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動物の名前当てゲーム

「なあ、淡島。猫の名前って猫だと思うか?」

 阿保は三毛猫を抱えて、部室に入って来るなり、哲学めいたことを問いかけてきた。


「猫の名前は、猫だろ。正式な学名のことを聞いているんだったら、違うかもな。」

「学名?……そんなんじゃなくて、俺、衝撃の事実を知ってしまったんだ。まあ、見たほうが速いから、見ていてくれ。」

 阿保は猫の目を見ながら、声をかけた。


「お前の名前は何だ?」

 阿保は猫に回答を迫るように、猫を抱いている手を強く揺らした。


 ニャー

 

 猫は揺らされることを嫌がるように、鳴いた。

「な!分かっただろ。こいつの名前は、猫じゃなくて、ニャーなんだよ。これはいろんな猫に名前を聞いてみても、同じことを言うんだ。つまり、猫の名前は、猫じゃなくて、


 ニャーだったんだ!


 俺たちは、あんな身近な猫の名前を間違えていたんだ。ならば、他の動物の名前も違うんじゃないかと思ったんだ。そこで、俺はあるゲームを考えた。動物の名前当てゲームだ。今からある動物を持ってくるから、その動物の名前を当てることができたら、勝ちってゲームだ。


 じゃあ、手始めに、俺たちが犬だと思っている動物を連れてくる。ちょっと待ってろ。」


 阿保は猫を部室の机の上に置いて、廊下を走り去っていった。あまり、野良猫を机の上に置かないでほしい。


「犬捕まえてきたぞ。俺は意外とこいつもニャーなんじゃないかなと思うんだ。淡島はどう思う?」

 阿保は、猫を置いて行って、五分ほどで柴犬のような野良犬を抱きかかえてきた。


「ワンだな。」

 僕は部室にあった猫じゃらしで、猫をあやしながら、答えた。


「なるほど、じゃあ、聞くぞ。お前の名前は何だ。」

 阿保は先ほどの猫と同じように、犬を揺らしながら、聞いた。


 ワン!


「淡島、正解じゃん。犬の名前はワンだよ。……ニャーじゃなかったか。面白くなった来たな、淡島。今度は、裏山から猿と猪と鹿連れてくるから、俺が連れてくるまでに、その三匹の名前を考えとけよ。」

 

阿保はまたもや犬を部室の机に置いて、部室を走って出て行った。僕は犬と遊ぶために、窓の外に部室にあったフリスビーを投げた。犬は部室の窓を軽々と飛び越え、グラウンドの方にとんだフリスビーを取りに行った。


 そうやって、フリスビーを三回ほど投げた時だった。

「猿と猪と鹿連れてきたぞ。俺はもう考えてある。原点回帰で、猿はサルー、猪はイノシシー、鹿はシカーって名前なんじゃないかと思うんだ。さあ、淡島の答えを聞かせてくれ!」

 阿保は、右脇に猿、左脇に鹿を挟み、猪にまたがって、部室の前に立っていた。正直、猿はウキーだろうが、猪と鹿はどう鳴くか分からない。


 ウキー! ブヒイイ! ピッー! 


 阿保に捕まえられた動物たちが右からそのように鳴きだした。


「猿はウキー、猪はブヒイイ、鹿はピッーだな。」


「OK、お前の予想はそうなんだな。じゃあ、同時に聞くぞ。お前らの名前は何だ?」


 ウキー! ブヒイイ! ピッー!


「スゲー、淡島、全問正解だよ。猿はウキー、猪はブヒイイ、鹿はピッーだったな。お前このゲームの才能あるよ。じゃあ、次は、シマウマとさっき空を飛んでいたサギを捕まえてくるから、そこで待っとけ。」


 阿保は猿と猪と鹿を廊下に解き放って、部室を走り去った。僕はその動物が入ってこないように、部室の扉を即座に閉めた。


 しばらくして、廊下から教師や生徒の悲鳴が聞こえだした頃に、阿保が部室の扉開けた。

「シマウマとサギ捕まえたついでに、リスも捕まえてきた。今回は本気で当てるために、一つの名前に一点賭けする。全員、ワン。これで行く。淡島はどうする?」

 阿保は右手でサギの足を掴み、左手でリスを握りしめ、シマウマにまたがっている。果たして、シマウマはどこで捕まえたのだろうか?


 サギは羽をまき散らしながら、羽ばたき、リスは阿保の手を噛んでいて、シマウマはロデオマシーンのように暴れている。しかし、どの動物も鳴かなかった。


「シマウマはヒヒーン、サギはガー、リスはキャッかな?」

「それでいいんだな。じゃあ、聞くぞ。お前らの名前は何だ?」





 

 




 ワン!


 阿保の捕まえた動物が若干違いはあれど、全員そのように鳴いた。

「よっしゃー!俺の予想が当たりー。全員、ワンでした。


 ……ってことは、犬だと思ってたやつらとこいつらって、同じ名前なの?」


「そうらしいな。」


 阿保はワンたちを廊下に解き放つと、阿保は満足したようで、阿保とのゲームはこれでお開きとなった。


 次の日、学校はワンやピャッ、ブヒイイたちが暴れ回ったことで、休校になりました。 

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