表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12 Gates City ワールドガイド  作者: 澤群キョウ
職業あれこれ
7/50

探索を始めた君へ

 迷宮都市にやって来る若者たちのほとんどは探索者を目指す。

 街にやって来て数日で半数近くが自分には無理だと理解し、帰郷するか他の職に就くか考え始めるという。

 男女比は相当偏っており、女性の探索者は稀。

 迷宮で宝と名声を手に入れ、美女を抱いて凱旋するという夢を叶えられる者はもっと稀だ。


 有用な特技を持っていれば、中級以上の探索者にはなれる。

 事前に迷宮探索について詳しく理解し、必要な技術をいくつか見につけてからやってくれば仲間探しも比較的スムーズに進むだろう。


 意気揚々とやって来たほとんどの若者は、剣を振った経験すらない。

 そんな若者たちには、経験者たちからこんな言葉が贈られるという。




・まずは宿探し


 ラディケンヴィルスは大きな街で、大抵の若者が住んでいた小さな町や村とは規模が違う。

 人通りは多く、呼び込みの声が何重にも重なって聞こえてきて、まずは戸惑うだろう。

 乗合馬車の発着場付近には若者相手の宿屋の呼び込み係が待ち構えており、荷物を置く場所を用意してはどうかと声をかけてくる。

 まずはその声に乗ると、探索の準備はスムーズに進む。

 彼らは大抵が自分には無理と諦めた元・探索者なので、役に立つ情報を教えてくれる。



・食堂か酒場かは、好みで決めよう


 予算に見合った宿を見つけたら、まずは食堂か酒場に繰り出そう。

 安宿近辺の飲食店には、似たような探索志望の青年があふれかえっているからだ。

 見た目や話し方など、気の合いそうな誰かを見つけたら声をかけてみるといい。

 話が弾んで二人になれば、誰かしらが声をかけてくる。

 一人でぽつんとしているのが一番の悪手なので、積極的に動くことが成功のカギだ。

 二人が三人になれば、テーブルにはいつの間にか五人の初心者が集っているだろう。

 五人組ができれば、「お節介」が声をかけてくる。

 まずはどこに向かうか、地図はどこで売っているのかなど、親切に教えてくれる。

 「橙」の位置を確認し、少なくとも三層までは地図を用意しよう。

 初心者用の迷宮は混みあっているので、あまり不安がらずに挑んで慣れていくといい。



・五人組を作ろう


 適当な店で作った五人組が、いつまでも五人組であり続ける可能性はほとんどない。

 嫌な癖を持っていたり、金にだらしなかったり、不安材料のある人間とは別れた方が良い。

 まずは良さそうな五人組を探し、彼ないし彼女ならば良いだろうと思える仲間を探していこう。

 迷宮の中で仲違いして別れたパーティがいれば、声をかけてみてもいい。

 信用できそう、将来性がありそうだと思える五人組ができたら、しばらく「橙」へ挑戦していこう。

 剥ぎ取りや肉の採集を練習して、資金を稼ぎながら、それぞれの得手不得手を見極めていくといい。

 


・必要なものを揃えていこう


 金を稼ぎながら装備を整え、少しずつ深い層へ挑戦していこう。

 専門職に興味がある場合は、どのように技術を学べばいいのか調べるのも必要だ。

 賑わっている酒場には探索に詳しい話し上手がいるので、遠慮せずに質問をして理解を深めよう。

 買いたいもの、習いたいことが出来たら、いくら必要か計算して目標をたてる。

 探索は地道に続けていくものだという意識を忘れず、焦らずに取り組んでいこう。

 意見が合わない仲間がいたら、交代も視野に入れた方が良い。

 よりよい仲間こそが、探索者として成功するために最も必要なのだから。



・理想の五人組


 挑みたい迷宮によって必要な職業は違ってくる。

 「橙」や「緑」以上に挑戦したいのなら、罠の解除や怪我の治療などを出来るようにしておきたい。

 罠の専門家であるスカウトが一人、傷の癒し手である神官が一人、仲間を救う最後の切り札になりうる魔術師が一人、前で戦いを引き受ける戦士が二人という構成が、もっとも理想的な五人組だと考えられている。

 仲間の中に素質がありそうなら、罠の技術や魔術を習いに行かせて、専門職を目指してもらうといいだろう。

 神官に関しては強い信仰心が必要なので、探索に必要だからという理由で修行を始めても間に合わない。

 普段から神殿に顔を出し、協力してくれる神官を探すのが早い。

 迷宮探索は「五人組」で行くのが良いとされているが、本来は四人だろうが六人だろうが構わない。

 貴重品である帰還の術符の効果が及ぶのが五人なだけなので、持っていないのならば自分たちにとって一番良い人数で行動すればいいだろう。

 専門技術を学びながら、その時行きたい迷宮に合わせてメンバーの入れ替えをすればいいだけなのだから。



・探索以外の仕事にも目を向ける


 怪我をしてしまったり、体の具合が悪かったり、準備が足りない時には、探索以外の仕事をこなしていくと良いだろう。

 迷宮都市は様々な仕事を体験できる場所であり、朝早くに労働者を募る仕事場はいくつもある。

 資金が足りない時は素直に労働に励んで、準備を整えると良いだろう。

 建築の現場や、市場での運搬の手伝いなど、人の多いところに出向くと仕事は見つかりやすい。

 仕事の現場では街に関する話を聞くことができるので、実入りの良い仕事の情報も手に入るだろう。

 日雇いの仕事を引き受ける探索者は多くいるので、案外良い出会いに恵まれるかもしれない。

 チャンスは街中に転がっている。日頃からアンテナを張っておくと、役に立つ話を聞くことができるだろう。



・中級者を目指して「藍」へ潜ろう


 「橙」や「緑」に慣れたら、次は「藍」の八層を目指して挑戦していくと良い。

 灯りの消える恐ろしいところだが、八層から出現する迷宮牡鹿を倒すことができれば、初心者は卒業したと言っていいだろう。

 鹿の肉は高く売れるし、角を採集できたらこれも薬草業者に高額で買い取ってもらえる。

 皮も採取できればもっと良い。財政状況はぐっと改善されるだろう。

 「藍」からは夜明かしの技術もあげていかなければならない。

 暗闇の中で眠るのは恐ろしいが、一晩無事に過ごせた時は自分のステージが上がったことを実感できる。

 「藍」で鹿を狩れるようになったら、少しずつ「赤」の準備をしていこう。

 なにもかもの難度があがり、専門職なしでは進めない迷宮だ。



 上級者への道は遠く、長く続いていく。

 初心者を卒業した後は停滞しているような気分になりがちで、焦りが募りやすい。


 すべての探索上級者は地道に日々を重ねた末に高みにたどり着くもの。

 迷宮を歩き出したすべての者に、雲の神の恵みと、船の神の導きが訪れますように。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ