョンでも見ない様々な動物が混ざりあったような奇妙なエネミーがいた。熊、犬、蛇、鳥…もはや原型があるのかすら分からないほどに混ざりあっている。


その敵はビルの5階までとどく位の大きさで、周りには私以外探索者は居ないようだった。


できるだけ多くの人が逃げられるようにするには今は私が出るしか無かった。


力の差は理解していた、けれど今は私しかいない、私はできるだけ足止めをしよとした…けれど、もう限界が近い。

凪ちゃんがいればこんなの瞬殺なのに…


「私が、やらなきゃ…」


力を振り絞って動こうとすると


ドンッ


大きな音を立ててエネミーが動いた。

そして大きな腕を振り下ろしてきた、私は驚いて目を閉じてしまった…


ザッ


突然正面から音が聞こえ恐る恐る目を開けると、

首が無くなったエネミーの姿が見えた。


バタンと大きな音を出して倒れた巨大なエネミーの上には長く綺麗な銀色の髪を靡かせた女の子の姿があった。


「良かった、間に合った!天さん大丈夫ですか?」


「ありがとうございま…え?なんで名前」


助けられた事への感謝をしようとしたが、見覚えのないはずの人に突然名前を言われ困惑する。


「私、同級生の烏一ういち 千日ちひです。覚えてますか?」


烏一?…そんな子いたっけ?


うーんと…あっ!思い出した。たしか、お金持ちな人だ!


「でも、烏一さんが、なんでここに?」


「私、一応探索者なんですよ。なにか大きな音を聞いたので来てみると、天さんを見かけて」


私が不思議そうに聞くと烏一さんは手に持った短剣を少し自慢げに見せながらそういった。


「そうだったんですね…」


「凄いでしょう?…というより、珍しいですね」


「え?何がですか?」


突拍子もなく言われてなんの事かとなる。


「あの、じゃm…遠藤さんは付いていないんですね」


「凪ちゃんとは今、ちょっと…」


私が言葉に詰まっていると、


「もしかして、喧嘩でもしましたか?」


「はい…」


「そうですか」


私が少し気まずそうにしながら答えると、まさか本当に当たっているとは思わなかったのか彼女は少しだけ驚いた様子だ。


「まぁ、最近前よりも遠藤さん、天さんにベッタリでしたもんね」


「そうなんですよ。それで、怒っちゃって…」


そんなことも噂になっているのかな?なんか少し恥ずかしい気もする…


「そうでしたか」


「はい、でも今考えると理不尽に怒っちゃったのかなって」


凪ちゃんは私を心配してくれていたのかも、凪ちゃんならエネミーが地上出てくることも知っていただろう…

私が何も知らず理不尽に怒ってしまったかもしれない。

そう思うと、凪ちゃんに謝りたい気持ちが強くなる。


「そういう事ですか…」


「ごめんなさい、こんなこと言われても困りますよね」


「大丈夫ですよ」


烏一さんに話し過ぎてしまった…

ほぼ初対面なのに愚痴を言ってしまって申し訳ない気持ちになる。


「そうだ!暫く私と遊んでくれませんか?」


「え?遊ぶ?」


突然、口を開いた烏一さんの言ったことに驚いてしまった。

遊ぶってどういうことなんだろう?


「遊ぶと言うよりは、しばらく私と一緒にいませんか?喧嘩してしまった人と会うのは気まずいでしょうし」


確かに、そうかも?確かに凪ちゃんに理不尽で怒ってしまっだろうし、今彼女と一緒にいるのは気まずいだろう。


…でも謝りたい気持ちも少しある


「なにか悩むところがありましたか?」


私が悩んでいると不思議そうに私の顔をみつめてきた。悩みだらけだよ?


凪ちゃんは昔からの付き合いだ。

あの時私は彼女を助けた、保護した生き物は責任もって育てないとあげないとだから、私はそれを承知であの判断をしたのだから。


それに彼女は優しく、強く、私を一番に思ってくれる。けれど、今会うのは謝るのは気まずい…自分勝手かもな


「…そうですか」


悩み続ける私に烏一さんはしばらく考え込んだ様子を見せると


「天さん私の顔を見てください」


「え?」


彼女は急に私の頬っぺたを優しく包んで彼女の顔の方へと向かせられた、バチリと目が合う。


「天さん、よーく考えて下さい?」


優しい声色でそう言われた。

彼女の瞳は綺麗な青色だ、引き込まれてしまいそうな程に…

頭の中がなぜかぐるぐるとしだした、不思議な感覚がする。


「天っ!」


すると聞き馴染みのある声が聞こえ、視線を送るとそこには凪ちゃんがいた。

よっぽど急いで来たんだろう、汗だくになっている。


凪ちゃんの声が聞こえると烏一さんはパッと手を離した。


「あぁ、じゃま…お迎えが来てしまいましたね…」


「天、そいつ誰?」


烏一さんは残念そうに、凪ちゃんは不機嫌そうにそういった。


「凪ちゃん…この人は」


「私、烏一と言います。」


私が少し気まずくなりながら紹介しようとすると割り込んで烏一さんが言った。


「お前、天とはどういう関係?」


「ちなみに天さん、さっきのお話の返事はどうですか?」


「は?私の質問を無視するな。ていうか、話って?天、こいつと何話してたの?」


質問攻めをしてくる凪ちゃんと返事を求める烏一さんに挟まれる。

背の高い2人に見つめられ、追い詰められると圧がどうしてもかかる。


とりあえず、少しずつ頭の中を整理し返事をしようとする。


「えと…」



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