第四話 尾…行?
「まさかの圭ちゃん談合第二回〜」
「イェーイ!ぱちぱち〜」
「乗ってくれてありがとうね〜圭ちゃん。」
「いよいよ明日ですよ!?楽しみです〜!」
果たしてそれは緊張なのか興奮なのか、圭ちゃんは体が震えていた。
「そうそう。明日のデートは後ろから付けさせてもらうよ〜」
「えーなんでですかー」
大分不服そうだ
「まぁ色々あるけど〜やっぱり面白そうだからかな〜」
「あ!そいえばチケット代って返した方がいいですよね?」
先日のデートの口実用に買った映画チケットのことだ。俺が勝手に見繕って買ったやつ。
「じゃあ明日尾行させて貰える権利で一枚分ってことで〜。もう一枚は〜」
「もう一枚は?」
「今度スタバ奢ってね〜」
「それで良いならお安い御用です!」
「それじゃあ許可も貰えたことだし、今日はここまで〜。第二回圭ちゃん談合はこれにて解散〜」
「お疲れ様でした!」
「圭ちゃん明日は楽しんできてね〜」
***
日曜日、俺は駅前のショッピングモールに来ていた。デートらしいっすよ。
季節も秋に差し掛かってきており、今日は一段と肌寒い。
服のセンスは周と一緒に考えたので大丈夫であろう。全部周がやってくれたけど。
5分程待っていると聞き慣れた声が聞こえてきた。
「先輩〜!お待たせしました!」
「おお、圭ちゃんめっちゃ似合ってるじゃん!可愛いよ!」
白の薄手のコートにベーシックなカラーのミニスカート。これに圭ちゃんのショートヘアが合わさることによって大人っぽさが醸し出されている。
「えへへ、そうでしょう。」
圭ちゃんは少し照れている様子だ。ど直球に言いすぎたかな。
「それじゃあ行こうか。映画まで少し時間もあるし、飲み物でも買いに行こう。」
「はい!」
二人はモールの中へと歩き出した。
「良い感じじゃ〜ん。」
約束通り尾行にきた周である。
「でも尾行って普通に犯罪してる人みたいだよな〜」
どうすれば怪しまれないかな〜?なんて考えていた。
知り合いがいるなんて思いもしなかった。
「高島君、何をしているの?」
途端に周の声が低くなる。
「ああ、久しぶりだね。九十九さん。」
彼女は九十九玲奈。
彼女を語るには俺が「勘違い先輩」と呼ばれてる原因の話をしないといけない。
「九十九さんは暇かい?立ち話をするなら喫茶店にでも行こうよ。」
「いいわよ。そろそろ高島君とは話す機会が欲しかったのよ。」
二人が映画を楽しんでる間、こちらは厳しいことになりそうだよ〜
周は軽い気持ちで尾行なんてするんじゃなかった、と後悔している。