二マス将棋
「じゃあ、ニマス将棋のルールを確認する。ルールは簡単。この将棋盤のニマスを使って、ゲームを行う。互いの持ち駒は、王将のみで、最初から自陣の一マスに置いておく。そして、先攻、後攻はじゃんけんで決める。今回はニマスの将棋だから、王将は前に進むしかできないってことも忘れずにな。」
八神先輩は将棋盤を僕の前の机に置いて、詳しくルールを説明してくれた。僕はルールを理解し、八神先輩とじゃんけんをした。勝ったのは、八神先輩だった。
「よし、じゃあ、俺が先攻で始めるな。
……王手っ!」
八神先輩は、自分の王将を摘まみ上げると、一マス前の僕の王将に、自分の王将を叩きつけた。
「まいりました。」
僕は頭を軽く下げた。
「じゃあ、もう一試合。」
先輩は腕を振って、じゃんけんをする動作をした。僕もそれにつられて、じゃんけんをする。またもや、先輩の勝ちだった。
「また先攻か。今度はどういう戦略で行こうか……これだな。
王手っ。」
先輩は、さっきと同じように自分の王将を僕の王将に叩きつけた。
「……すいません。もう辞めませんか?」
「どうして?負け続きで、不貞腐れちゃったかな?」
「いや、これって、先攻になった方が勝ちなので、じゃんけんを勝った方が勝ちなんですよ。
じゃあ、将棋をしなくても、じゃんけんした方が良くないですか?」
「なるほど、確かにニマスじゃそうなるか。
じゃあ、一マス増やして、三マス将棋するか!」
僕たち、ゴミゲー同好会はまた一つ、ゴミゲーを生み出してしまった。