第五話 昔…話?
「ねえねえ周君!周君も一緒にカラオケ行かない?」
「ごめんね〜ちょっと最近忙しいからパス〜」
これは高校一年生の夏の話
最初は一人だった。「一緒に遊びに行かない?」って。
女の子と遊びに誘われるなんて良いこともあるもんだねえ〜なんて考えていた。
でも、次第に俺の机の周りに女子が増えてきた。最大で四人だったかな。
勿論、最初は皆んなと遊んだよ。それなりに楽しかった。問題があったとするならば別にそこにいた人達に恋愛感情は一切なかった。と言うか毎日のように誘われて嫌気が刺していた。
「ごめ〜ん、今日は別の友達と遊ぶんだ〜」
「え一緒に行けないの?」
「野郎だけで遊びたい時だってあるんだよ~」
嘘である。本当は遊びの約束なんてない。単に興味がないだけ。
一週間くらい色々な理由で断り続けてきたある日、一人の子が聞いてきた。
「周君さ、なんで最近遊んでくれないの?」
「ごめんね〜本当に忙しいんだよ〜」
「本当のことを言ってよ。」
俺は咄嗟に嘘をついた。最近、俺の周りからいなくなった子を使って。
「実は、俺九十九さんのことがちょっと気になってて色々調べてたんだよ。友達経由とかでね。」
「そう。」
この日は遊びに誘われることもなく家に直帰できた。
次の日は俺の周りには誰も来なかった。この日はとても気が楽だったのを覚えている。
その次の日にはいつもと変わらずこちらに向かってくる女子の姿が見えた。なにも変わらなかったか・・・そう思っていた。
水面下では一人の女子生徒が数人に嫌がらせをされていた。
具体的には知らないが陰湿で長期に渡って続いていたらしい。
夏休みも明けて早々に俺は九十九さんに呼び出された。
「やあやあ〜久しぶりだね〜いきなりどうしたんだい〜?」
「貴方が私のことを気になっているなんて言ったから、私はあの女どもに虐められたのよ。」
「それは・・・申し訳の無いことをしたね。ごめんなさい。」
「しかも貴方、私のこと別に好きでもなんでもないでしょう。ただあの女達が鬱陶しいから私を口実にしただけ。」
「そこまでバレていたんだね。本当に申し訳ない。」
次に帰ってきたのは言葉では無く、左頬への痛みだった。
「最低。話はそれだけ。さようなら。」
それ以降、彼女とは話していない。
ちなみにいじめの件は学校側にはバレたらしく、加害者達は夏休み中に指導があったようだ。それなのにも関わらず、俺が九十九さんのことが好きだった癖に私達と遊び呆けて勘違いさせてきた、などと他にも嘘を撒き散らした結果がこれだ。
俺が九十九さんに迷惑をかけたことは事実だし、毎日のように女子が周りにいる生活よりも今の方が断然楽しいのでこの件については何も言及しなかった。
強いて言うなら、圭ちゃんには伝わらないで欲しかったかな。
***
モール内喫茶店にて
「改めて、あの時は申し訳ないことをしたね。」
「今更謝らなくてもいいわ。それに貴方にも被害は出てるでしょう。」
「俺はあのままで良いんだよ。変なのも近寄ってこないしね〜」
俺はカフェラテを飲む。苦っ。俺そう言えばコーヒー飲めねぇや。
「そういえば、九十九さんは今日はどうしてここに?」
「ちょっと用事があってその帰り。高島君こそ何をしてたの?犯罪者みたいだったわよ。」
「あ〜やっぱりか〜」
次からは尾行の仕方も考えとこう。
「実は友達のデートを尾行してたんだよね〜」
「へえ〜良い趣味してるわね。」
「色々訳ありなんだよ〜それに許可も貰ってたからね〜」
「そうなのね。」
沈黙が続く。
(う〜ん、気まずいねぇ〜)
「そいえば九十九さん、なんか話したいことあるって言ってたけど、何だったの?」
「ああ、その事はやっぱり忘れて頂戴。」
そう言うと九十九さんは立ち上がった。
「入って早々悪いけど、これで失礼させて貰うわ。お代は・・・」
「ん〜、いいよ出しとくから。迷惑料ってことでね。」
「そう。ならお言葉に甘えさせて貰うわ。じゃあね。」
「ばいばい。」
彼女が立ち去ってから数分経った。
「もう居ないよね。」
改めて気まずかったな、と思った。それよりも少し気になった事があった。
(何を隠したんだろう)
「まあもう関わる事も無いでしょうから気にする事でもないか〜」
相変わらず能天気である。
「あ、そろそろ映画が終わる時間だ。」
結果的に時間が潰せたのだしOKとしよう。
さあさ遠からんものは音に聞け、近く寄ってば目にもみよ〜。ここからは楽しい楽しい尾行の時間の始まり始まり〜




