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おわり
春の風がガタガタと窓を揺らす。朝日が登りつつある空が急速に橙色に染まっていき-割れながらも機能を果たそうとする窓や、眩い光を反射するマンションが今日も周囲を照らした。
見慣れた朝に三津子は少し寂しさを感じる。日常であった世界から踏み外してしまったのが怖かった。
…でも受け入れるしかないのだ。
そうしなければ自分は生きてはいけないのだから。
「何してるの?」
微かに開けたカーテンから覗く、鮮烈な光が唯々の黒目にあたる。眩そうに顔をしかめ、彼女はカーテンに手を添えた。
「今日は何もしないようにしよう。」
人は人がいない空間では生きていけないのを知っているから。
2人は居場所を求めた。
「床になっちゃうって言っていたのに?」
三津子と唯々がお互い独りになれないように。
これにて完結になります。
ありがとうございました!