表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

3、嫌い?

嫌い、嫌い、嫌い…


ひとつの単語が頭の中で反響する。

嫌いなんて天に初めて言われた、その事に絶望する。

天は本気で怒っていた…初めて、いやこの前1度見だけ見たことのある顔、あの時は私へじゃなかったけれど…あの顔は本気で怒っている時の顔だ。


何がダメだったのか?

簡単な話だ、天のことを大切に思うあまり、過剰なほどに天を守ろうとしてしまったからだろう。


最近、天が怪我をした事も戦わせなかった理由としてあるが、それ以上に最近、エネミーが地上で発見されたらしい。発見されたものはもうすでに動けずに直ぐに灰になったようだが…


そりゃそうだろう、ダンジョンは地上よりも少し酸素濃度が高い、人間もダンジョンに長居が出来ないように敵も地上に長居はできないのだろう。


それでも危険性は拭いきれない。

天にもし何かがあったら私がどうなってしまうか分からない。

でも、そのせいで天には不自由な思いをさせてしまったのだろう…


これは私の昔からの悪い癖だ、天ことになると周りが見えなくなってしまうのだ、それこそ守るべき天でさえ視界に入らなくなってしまう。


早く謝ろう、天に嫌われたら私はもう、生きていけない、天は私の全てだ。


あの苦しい世界から連れ出してくれた私の天使。

早く行かないと…


私は振り返りゆっくりと足を前に出した。


「…ッ」


でもその足は直ぐに動かなくなってしまった。


もし、謝っても天が許してくれなかったら?もう会いたくないと言われてしまったら?

そんなこと言われたらもう立ち直れないだろうそう思い足がすくむ…


これは私のエゴだ、天に嫌われるのが怖い、否定されるのが怖い。


…でも、天は優しい子だ私が謝って間違ってしまったところを直せば、天は許してくれるかもしれない。


私の勝手な思い込みで天イメージを下げるのは辞めよう。


よし。


私はペチッと自分の両頬を軽く手で叩いた。


天を追いかけよう、そしてちゃんと謝ろう。きっと彼女なら許してくれる、それからまたあの可愛い笑顔を見せてくれるはずだ。


私が歩き出すと…


ゴゴゴゴゴ


突然地面が揺れた、いやこれは上から?


「…急がなきゃ」


天に何か危険が起こるかもしれない。


私はいつも以上に急いでダンジョンの出口へ向かった。


出口付近に行くとここら辺の階層では見られないような巨大な熊のようなエネミーがちょうど扉の前にいた。


「熊?」


エネミーは階層の深さによって大きさと強さが変わる。浅くなるほど小さく弱くなり、深くなるほど大きく強くなる。


私は深くまで潜った経験は豊富にあるのであのくらいの敵とは何度も戦ったことがあるのだが…


だが、ここは1番浅い階層だ、エネミーが弱く初心者の探索者も多く来る、そんなところの入口に深層付近で見かけるほどの大きさのエネミーがいるということは最悪の場合、数百人は死ぬだろう。


「早く天の所に行きたいのに。」


早めに終わらせよう、と言っても私も深層付近まで行くと少し苦戦する場合もある。

まぁ、大体は他の人がいる時なんだけど。

私が腰に着いている武器を取って攻撃しようとする。


バンッ


突然ダンジョンの出入口である、扉が勢いよく開いた。


「大丈夫か!?この俺が来たからにはもう安心だ!」


「誰?」


無駄にでかい声で豪快に大きなドアを開けて入って来たのは謎の黒髪の青年、見た感じ探索者であることには違いないが…


「この俺を知らないだと!?この俺はA級探索者で、有名配信者であるテルこと光月こうげつ てるだ!」


…A級探索者ね、探索者にも政府かギルドか何かが公認した人間には謎の階級が着くとかなんか…そういう噂がある。有名配信者がそんな噂を信じているのか…しかも結構高い階級だな


うん、多分やばい人だ。それに、コイツがやってくれそうな雰囲気であるため、私はさっさと天の所へ向かうとしよう。


「君!強いだろう!一緒に戦わないか?」


「無理です、用事があるため私は帰ります。」


グォーー


うるさい人の話を聞いてるうちに巨大なエネミーが動き出した。最悪だ…

エネミーは大きく振りかぶって大きな腕を私に向かって振り下ろした。


「危ないっ!」


ザシュッ


「大丈夫か!?」


私が攻撃されそうになった所をちょうど守ってくれたらしい、エネミーの片腕が無くなっている。


「大丈夫です。ここは任せますので失礼します。」


というか、守られなくても私は自己防衛できるのだが、まぁ、この感じこいつでエネミーの対処は十分そうだ。


「ねぇ、君、一緒に…」


「遠慮しときます。」


こいつ諦めが悪いな、それにしてもこいつの武器…大剣か、始めて見るな。

コストは高いし重いし使いにくい、

エネミーの多い場所では不便だし、エネミーが強いといくら硬い武器だってすぐ使い物にならなくなってしまう。

大剣はほぼ何もメリットが無い武器だ。


でも、この場面においては最適かもな。

私には関係ない事だが…


私は急いで扉の前に立つ。


「ちょ、ちょっと君!この俺と戦う気は…」


「ないです、それでは」


「ちょっ」


バタン


…うざい、天もこんな気持ちだったのかもなと少し思う、天には申し訳ないことをしてしまった、早く追いついて謝りたい。

それにさっきの揺れについても気になるし。


勢いよく私は入口のドアを閉めた。


早く向かおう、急がなければ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ