1、かすり傷!
ザシュッ ザッ ザッ
今、私夏風 天の目の前で目に見えないような速さで茶髪の長い髪を靡かせて敵を一網打尽にしている女の子…遠藤 凪ちゃん
凪ちゃんは私の幼なじみで手入れの行き届いたサラサラした長髪していてを背が高くモデルさんみたいな体型の女の子だ。
ちなみに私はと言うと茶色っぽい目で黒いボブヘアで凪ちゃんとは対照的に小さい身体だ。
…話を戻して。敵は原型も残っておらずただの肉の塊と貸しているそれでも彼女は攻撃を続けている。
決して彼女がそういう趣味なのではない。…なぜこんな状況が起きているのかというと、私のこの足の怪我だ…
敵の攻撃が少し別にかすっただけな為、動けないとかでは無いんだけれど…
「…凪ちゃん?も、もうこれ以上は大丈夫だよ?私の怪我も大丈夫だから、ね?」
私の言葉を聞いた彼女はピタリと動きを止め、勢いよく振り向いた。
「大丈夫なわけないでしょ!?天はか弱い子だから少しの傷でも心配なの!ていうかそもそも、天の綺麗な肌に傷をつけた罪は重い!」
「もう!凪ちゃんは心配性すぎなの!私はそんなに弱くないから!」
「いや天は弱いよ?か弱くて守ってあげたくなっちゃう、私はほんっとーに心配してるの」
「むーっ!凪ちゃんの馬鹿っ!」
「ゔっ!天、何その顔可愛すぎっ」
「なっ!私は凪ちゃんに怒ってるのー!」
私は頬を膨らませながら背の高い彼女を見上げ、ポコポコと叩く。
そんな会話をしていると彼女のうしろの肉の塊がピクッと動いた、その瞬間
ザッ
彼女が先程と同じ目に見えぬ速度で動きだし、肉の塊はサラサラと灰になっていく、その灰の上にキラキラと光る宝石のようなものがある…魔法石だ。
「やった!凪ちゃん!見て魔法石でたよ!!」
魔法石は売ればお金になるし、武器などに加工すれば良質な物になる、私たち探索者が1番求めているものである。
探索者はここ、ダンジョンを探索しそこから情報や得た物資などを売ったりする職業だ。
「うん、良かったね」
「凪ちゃん反応薄くない?」
「ん?いやそんな事ないよ、ただ…」
「ただ?」
「天が可愛すぎて気絶しそうっ…」
「もうっ!凪ちゃん!そんなじょーだん言ってないで早く行くよ!」
私は彼女の腕を精一杯強く引っ張った。
「わっ!…分かった、そうだね、次に行こっか」
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「おー!ボス部屋だよ!凪ちゃん!」
「着いたね、それと天が可愛い…」
私が目を輝かせながら大きな扉を指さして言うと凪ちゃんが綺麗な顔を隠しながらいった。
「もー!褒めるより先に行くよ!」
「わかった、行こうか、あ!これ終わったら天のこといっぱい可愛がっていい!?」
「いいよー!」
「よしっ。」
凪ちゃんがガッツポーズをしてから、一度深呼吸をして、大きな扉を押した。
ギーッ
ガァーー
目の前には大きなカラスがいた。
ざっと、成人男性2人分位かな?
「カラスだ!」
「天は下がっててね。」
「今回は私も戦う!」
「天が傷つくのだけはやだからダメ。」
「むーっ。」
「かわっ…最高」
凪ちゃんが意地悪なことを言うので、私は頬を膨らませながら凪ちゃんを睨みつけた。
さっきのことならもう大丈夫なのに…
あっ!いい事思いついた!
「…だめ?」
必殺!うるうるお目目、上目遣い!
どうだっ!凪ちゃん!
「グッ!……」
あれ?返事がない…大丈夫かな?
「凪ちゃん?」
「ごめんね、可愛すぎる…はぁ、わかった怪我しない程度にね。」
「やった!ありがとう!凪ちゃん、大好き!」
「ヴッ」
ガァー!
ザッ ザシュッ
「…危ないな」
「もー!凪ちゃんが仕留めちゃったぁ…」
サラサラと大きなカラスの敵が灰になっていく。
「ごめんね、天また今度もうちょっと安全なところでやろうね。」
そう言って凪ちゃんは頭を撫でてくれた。
よし!許しました!
「…わかったぁ」
私は勢いよく、凪ちゃんに抱きついた。
「グッ、ハッ」
「ごめんね!凪ちゃん、痛かった!?」
「可愛いっ。(大丈夫だよ、天)」
私が慌てて凪ちゃんに聞くと、凪ちゃんはよく分からない返事をした。
…うーん、今、凪ちゃん、心のセリフと実際のセリフが逆になってた気がする。